川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 初公判 2016/2/2 被告人質問① 両親の“仕打ち”赤裸々に

2016-02-02 | 少年 社会

 産経ニュース 2016.2.2 17:25更新
【川崎中1殺害】被告人質問詳報(1)「調子に乗ってダルく絡んだ」上村君に「イラッとした」 事件前に仲間で行っていた賽銭泥棒の隠語は…
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で平成27年2月、市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われたリーダー格の少年(19)=同(18)=の裁判員裁判は午後1時半に再開され、証拠調べを続けた後、午後3時から弁護側の被告人質問が始まった》
 《男性弁護人が着席する被告のところに近づき、まず傷害致死罪で起訴された少年B、Cとの関係について質問していった》
弁護人「B君とはどこで知り合いましたか」
被告「B君と川崎の…」
 《か細い声でしゃべる被告に対して、近藤宏子裁判長は「大きい声で」と求めた》
被告「B君とはゲーセン(ゲームセンター)で知り合いました」
弁護人「ゲームをする仲間は何人ぐらいですか」
被告「5人ぐらいです」
弁護人「5人の中でリーダー役はいましたか」
被告「いません」
弁護人「C君とはどのような関係ですか」
被告「C君とは同じ中学、高校で、高校から遊ぶようになりました。出かけたり、飲んだりして遊んでいました」
弁護人「C君は君にとってどのような存在ですか」
被告「C君とは何でも話せる友達でした」
弁護人「C君は親友の1人に入りますか」
被告「入ると思います」
 《検察側は証拠調べで、被告がBに指示し、上村君の首をナイフで切らせたなどするBの供述調書を読み上げていた。一方、弁護側はグループ内で主従関係などはなかったと訴えている》
 《裁判では、(1)27年1月17日、被告が横浜市の日吉駅付近の駐車場で上村さんの顔をこぶしで殴って2週間のけがを負わせた事件を「日吉事件」(2)同年2月20日、被告は殺意を持って、少年B、Cは傷害の犯意で、上村さんの首をカッターナイフで多数回切りさき、死亡させた事件を「川崎事件」としている》
 《弁護人の質問は日吉事件に移る。被告らは当初、川崎市内で遊んでいたが、グループのうちの1人の親戚宅がある日吉に向かうことになったという》
弁護人「当時は何人いましたか」
被告「自分をあわせて6人ぐらいです」
弁護人「上村君とB君は入っていますか」
被告「入っています」
弁護人「C君は?」
被告「いませんでした」
 《被告らは自転車で、上村君らは電車でそれぞれ日吉駅に向かったが、被告らが先に到着して上村君らを待つことになった。弁護人は当時の心境について被告に質問すると、被告は小さな声で答えた》
被告「1時間待たされたが、電車組の人たちは何も言わずに来ました。待たされたのに何も言われず、イラッとしました」
弁護人「その後はどうしましたか」
被告「みんなでブラブラ歩いて、自分と後輩が『酒飲みたくね?』といい、酒を買いました」
 《それまで小さな声で抑揚なく話していた被告がこのときは「飲みたくね?」について語尾を上げながら発言し、当時の様子を再現した。被告らは当時、500ミリリットル、300ミリリットルの酒の缶10本ぐらい購入。全員で酒を飲む中、上村君へのいらだちがこみ上げてきたという》
被告「待たされたことを思い出しました。上村君が調子に乗っていたこともあって、イラッとしました」
弁護人「調子に乗っているというのは、その日のことですか」
被告「前から調子に乗っていました」
弁護人「具体的に」
被告「ダルく絡んできて、ため口で話してきました」
 《「ダルく絡む」。その意味を分かりかねた様子の弁護人は「面倒くさい絡み方をしてきたということですか」と質問し、被告は「はい」と答える》
被告「(上村君に)文句を言い、そのあと駐車場に連れていき、顔を4、5発殴りました」
