エモーショナルなアボット氏から理知的なターンブル氏へ 首相交代で日豪の安全保障はどうなる?

2015-10-03 | 国際/中国/アジア

 産経ニュース 2015.10.3 07:00更新
【外交・安保取材の現場から】準同盟国・オーストラリアのターンブル新首相はオバマ米大統領に似てはいまいか?
 オーストラリアの与党・自由党の党首選でターンブル氏が勝利し、新首相に就任した。敗れて退陣したアボット前首相は、安倍晋三首相と蜜月関係を築き、日豪両国の安全保障関係を事実上の“準同盟国”に深化させてきた経緯がある。それだけに、新たに政権を率いるターンブル氏の人物評や安全保障政策に対するスタンスが、政府内で注目されている。
 「エモーショナルなアボット氏に比べ、ターンブル氏は理知的な人物だと聞いている。ビジネスライクなオバマ米大統領に似たタイプかもしれない。安倍首相と馬が合うかどうかは…」
 防衛省幹部はターンブル氏についてこう評価した。今後の日豪両首相の関係をやや不安視している。外交や安全保障戦略は内閣が代わっても一貫性を保つのがセオリーとはいえ、トップ同士の信頼関係が与える影響も少なくないからだ。
 思えば、アボット氏と安倍首相の蜜月ぶりは異例といえるほどだった。
 「日本に『フェア・ゴー(公平に行こうというオーストラリアの精神)』を与えてください。日本は今日の行動で判断されるべきだ。70年前の行動で判断されるべきではない」
 アボット氏は昨年7月、安倍首相との会談後の共同記者会見でこう述べ、首相が掲げる積極的平和主義に賛意を示した。
 その上で、「法の支配」という言葉まで口にし、東シナ海や南シナ海で一方的な海洋進出を図る中国を強く牽制した。さらには安倍首相を自国の国家安全保障会議(NSC)に招くなど、正式な同盟国と同等の待遇を見せていた。
 オーストラリアの与党・自由党の党首選でターンブル氏が勝利し、新首相に就任した。敗れて退陣したアボット前首相は、安倍晋三首相と蜜月関係を築き、日豪両国の安全保障関係を事実上の“準同盟国”に深化させてきた経緯がある。それだけに、新たに政権を率いるターンブル氏の人物評や安全保障政策に対するスタンスが、政府内で注目されている。
 「エモーショナルなアボット氏に比べ、ターンブル氏は理知的な人物だと聞いている。ビジネスライクなオバマ米大統領に似たタイプかもしれない。安倍首相と馬が合うかどうかは…」
 防衛省幹部はターンブル氏についてこう評価した。今後の日豪両首相の関係をやや不安視している。外交や安全保障戦略は内閣が代わっても一貫性を保つのがセオリーとはいえ、トップ同士の信頼関係が与える影響も少なくないからだ。
 思えば、アボット氏と安倍首相の蜜月ぶりは異例といえるほどだった。
 「日本に『フェア・ゴー(公平に行こうというオーストラリアの精神)』を与えてください。日本は今日の行動で判断されるべきだ。70年前の行動で判断されるべきではない」
 アボット氏は昨年7月、安倍首相との会談後の共同記者会見でこう述べ、首相が掲げる積極的平和主義に賛意を示した。
 その上で、「法の支配」という言葉まで口にし、東シナ海や南シナ海で一方的な海洋進出を図る中国を強く牽制した。さらには安倍首相を自国の国家安全保障会議(NSC)に招くなど、正式な同盟国と同等の待遇を見せていた。
 一方のターンブル氏はどうか。政府関係者は「経済政策で鳴らしてきた政治家だけに、安全保障戦略にも経済的観点が色濃く反映される可能性が高い。安保政策を大転換するようなことは考えにくいが、アボット氏のような態度は望めない」と予測する。
 ターンブル氏は首相就任後の豪メディアのインタビューで、南シナ海での中国の行動を「非生産的な外交政策」と指摘し、自制を求めた。一方、今年8月にシドニーで行った講演では、中国について「豪州と抗日で戦った最も長い同盟者だ」と述べている。
 中国への資源輸出を加速し、豪州経済を立て直したいのが“ホンネ”だとの見方が強い。一部の中国メディアは、ターンブル氏を「親中派」とみる。アボット氏も中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶなど経済面では連携姿勢を見せていたが、歴史観や安全保障面でここまで「中国寄り」(政府関係者)の発言をすることはなかったという。
 安倍首相は太平洋や東・南シナ海、インド洋での覇権を狙う中国を牽制するため、「安全保障のダイヤモンド構想」を提唱している。日本とハワイ(米国)、豪州、インドの4カ所をひし形に結び、日米豪印による「面」の抑止力で、アジア太平洋地域に安定をもたらそうとする戦略だ。
 その一角を占める豪州の態度は、戦略の成否を大きく左右する。防衛省幹部は「例えばターンブル政権の下で豪軍が南シナ海に対する関与を和らげれば、中国を利することになる」と危惧する。
 日本が豪州への売り込みを図る最新鋭「そうりゅう」型潜水艦の行方も微妙だ。豪政府は次期潜水艦の発注先として日本、ドイツ、フランスを対象に「競争評価」方式で選定を進めている。
 アボット氏やターンブル政権発足に伴い更迭されたアンドリュース前国防相は、高い技術を持つ日本の潜水艦に強い関心を示しており、日本が共同開発国に選ばれる公算が大きいとの見方がもっぱらだった。これに対しターンブル氏の方針は今のところ不透明で、防衛省は気をもんでいる。
 安全保障関連法が成立したことで、自衛隊は存立危機事態や重要影響事態で他国軍への後方支援が行えるようになる。同盟国である米軍のほか、準同盟国に位置づける豪軍への後方支援も想定しており、今後、そのための訓練や調整が活発化する。日本の安全保障政策は豪州との連携なしには成り立たない。
 防衛省幹部は「ターンブル氏の姿勢がどうであれ、自衛隊と豪軍の連携はこれまで以上に緊密にする必要がある」と強調する。(政治部 石鍋圭)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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安倍晋三首相が提唱した「セキュリティー・ダイヤモンド」安全保障 「インド・日本・ハワイ・豪州」連携 
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