聖書の苛烈とイスラム…〈来栖の独白〉 / 「モーセの十戒」と「十善戒(仏教)」

2015-02-22 | 日録

〈来栖の独白 2015/2/21 Sat.〉
 昨日午後は、名古屋能楽堂。3月7日の定例能「定家」の事前講座を聴きに。午前中に、『毎日のミサ』による聖書朗読と典礼聖歌の弾き歌い。
 典礼聖歌(天上を思わせるメロディと歌詞)は、私の気持を引き立たせてくれる。支えてくれる。
 聖書朗読の中で日々感じることは、<旧約聖書の苛烈>である。日本では、当たり前のように「人命第一」というが、聖書の世界は、そうではない。最重要な戒めは、「神を蔑ろにするな」である。「偶像崇拝禁止」である。この戒を犯す者に、神は容赦ない。
 カトリック教会では、先週2月18日が「灰の水曜日」で、本日2月22日、「四旬節」に入った。聖書の朗読箇所も、四旬節に相応しいものが続く。例えば、2月19日(木)の第一朗読。 申命記30・15~20

  〈モーセは民に言った。〉見よ、わたしは、きょう、命とさいわい、および死と災をあなたの前に置いた。 
  すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神、主を愛し、その道に歩み、その戒めと定めと、おきてとを守ることを命じる。それに従うならば、あなたは生きながらえ、その数は多くなるであろう。またあなたの神、主はあなたが行って取る地であなたを祝福されるであろう。 
  しかし、もしあなたが心をそむけて聞き従わず、誘われて他の神々を拝み、それに仕えるならば、 
  わたしは、きょう、あなたがたに告げる。あなたがたは必ず滅びるであろう。あなたがたはヨルダンを渡り、はいって行って取る地でながく命を保つことができないであろう。 
  わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対する証人とする。わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。 
  すなわちあなたの神、主を愛して、その声を聞き、主につき従わなければならない。そうすればあなたは命を得、かつ長く命を保つことができ、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地に住むことができるであろう。

 「神ヤーウェの外、何ものも神とするな」というモーセの第1戒を守らない者には命の保証はない、と神は言う。ユダヤの民が聖書(旧約)を信じてきたように、後発ではあるがクルアーンを信じてきたのがイスラムの人たちだ。どちらも「苛烈」ということでは同じだ。苛烈になるのは、「不殺生」ではなく、「偶像崇拝禁止」が第一戒だからだろうか。そんなふうに思える。世界は必ずしも「不殺生」を第一戒とする民族ばかりではない。これは、考えようによっては恐ろしい。
 それでも、私は聖書に強く惹かれる。最近はとりわけ旧約に惹かれてならない。「無茶苦茶言ってるな。正気じゃぁ、信じられないよ」などと呆れながらも、絶対者、唯一の神の言われる言葉である(迷いとか逡巡のような人間的なものが一切ない)故、惹かれるのかもしれない。仏教だと、親鸞聖人さんじゃないが、悩んでしまいそうだ。因みに、カトリック教会の「主の祈り」は、以下のようである。敢えて、文語で。

天にまします我らの父よ
願わくは
み名の尊まれんことを み国の来たらんことを
み旨の天に行わるる如く地にも行われんことを
 我らの日用の糧を今日我らに与え給え
 我らが人に許す如く我らの罪を許し給え
 我らを試みにひきたまわざれ
 我らを惡より救い給え


亀山郁夫氏の講座『謎解きカラマーゾフの兄弟④ 2014.01.16 Thu. 「六、汝殺すなかれ」   

モーセの十戒
一、我は汝の神ヤーウェ、我の外何ものも神とするなかれ
二、汝自らのために偶像を作って拝み仕えるなかれ
三、汝の神ヤーウェの名をみだりに唱えるなかれ
四、安息日をおぼえてこれを聖くせよ
五、汝の父母を敬え
六、汝殺すなかれ
七、汝姦淫するなかれ
八、汝盗むなかれ
九、汝隣人に対して偽りの証をするなかれ
十、汝隣人の家に欲を出すなかれ

十善戒(仏教)
一、不殺生(ふせっしょう) むやみに生き物を傷つけない
二、不偸盗(ふちゅうとう) ものを盗まない
三、不邪淫(ふじゃいん)  男女の道を乱さない
四、不妄語(ふもうご)   嘘をつかない
五、不綺語(ふきご)    無意味なおしゃべりをしない
六、不悪口(ふあっく)   乱暴なことばを使わない
七、不両舌(ふりょうぜつ) 筋の通らないことを言わない
八、不慳貪(ふけんどん)  欲深いことをしない
九、不瞋恚(ふしんに)   耐え忍んで怒らない
十、不邪見(ふじゃけん)  まちがった考え方をしない

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グローバル社会の必須教養 ビジネスマンよ、宗教を学べ「世界は宗教で動いてる」橋爪大三郎 / 座談会 1. 
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