弁護人「ケガをしていましたか」
被告「顔がだんだん腫れていき、『やりすぎたな』と思いました。湿布を買い、貼ってあげました」
弁護人「上村君は何と言っていましたか」
被告「『すみません。自分が悪いんで』と。自分は『やりすぎてごめん』と言いました」
 《弁護人は事件の後にグループで食事をとり、川崎市に戻ったことを確認したが、近藤裁判長が「聞き取りにくいですよ。質問も」と注意する一幕もあった。その後、弁護側は被告とトラブルになったX兄弟、Yら地元の少年らについて質問していく。弁護側は冒頭陳述で、被告が上村君を暴行したことを知った少年たちに問い詰められるなどし、精神的に追い詰められた被告が河川敷で犯行をエスカレートさせていったと主張している》
被告「X弟から『上村君を殴ったのか』と聞かれたので、『調子に乗って、タメ口をきいてきたので殴った』と言いました」
弁護人「最終的には君の(無料通信アプリ)LINE(ライン)のアカウントを知られてしまったのですか」
被告「はい。X弟が上村君に『教えて』といいました。(ラインのアカウントを知られ)面倒くさいなと思いました」
 《弁護人は被告らのグループが賽銭泥棒をしていたとし、その内容について尋ねていく》
弁護人「賽銭を盗んでいましたか」
被告「はい」
弁護人「仲間の中で何と呼んでいましたか」
被告「エスと呼んでいました」
 《賽銭泥棒を示す隠語「エス」の語源は「SAISEN(サイセン)」のSなのだろうか。その点は明らかにされず、質問は続けられていく》
弁護人「何人ぐらいでやっていましたか」
被告「6人ぐらいです。上村君やB君もいました」
 《被告たちはある日、カラオケボックスの一室で盗んだ賽銭を並べていた。そして、このカラオケ店に居合わせたX兄に賽銭泥棒のことが知られることになったという》
弁護人「X兄に見つかったのですか」
被告「自分がトイレに行って、X兄と会いました。自分が部屋に戻った後、X兄たちが部屋に入ってきました」
弁護人「賽銭を巻き上げられてますよね」
被告「X兄に呼ばれ、X兄と出ていきました。その間、X兄の友達に賽銭を取られたと後輩から聞きました」
弁護人「X兄やYはどんな人たちですか」
被告「昔、暴走族に入っていたと聞いています」
弁護人「友達ですか」
被告「違います。付き合いたくない人たちです」
弁護人「XやYが自宅に押しかけてきたことがありましたよね」
被告「お母さんやお姉ちゃんから『(被告が)出て行ったら、ややこしくなる』と言われました」
 《このときは被告の母、姉が対応し、祖母が110番通報したとされる》
弁護人「当時の気持ちは?」
被告「何でこういうことをするのだろうかと思いました」
弁護人「ラインに知らない人からメッセージがくるようになりましたか」
被告「はい」
弁護人「誰からきましたか」
被告「あんまり覚えてないですが、X兄の友達だとわかり、『話があるから来いよ』と(メッセージが)きました。自分が行ったら、何かされるなと思いました」
弁護人「怖い気持ち?」
被告「はい」
 《被告は終始、ややうつむいた姿勢で弁護人の質問に答えていく。この後、上村君が殺害された当日について質問が及ぶことになる》
 =(2)に続く

2016.2.2 20:47更新
【川崎中1殺害】被告人質問詳報(2)「焼きを入れに多摩川へ」 カッター渡されエスカレート、刃が折れた後も暴行は続き…
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、弁護人による被告質問が続いている。うつむきがちの姿勢で、ぼそぼそと質問に答える被告に対し、近藤宏子裁判長は複数回「もう少し大きな声で、はっきりと答えてください」「聞き取りにくいので、マイクに声が届くように」と注意を促しているが、被告の声の大きさや口調は変わらない》
 《弁護人は被告の答えを比較的な大きな声で繰り返した後、質問を行っていく。質問内容が事件当日に移り、被告は姿勢を正すでも頭を動かすでもなく、少し背中を丸めたまま答え始めた》
弁護人「この日(平成27年2月19日)は、(傷害致死罪で起訴されている)B君と一緒にC君の家に行っていますね」
