オウム菊地被告の無罪確定へ 都庁爆弾事件、上告棄却
日本経済新聞 2017/12/27 10:33 (2017/12/27 11:04更新)
オウム真理教が1995年に起こした東京都庁小包爆弾事件に関与したとして殺人未遂ほう助罪などに問われた元信者、菊地直子被告(46)の上告審で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は27日までに、検察側の上告を棄却する決定をした。決定は25日付。逆転無罪とした二審・東京高裁判決が確定する。
教団が起こした事件で判決が確定していないのは菊地元信者と、地下鉄サリン事件などで起訴された元信者の高橋克也被告(59)=一、二審で無期懲役=の2人。菊地元信者の無罪判決が確定すると、残るのは高橋被告1人となる。
菊地元信者は、人を殺傷する事件に使われると知りながら爆薬原料の薬品を運んだとして起訴された。弁護側は「薬品を運んだが、爆薬に使われるとは知らなかった」と無罪を主張。事件当時の認識が争点となった。
第1小法廷は決定理由で、教団元幹部の証言などをもとに有罪とした一審の判断について「抽象的な可能性の指摘にすぎず、殺人未遂ほう助罪と認めるには飛躍がある」と指摘。二審の無罪は結論として是認できるとした。裁判官5人の全員一致。
2014年6月の一審・東京地裁の裁判員裁判判決は懲役5年の実刑とした。菊地元信者に容器に入った爆薬を見せ、ねぎらいの言葉をかけたとする元幹部、井上嘉浩死刑囚(47)の法廷証言などを根拠に「薬品で作られた化合物が、テロ事件に使われることを認識していた」と判断した。
一方、15年11月の二審判決は、井上死刑囚の証言について「長い年月を経ているのに詳細かつ具体的で不自然だ」として信用性を否定。元信者が危険なテロ行為を認識していたと認めるには疑いが残るとし、逆転無罪を言い渡した。
検察側は上告し、二審判決の破棄を求めた。
事件は元代表の松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、62)の逮捕と同じ、95年5月16日に起きた。爆弾を仕掛けた小包が都知事秘書室で爆発し、男性職員が左手の指を失うなどの重傷を負った。
教団をめぐる刑事裁判は、11年までに起訴された189人全員の判決が確定し、いったん終結した。その後、長期逃亡した3人が逮捕され、元幹部の平田信受刑者(52)は16年に懲役9年の実刑が確定。高橋被告は一、二審で無期懲役となり、最高裁に上告している。
◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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<裁判>菊地直子元信者、公判で「謝罪」「否認」の葛藤
2017/12/27(水) 11:53配信 毎日新聞
オウム真理教による1995年5月の東京都庁の爆発物事件から22年。17年間の逃走の末に逮捕された菊地直子元信者(46)はこれまでの裁判で事件について謝罪する一方、罪の認識はなかったとして一貫して無罪を主張してきた。1審有罪、2審逆転無罪と変転した司法判断は、最高裁の上告棄却決定で、全面無罪が確定する見通しとなった。【伊藤直孝】
菊地元信者は事件前の95年4月に山梨県内の教団施設から東京都内のアジトに5回にわたり爆弾の原料となった薬品類を運ぶなどしたとして、殺人未遂ほう助罪などで起訴された。1審では、90年に教団の本を読み、親の反対を振り切って出家したと説明。教団では陸上部に所属し、毎日40~60キロを走ったとも述べた。爆発物事件発生から6日後に特別手配され、ランニングの映像が繰り返しテレビに流されて「走る爆弾娘」とも呼ばれた。
特別手配中は高橋克也被告(59)=1、2審で無期懲役、上告中=とともに埼玉県所沢市や川崎市を転々とし、07年に別の男性と同居を始めたとされる。逃亡の末、2012年6月に逮捕。「(同居男性との)幸せを壊したくなかった」。逃走を続けた理由について、警視庁にはそう説明したという。
東京地裁の裁判では「本当に申し訳ございません」と陳謝する一方、「指示を受けて薬品を運んだことは間違いないが、爆薬の原料とは知らなかった。事件に使われることも想像していなかった」と起訴内容を否認した。
また地下鉄サリン事件後の教団への捜査については「宗教弾圧だと思っていた」と振り返り、松本智津夫死刑囚(62)に対しては「ひどい事件を起こした。彼はいったい何だったんだろうと。疑問はある」と明らかにした。
1審判決は懲役5年の実刑だったが、東京高裁は2015年11月に地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。「法律的には無罪となったが、客観的にはあなたが運んだ薬品で重大な犯罪が行われ、(被害者が)指を失うという結果が生じている」。高裁の裁判長に説諭されて涙を流した元信者は、釈放後に「裁判長からの言葉を今後の人生で重く受け止めていきたい」との談話を発表していた。
最終更新:12/27(水) 12:33 毎日新聞
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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⇒ 【元オウム菊地直子さんの無罪確定がマスコミにつきつけた重たい課題】 篠田博之 2017/12/28
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◇ 【オウム菊地直子元信者 無罪 2015/11/27】苦慮する検察、上告か? 断念か?
◇ 元オウム菊地直子被告無罪 釈放 東京高裁 2015/11/27 「きちんと事実見てくれた」菊地被告、判決に謝意
◇ オウム菊地直子元信者の2審無罪判決(2015/11/27)を不服として、東京高検が上告 2015/12/9
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◇ 元オウム・高橋克也被告が上告 2016/9/16付け
◇ オウム 高橋克也被告 2審も無期懲役 2016/9/7 地下鉄サリン事件で送迎役
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最高裁判所は、思慮深い、、そして当然の判決を示して下さいました。
菊地直子さんは、邪教によって洗脳され、利用されただけです。
彼女には、何の罪もありません。
指名手配当時の彼女の写真は、ぽっちゃりした可愛い女の子でしたが、逮捕された時はギスギスした中年女性になっておりました。
長い間の歳月と逃亡生活が彼女を同世代の人以上に老けこませたのでしょう。。。。ほんとに可哀想です。!!
どうか、これからの人生は、いままでの分を取り戻して幸せになっていただくように、彼女の為にお祈りいたします。
コメント、嬉しいです。菊地さんの幸せな前途を祈ります。
このニュースが言外に云っていることは、やがて来るオウム事件死刑囚の死刑執行でしょう。高橋克也被告が確定すれば、死刑執行の段階に入ります。
13人の死刑囚が東京拘置所一ヵ所に拘置されています。全員を同日、同所で執行するのは、困難ではないでしょうか(同一事件で、執行が同日でなかった例はあります・・・)。当局の頭を悩ませるところではないか、と思います。
麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚は拘禁病とも云われていますが。