【雇用崩壊】漬物開発、6人の再出発

2009-01-12 | 社会
【雇用崩壊】
派遣の涙が隠し味に 漬物開発、6人の再出発
2009年1月12日
 愛知県刈谷市の人材派遣会社が、派遣した企業から「派遣切り」にあった自社の契約社員の若者6人を正規社員として採用し、食品の新製品開発に当たらせ、近く販売することが決まった。正規社員となった若者たちは「いずれ自分たちの工場を持ちたい」と夢を膨らませている。
 この会社は同市幸町の「アクティブ」。昨年秋までは自動車関連メーカーなどへ140人規模で契約社員を派遣したり、請負をしたりしてきた。景気の悪化で契約社員は現在、65人規模にまで激減した。
 同社の松山一男会長(55)が「派遣先に頼るだけでは、良くなる保証はない。雇用を守るためには、自分たちで何かを始めなければ」と昨年10月ごろ、趣味で手掛けていた漬物の商品化を思いついた。
 派遣先ではリーダー的な役割をしていた20代から30代の契約社員6人に声を掛け、採用を決めた。同社の6人の従業員とは別に、新たに造った調理施設で開発に当たってもらった。
 松山会長が作っていた牛乳からとれる乳清を使った漬物をさらに研究。辛いキムチもまろやかな味に仕上がった。第1弾としてキムチ製品を売り出し、かわいい牛のデザインの商品ロゴも社員が描いた。今後、ゴボウやキュウリ、カブなども加える。
 商品は「乳清キムチ」や乳清の英語表記ホエーを使った「ホエー漬(づけ)」と名づけ、商標登録を申請中。社員は商品開発や営業を担当し、県内の漬物メーカーと契約して生産する。
 商品化に当たった社員の1人、木本走さん(25)は、自動車部品をフォークリフトで運ぶ作業をしていたが、昨年10月、突然契約を切られた。漬物づくりについては「最初は戸惑ったが、食品の市場は大きいと分かった。日本全国に広めて今の苦境を乗り越えてやりたい」と意気込む。
 松山会長は「今残っている社員を守っていくのも大変な状況だが、こんな時こそ夢を与えられるものがあれば。待機状態になっている人にも仕事を提供できるようになりたい」と話している。新製品への問い合わせは同社=電0566(63)5188=へ。

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