被告「自分からB君に『C君の家に行こう』と誘いました」
弁護人「この日は何を持って出かけましたか」
被告「携帯とキーケース、財布とタバコです。B君と自転車に2人乗りしてC君の家に行きました」
弁護人「途中でお酒を買っていますね。何を買いましたか」
被告「焼酎のボトルを1本買いました」
弁護人「どのくらい飲みましたか」
被告「B君は1杯、自分は5~6杯、C君は6~7杯飲みました」
弁護人「どうやって」
被告「お茶割りにしました。ボトルの半分くらいが残りました」
弁護人「飲んでいる途中で、B君から『上村君が合流したがっている』という話を聞きましたか」
被告「はい。B君が暇そうにしていたので、自分は『いいんじゃね?』と答えました」
 《被告、B、Cの3人と上村君が会った経緯が細かく語られていく。上村君から連絡が入ったのは、すでに夜中の0時を過ぎていたとされる。上村君が合流するまで間をもたせるため、被告らは近所の中華料理店に寄り、瓶ビール1本を注文。さらに飲酒を重ねたという》
弁護人「B君が上村君を迎えに行っている間はどうしていましたか」
被告「B君がなかなか戻ってこないので、大師駅(京浜急行電鉄大師線の川崎大師駅)の方から来るのだろうと思ってC君と駅に向いました」
弁護人「その途中でB君に連絡をしていますね」
被告「大師駅に行こうと思っていたけど、『若宮神社に来て』と伝えて合流場所を変えました」
弁護人「大師駅に向かう途中で、C君と上村君の話はしましたか」
被告「家にX兄弟が来たことを伝えました。あと、上村君が“エス”(賽銭泥棒)のことをXたちに話していると後輩たちから聞いたことも伝えました」
弁護人「(伝えながら)どんな気持ちになりましたか」
被告「飲もうと思っていたけど、イライラしてきました」
弁護人「B君たちと合流する前に、上村君をフルボッコ(激しく殴る蹴るの暴行を加えること)にしようと話したことはありますか」
被告「よく覚えていません」
弁護人「上村君と合流したあと、携帯を取り上げましたね。なぜですか」
被告「Xたちに言って面倒くさいことになるのは嫌だと思いました」
弁護人「携帯を取り上げたあと、上村君と話しましたか」
被告「“エス”のことをXに話したかと聞いたら、最初のうちは否定してたけど、問いただしたら認めました」
弁護人「どう思いましたか」
被告「焼きを入れようと思って、多摩川の方に行きました」
弁護人「焼きを入れるというのは具体的にいうとどういうこと」
被告「殴ってやろうと思いました」
 《被告とX兄弟の関係性を強調するような受け答えが続いた》
弁護人「多摩川に着いたあと、川縁まで進んでいって何をしましたか」
被告「自分と上村君とC君で川縁に向いました。B君はついてきませんでした。自分と上村君で話をしたけど、態度が気に入らなかったので携帯を川に投げました」
弁護人「その後はどうしましたか」
被告「下がコンクリートになったところまで行って話したけど、気に入らないので上村君に馬乗りになりました。Cに『どうする』と聞くと、カッターナイフを渡してきたので、脅そうと思ってカッターの刃を出して、(上村君の)ほっぺたを2~3回切りつけました」
弁護人「そのとき力は入れましたか」
被告「全然。スー、スーっと2~3回切りつけました。上村君は何もしませんでした」
弁護人「このときはどんな気持ちで、どうしようと思っていましたか」
被告「殺してやろうと思って、痛めつけました」
弁護人「どうやって殺そうと思った」
被告「腕と足の膝の上を1回ずつ切りました。上村君が立ち上がったので、首をやったら死ぬかなと思いました。3回切って自分には無理だと思いました」
弁護人「無理だというのは」
被告「力が入らなかった。C君に『やって』といったけどC君が『もう少しやれよ』といったから、もう3回ぐらい切って、C君に替わりました。C君が3~4回切りつけました」
 《洋服に血が付くことを避けようとした上村君は、被告らにカッターで切りつけられながらも自ら上着を脱ぎ、真冬の夜中、寒空の下でタンクトップ1枚になって暴行に耐えたとしている》
