速やかに憲法9条2項を改正 自衛隊法改正に取り掛かるべき 百地章

2015-04-22 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2013.11.30 09:52更新
【中高生のための国民の憲法講座】第22講 尖閣守るため領域警備規定を 百地章先生
 平成22年9月の「尖閣事件」から、3年がたちました。中国はその後、尖閣諸島を奪おうとし、現在では中国公船(政府当局の船)が、わが国の接続水域をわがもの顔に航行し、領海侵犯を繰り返しています。また先日は、尖閣諸島の上空に中国の防空識別圏(領空侵犯を防ぐための空域)を設定してしまいました。中国が本気で尖閣を奪取しようとしていることは間違いありません。
■ゲリラ部隊どう阻止
 中国は尖閣諸島の領有権を主張するだけでなく、同諸島をチベットやウイグルと同様に「核心的利益」と位置づけています。つまり、尖閣諸島を奪い取るためには武力行使も辞さないというのが中国の立場です。このような中で、もしゲリラ部隊が尖閣諸島に強行上陸を試みた場合、一体どのようにして阻止するのでしょうか。
 事件後、尖閣諸島を守る国民運動が全国で展開され、超党派の国会議員や政府を動かした結果、昨年の国会で、海上保安庁法等が改正されました。そして領海内で違法操業をしている外国漁船などに対しては、立ち入り検査なしに直ちに「退去命令」を出し、従わない場合は退去命令違反で「拿捕(だほ)」することができるようになりました。
 とはいえ、尖閣諸島をはじめとするわが国の領土・領海をしっかりと防衛するためには、やはり自衛隊法の改正が不可欠です。なぜなら海上保安庁が行使するのは警察権で、取り締まれるのは漁船等だけだからです。政府の公船や軍艦に対しては、自衛隊が対応するしかありません。ところが現在の自衛隊法には「領空侵犯」規定があるだけで、「領海侵犯」や「領土侵犯」対処規定は存在しないのです。
■侵略の未然防止を
 したがって自衛隊法に「警戒監視」や「領域警備」規定を定め、平素から「警戒監視」任務に当たらせるとともに、「治安出動」や「防衛出動」に至らない段階から「領域警備」ができるようにしておく必要があります。
 現在の自衛隊法では、「武力攻撃」つまり「外国による組織的計画的な武力の行使」が発生しない限り、自衛隊は出動できません。つまり、たとえ中国や北朝鮮などのゲリラ部隊が領土・領海を侵犯しても、自衛隊にはこれに対処する任務も権限も与えられていないわけです。したがって、このような領域侵犯や小規模攻撃に適切に対処し、侵略を未然に防止するためにも、自衛隊法に「領域警備規定」を定めておく必要があります。
 これは、国連憲章51条に定められた自衛権、つまり外国から組織的な「武力攻撃」を受けた際に発動される自衛権ではなく、慣習国際法上の自衛権によるものです。この自衛権のことを「マイナー自衛権」とも呼びます。そしてこれに基づき、自衛隊と海上保安庁等が共同で対処することによって、武装工作員らの領土・領海侵犯を未然に防ぎ、侵略を阻止することができるわけです。
 もちろん、速やかに憲法9条2項を改正して自衛隊を「軍隊」とすべきですが、すぐにでも自衛隊法改正に取り掛かるべきではないでしょうか。
【プロフィル】百地章
 ももち・あきら 京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学教授を経て現在、日本大学法学部教授。国士舘大学大学院客員教授。専門は憲法学。法学博士。産経新聞「国民の憲法」起草委員。著書に『憲法の常識 常識の憲法』『憲法と日本の再生』『「人権擁護法」と言論の危機』『外国人参政権問題Q&A』など。67歳。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
-------------------------------------------------------

第9条 条文
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【産経抄】7月17日
 2013.7.17 03:11
 「釜中(ふちゅう)の魚」という言葉がある。釜の水がいずれ熱くなり、煮られることを知らずに泳ぐ魚のように、将来の危機に気付かない能天気さを言う。中国古代の史書『資治通鑑』の中で、さる盗賊の親玉が自らの置かれた状況をそう例えたのだという。▼さしずめ、バブル崩壊の兆しに気付かず、経済発展に酔っている今の中国がそうなのかもしれない。いや隣国の経済どころではない。国の安全や領土が年々、危うくなってきているのに、身を守るための憲法改正論議を怠ってきた。日本の政治も十分「釜中の魚」だ。▼それでも憲法施行後10年ほどは、保守勢力が改正を掲げて選挙を戦ったこともあった。東西冷戦の激化で安全が脅かされるという危機感があったからだ。しかし改正の発議に必要な3分の2以上の議席にどうしても届かないと、しだいに熱はさめてくる。▼冷戦が西側の「勝利」で終わると、もはや憲法論議は選挙戦の埒外(らちがい)に置かれた。「票にならない」「今緊急の課題ではない」といった理由だった。唯一の超大国、米国の傘の下に身を寄せていれば安全だ。釜の中の水は当分、熱くはならないと思い込んできたのである。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【 国際環境は悠長な対応を許さない~9条の改正は必要不可欠だ 】 田久保忠衛 2013-07-23 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
安倍首相 70年談話「過去の談話をもう一度書く必要はない。同じことを言うのなら新たな談話、必要ない」 2015-04-22  


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。