 《この後、被告とCは、多摩川の周辺にいたBを電話で呼び出し、さらに交代で上村君のことを切りつけるなど執拗(しつよう)な暴行を加えた》
被告「B君かC君かが『泳がせれば』といったので、自分は『いいね』と答えました」
弁護人「そう答えたときの気持ちは」
被告「なんとなく、その場の雰囲気というか…。上村君は服を全部脱いで泳ぎに行ったけど戻ってきたので、B君がカッターで3~4回切りつけて、その後、C君は上村君の頭をつかんでコンクリに2~3回打ち付けました。C君が上村君の頭をつかんでいたとき、カッターは自分が持っていたので、C君にカッターを渡すと、首を何回か切りつけたところで刃がおれました」
 《しかし、折れた刃をみても被告らが冷静さを取り戻すことはなかったという。被告によると、Cは被告に「折れた刃を探すか」と問いかけたというが、被告はそのままでいいとして、暴行はエスカレートするばかりだった。被告の顔をまっすぐ見つめていた裁判員らも、耐えきれずという風に視線を落とす》
被告「C君からカッターを渡され、4回くらい切りつけてから上村君に『また泳いで』といいました。上村君は20~30メートル泳いで戻ってきたので、またB君が3~4回、C君も3~4回切りつけて、自分も3~4回切りました。上村君は3回目に泳ぎに行こうと歩き出したけど、疲れ切っていました。上村君を戻ってこさせて、最後に1回自分が切りつけたところで上村君は動かなくなりました」
弁護人「C君に『(上村君を)あっちのほうにやって』といっていますね。あっちのほうというのは」
被告「川の中です」
弁護人「それは何のためですか」
被告「見えないようにするために。下半身くらい水に浸かってました。服を持って逃げたけど、コンビニの近くで服を燃やすことを決めて、B君に100円を渡してライターオイルを買ってきてもらいました」
 《被告らは、このときに購入したライターオイルを使い、公園の女子トイレで上村君の服を燃やしたとされる。現場近くの公園トイレでは昨年2月20日午前3時ごろ、ぼやがあり、服のような燃えかすや焦げた靴底が見つかった》
 《近藤宏子裁判長がいったん休廷を告げる。退席する被告のプライバシーを守るため、アコーディオンカーテン状の白いついたてが広げられる。わずかに椅子を引くような音がするが、被告席からしているものかどうかは定かではない。詳細に語られた暴行の経緯と内容。傍聴人たちは沈痛な表情で席を後にした》
 =(3)に続く

2016.2.2 22:08更新
【川崎中1殺害】被告人質問詳報(3)「6時間正座」「ベルトで叩かれる」 両親の“仕打ち”赤裸々に
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、休廷をはさんで午後4時10分に再開した。弁護人の被告人質問の内容は犯行当日の様子から、被告の普段の生活や家庭環境を確認するものに移っていく》
弁護人「事実関係について1点補足させていただきたいのですが、首の後ろを切りつけましたか」
被告「切ってないです」
弁護人「少し事件から離れて昔のことを教えてください。小学校の頃は楽しく学校生活を送れていましたか」
被告「友達とけんかになったりしてました」
弁護人「どうして」
被告「一度、お母さんのことでけんかになりました。お母さんが外国人なので…。おちょくられたりしました」
弁護人「おちょくられたとは」
被告「自分に対して『来いよ』みたいな」
弁護人「ちょっかいですか」
被告「はい」
弁護人「けんかになると周りの大人から怒られますか」
被告「説明を聞かれます」
弁護人「理由について話すということですか」
被告「話しますが、だいたい自分の方が悪いとなります」
弁護人「中学のころの学生生活はどうでしたか」
被告「けんかを売られることが結構ありました。最初、同じ中学の生徒とけんかしてボコしたら(やっつけたら)、それを機にさらにけんかを売られるようになりました」
弁護人「何年生のとき」
被告「中2(のとき)です」
 《質問は、地元ではX兄やYとの関係性にも及んだ。被告によると、X兄とYは学校が違う同級生で、地元では暴走族に入っていたと噂される人物だったという。付き合いはあったものの、休廷前の被告人質問では自ら「付き合いたくない人たち」と語った》
弁護人「X兄、Yが家に来たことはありますか」
被告「はい」
弁護人「どんなときに来ましたか」
被告「自分と同じ学校の生徒をぶっとばしたときに5人くらいで『タイマンはろうぜ』と5人くらいで家に押しかけてきました」
弁護人「X兄、Y含めて5人」
被告「はい」
弁護人「タイマンとはどういう意味ですか」
被告「1対1でけんかをすることです」
弁護人「家におしかけられたとき、どう思いましたか」
被告「めんどくさいなと思いました。話し合いで終わらせました。『俺はやらないよ』と話しました」
弁護人「A君(被告)はタイマンやろうと思っていなかった」
被告「はい」
弁護人「X兄についてどう思っていましたか」
被告「かかわり合いになりたくないと思っていました」
弁護人「それはどうして」
被告「面倒くさいから」
弁護人「中学3年生のときの学校生活はどうでしたか」
被告「1こ下(の生徒)が自分の所に来て『俺たちの悪口を言っているだろう』と言ってきました。否定して、その場で終わりにしました」
弁護人「けんかは好きですか」
被告「好きじゃないです」
弁護人「嫌なのに(けんかを)売られる」
被告「はい」
 《さらに質問は両親との関係性に及んだ。両親はしつけに厳しく、被告は怒られるだけでなく、手をあげられることもしばしばあったという》
弁護人「両親との関係について教えてください。厳しかったですか」
被告「はい。怒られました」
弁護人「どんなときに怒られましたか」
被告「父は(私が)時間を守らないときや、悪いことをしたときによく怒りました。正座させられてたたかれました」
弁護人「(時間は)どのくらいですか」
被告「2時間以上。長いときはもっとです」
弁護人「どのくらいですか」
被告「6時間くらい」
弁護人「怒られる頻度はどのくらいですか」
被告「週に3回くらいです」
弁護人「(怒られたことの)理由は聞かれますか」
被告「言い訳を話したりします」
弁護人「納得しますか」
被告「『言い訳だ』と言われて納得しません」
弁護人「殴るのは手ですか」
被告「平手で顔をたたかれます」
弁護人「それ以外には」
被告「たまに蹴られました。主に肩や顔を蹴られました」
弁護人「長時間たたかれることに対してはどう思いましたか」
被告「やめてほしいと思っていました」
弁護人「(怒られていることと罰の内容が)つり合っていると思いましたか」
被告「あまり思ってなかったです」
弁護人「やりすぎじゃないかと思った」
被告「はい」
弁護人「お母さんはどうでしたか」
被告「時間(を守らないこと)については何も言わなかったですが、小学生のときなどは悪いことをしたら、ハンガーやベルトでたたかれました」
弁護人「学校で嫌なことがあったときに(両親に)相談は?」
被告「いや、言いたくないので」
弁護人「聞いてくれそうな環境でしたか」
被告「聞いてくれるとは思ったけど、自分からはあまり話さなかったです」
弁護人「両親は面会には来ていますか」
被告「はい、週に1回」
弁護人「来てくれることに対してどう思っていますか」
被告「ありがたいと思います」
弁護人「どんなことを話しますか」
被告「自分の体のことを心配してくれます。家の状況を聞いたりします」
弁護人「事件について話したりしますか」
被告「自分がやった内容について話しました」
弁護人「聞かれたから」
被告「説明を求められたので」
 《声の大きさやぼそぼそと話す口ぶりは変わらないが、弁護人から当時の気持ちを問われると「嫌だった」と明確に否定した。相変わらず後ろ姿からは感情の読み取れない。この後、質問は高校生活の様子に移っていく》 
 =(4)に続く

2016.2.2 22:55更新
【川崎中1殺害】被告人質問詳報(4)完 「首やったら死ぬかなと思い、切りました」 「上村君にひどいことをしてしまった」と反省
 《川崎市川崎区の多摩川河川敷で市立中学1年、上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が殺害された事件の裁判は、弁護人による被告人質問が続いている。被告の様子は後ろ姿からしかうかがえないが、緊張からなのか、両耳が赤くほてっているようだ。少年の家庭環境に関する質問から、さらに高校生活に言及する。被告によると、高校生活は楽しかったものの、2年の夏以降は遅刻が増えていったという》
弁護人「次に高校生活ですが、高校はどんな学校に進学しましたか」
被告「定時制の普通科です」
弁護人「第一志望でしたか」
被告「いや。(他の学校も)受けたけれどだめでした。1年生のときは楽しかったです。Cとは2年生のときに仲良くなりました」
弁護人「2、3年生のとはちゃんと学校に行きましたか」
被告「たまに遅刻したり…」
弁護人「理由は」
被告「バイトや友達と遊んでいて遅れてました」
弁護人「アルバイトがしたかったのですか」
被告「自分の携帯代を払うために」
弁護人「小遣いは何に使いましたか」
被告「携帯代とかを払うために」
弁護人「(学校ではなく)遊ぶのを優先したのはなぜですか」
被告「楽しくて時間を忘れてました」
弁護士「高3のときに鑑別所、その後保護観察処分ですが、日吉事件までどんな生活をしていましたか」
被告「はじめは学校に通っていたけれど、進級できないとのことで、遊びながら仕事を探しました」
弁護人「卒業したい気持ちはありましたか」
被告「はい。でも授業に出ていないので無理だと思いました」
弁護人「留年などは」
被告「年下に友達いないから(選択しなかった)」
弁護人「退学後はどんな生活をしていましたか。夢や目標はありましたか」
被告「持ってないです」
弁護人「高校に入るときは」
被告「ないです。探すつもりで高校に入りました」
 《改めて、犯行に至った心の動きなどについて細かな質問が続く。傍聴席では記者たちが、被告の言葉を一言一句漏らすまいとメモ書きの手を走らせる》
弁護人「次に事件のときの気持ちについて。切りつけたときの気持ちはどうでしたか」
被告「『殺してやる』と思いました。これはけんかのときの冗談半分の気持ちで」
弁護人「ほほを切った後、腕や足を切っていますが、どう気持ちが変わっていきましたか」
被告「痛めつけてやろうと思いました」
弁護人「怒っていた」
被告「はい」
弁護人「なんで首を切ろうと」
被告「首やったら死ぬかなと思い、切りました」
弁護人「確実に殺そうと思った?」
被告「いざやったら自分じゃできないと思いました」
弁護人「殺してみようという気持ちはあった?」
被告「殺そうと思ったけど実際はうまくできなかったです。怖くなりました」
弁護人「力は思い切り入りました?」
被告「力はあまり入らなかったです。自分ではできないと思い、Cに『替わって』と頼みました。Cに自分の代わりに切ってほしいというのと、止めてほしいという気持ちが半々くらいでした」
弁護人「Bに対しても代わるよう頼んでいますが、これも同じですか」
被告「はい」
弁護人「止めてほしい気持ちと言いましたが、途中でやめようとは思わなかったのですか」
被告「やめたら、その後どうしたらいいのかわからなかったです。救急車などを呼ばれて捕まるのはこわい。上村君がX兄などに言いつけてしまえば、自分が仕返しをくらうと思いました」
弁護人「最後はどうしたらいいかわからない状態?」
被告「どうしたらいいかわかりませんでした」
弁護人「Cが途中でやめようと言っていたらどうでしたか」
被告「やめていました。やめてCと一緒にどうしたらいいか考えていました」
弁護人「B、Cに対しては今どのような気持ちですか」
被告「巻き込んじゃったなと思います」
弁護人「(暴行を加えていたときに)Bは納得していた様子でしたか」
被告「はじめは嫌がっていましたが、しぶしぶ納得していたように思います」
弁護人「しぶしぶでも、納得はしていた?」
被告「はい」
弁護人「Cはどんな気持ちのように思いましたか」
被告「自分の気持ちを察して一緒にやっていたように思います」
弁護人「察して、とは」
被告「河川敷に向かう途中で『調子に乗ってる』と一緒に話したから」
 《被告とCは、上村君を迎えに行ったBと合流する前、被告宅にX兄弟が来たことや、上村君が“エス”(賽銭泥棒)のことをXたちに話していると後輩たちから伝え聞いたことについて話し合っていた。被告人質問の前半で、自ら当時の気持ちを「イライラしてきた」と振り返っている》
弁護人「1人だったらやっていましたか」
被告「やらないです。物とか使って傷つけない。カッターが出てきてB、Cがいたから気持ちが大きくなった。引くに引けなくなりました」
弁護人「今振り返ってどんなことを思いますか」
被告「上村君にひどいことをしてしまった。親にも迷惑をかけた」
弁護人「ひどいこととは何が」
被告「カッターで切りつけたり、川で泳がせたりしたことです」
弁護人「なぜそれがひどいことだと」
被告「痛めつけて殺してしまった。こわい思いをさせてしまったからです」
弁護人「なぜやりましたか」
被告「腹をたてました」
弁護人「自分がこうだったら起きなかったというのはありますか」
被告「考えたりしていれば。冷静に話し合いですませていればよかったです」
弁護人「カッターを受け取って、何で止められなくなった?」
 《これまで感情を表さず淡々と答えていた被告だが、言葉に詰まるように沈黙する》
被告「その場の雰囲気などでやめられなくなってしまいました」
弁護人「どうしてよいかわからなくなって雰囲気に流されてしまった?」
被告「はい」
弁護人「自分の性格や考え方を直すべきとは思いますか」
被告「自分の気持ちが弱いところがあります。そこを直したいと思います」
弁護人「どんなところが弱いですか」
被告「自分の怒りの気持ちに流されてしまうところなどです」
弁護人「今回、殺してしまって、上村君には悪いところがあったのかな」
被告「絶対ないです」
弁護人「なぐったりしたことは悪いことですか」
被告「はい」
弁護人「カッターで切ることは悪いことですか」
被告「はい」
弁護人「死んでしまって、他に悲しい人がいることはわかりますか」
被告「はい」
弁護人「死なせた責任をどうとりますか」
被告「上村君を忘れずに背負っていくことです」
弁護人「これからA君は施設で過ごすことになりますが、判決決定までどういう風に過ごしますか」
被告「上村君を忘れずに、自分の気持ちを深く持って、生きていきたいです」
弁護人「弁護人からは以上です」
 《女性弁護士が着席すると男性弁護人が立ち上がり、追加の質問を行った》
弁護人「身近で今まで亡くなった方はいますか」
被告「いません」
弁護人「自分の大事な人が亡くなることを想像したことは?」
被告「1回もないです」
弁護人「お父さんやお母さんがこの世界からいなくなったと想像してみたらどう思う?」  
被告「すごく悲しいです。悲しい気持ちになります」
弁護人「誰かに殺されたとしたら」
被告「殺した人が憎いと思います」
弁護人「今自分が逆の立場にいるって理解している?」
被告「はい」
弁護人「(上村さんの)家族に対して思うことは」
被告「申し訳ないと思っています。やってはいけないことをしてしまったと…すごく反省しています」
弁護人「これから自分が上村君のためにできることは何だと思う?」
被告「今は謝ったりすることしかできません」
弁護人「上村君は帰ってこないけど、あなたはここにいるわけだよね。これから長い時間、ちゃんと考えていける?」
被告「はい、考えていけます」
弁護人「死ぬまで忘れちゃだめよ」
被告「はい」
 《弁護人からの質問が終了し、裁判長が「明日10時から再び、被告人質問を行います」と話した。少年が退廷するために白いついたてが立てられ、一日目の公判は終了した》
 =(完)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 第2回公判 2016/2/3 被告人質問②「死刑、覚悟はあります」
川崎中1(上村遼太さん)殺害事件 主犯格少年 初公判 2016/2/2 冒頭陳述詳報 公訴事実「間違いありません」
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