「日本の次期首相・野田氏は軍人一家出身で強硬派」=中国報道
サーチナ2011/08/29(月)15:42
野田佳彦財務相が29日の民主党両議院総会で同党代表に選ばれたことで、中国メディアは一斉に、次期首相として野田財務相の経歴や考え方の紹介を始めた。中国新聞社は野田氏を「軍人一家の出身で強硬派」などと紹介した。
記事は、野田代表を「領土問題で中国に対して強硬」、「A級戦犯を、戦争犯罪者ではないと発言した」と紹介。「父親は陸上自衛隊の最精鋭部隊である第1空挺団(くうていだん)に所属する自衛官だった。野田氏は千葉県船橋市内の自衛隊の家族宿舎で成長した」と報じ、野田氏について「軍人一家の出身」との見方を示した。
記事は、野田代表が、従来の政府解釈である「宇宙技術は防衛目的で利用しない」を変更し、「防衛目的の宇宙利用は容認する」との主張にも触れ、「日本は宇宙の軍事利用も進めるべきと主張している」などと報じた。(編集担当:如月隼人)
◆「日本の国内法においてA級戦犯は戦争犯罪人ではない」という認識は、日本政府の公式見解である2011-08-18 | 政治〈国防/安全保障/領土
佐藤優の眼光紙背:第109回 2011年08月17日08時00分
8月15日の記者会見において、野田佳彦財務相が、「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」と発言したことに対し、韓国政府が反発している。朝日新聞の記事を引用しておく。
韓国「不適切」と批判 A級戦犯めぐる野田氏発言
韓国外交通商省は16日、野田佳彦財務相が15日の記者会見で「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」とする立場を示したことについて、「過去の日本帝国主義による侵略の歴史を否定しようとする不適切な言動だ」と批判する論評を発表した。
野田氏は野党時代の2005年10月に政府に提出した質問主意書の中で「すべての『戦犯』の名誉は法的に回復されている。すなわち、『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」とする見解を表明。15日の会見で考え方に変わりはないかと問われ、「考え方に基本的に変わりはない」と答えた。
また、首相の靖国神社参拝の是非について「首相になる方の判断だ」と述べたうえ、首相に就任した場合の自らの対応について「それは仮定(の話)だ」と明言を避けた。(8月16日asahi.com)
この記事を読むと、あたかも「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」というのが、野田氏独自の見解のように見えてしまうが、それは間違いだ。
2005年10月7日提出の質問主意書で野田氏は、
昭和二十七年五月一日、木村篤太郎法務総裁から戦犯の国内法上の解釈について変更が通達された。これによって戦犯拘禁中の死者はすべて「公務死」として、戦犯逮捕者は「抑留又は逮捕された者」として取り扱われることとなった。さらに「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の一部が改正され、戦犯としての拘留逮捕者を「被拘禁者」として扱い、当該拘禁中に死亡した場合はその遺族に扶助料を支給することとなった。これら解釈の変更ならびに法律改正は、国内法上は「戦犯」は存在しないと政府も国会も認識したからであると解釈できるが、現在の政府の見解はどうか。
と尋ねた。
これに対し、2005年10月25日に小泉純一郎内閣総理大臣名の答弁書で、
平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律(昭和二十七年法律第百三号)に基づき、平和条約第十一条による極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷が刑を科した者について、その刑の執行が巣鴨刑務所において行われるとともに、当該刑を科せられた者に対する赦免、刑の軽減及び仮出所が行われていた事実はあるが、その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない。
と答えている。この答弁書は閣議了解を得た、日本政府の公式見解である。
A級を含む戦犯に関して、「その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」というのが、自民党政権時代からの日本政府の公式見解なのである。韓国政府がこの事実を知らないはずがない。なぜ従来からの日本政府の見解を繰り返した野田財務相が、韓国政府から高飛車に批判されなくてはならないのか。理解に苦しむ。(2011年8月17日脱稿)
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金魚になれないどじょう、野田財務相の戦い
WSJ Japan Real Time2011/8/29 13:45
野田佳彦財務相は闇を知っている。普段は無口な印象の野田氏だが、民主党代表選の候補者演説では自らが政界入りするまでの険しい道のりを雄弁に語った。
野田佳彦財務相その思いは、「どじょうはどじょうの持ち味があります。金魚にはなれません」という言葉に凝縮されている。野田氏は自らを、泥臭いどじょうにたとえたのだ。
野田氏は、持ち時間の大半を使って現在の地位に至るまでの険しい道のりを説明。自分は千葉県の貧しい農家の家系に生まれたため、「ルックスはこの通り」と、都会派には見えない理由を語った。1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺を嘆く米国を白黒テレビで見たことが、政治家を目指すきっかけになったという。
当選までの道のりは長かったという。来る日も来る日も同じ場所でときには13時間にわたり街頭演説したが、その選挙では落選。千葉県議会議員に初当選を果たしたのは1987年だった。衆議院には93年に初めて当選したが、所属していた日本新党が解党するという憂き目にあった。
ただし、暗い話だけでは終わらなかった。野田氏はアサガオの例も出した。夜の冷たい暗さを経験したものだけが、翌朝にアサガオが咲いたときにその美しさを完全に理解し愛でることができるという。
記者: Yoree Koh
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◆民主党代表選 獄中の鈴木宗男氏が「野田佳彦だけはダメだ」永田議員を死に追いやった06年偽メール事件2011-08-16 | 政治
獄中のムネオが民主議員にメッセージ「野田だけはダメだ」
日刊ゲンダイ2011年8月15日
先日、小沢一郎元代表を支持する「北辰会」の会合で、気になる「緊急メッセージ」が読み上げられたという。鈴木宗男前衆院議員が、獄中から「野田だけはダメだ」という声明を寄せたのだ。
「増税などの政策的なマズさ以前に、野田氏は絶対に代表にはなってはいけない十字架を背負っている。後輩議員を死に追いやった暗い過去を忘れてはならないという内容でした。当時のことを詳しく知らない1年生議員の中には、初めて知る事実に言葉を失っている人もいました」(出席した議員)
ムネオの言う「十字架」とは、06年の「偽メール事件」だ。前原代表時代、が予算委員会で質問に立ち、メールの存在を示して自民党を追及。結局、このメールがガセと判明して永田は議員辞職に追い込まれた。当時、永田の質問にゴーサインを出したのが、国対委員長だった野田である。メールの裏取りもロクにせず、イケイケで永田をけしかけた。当時の事情を知る民主党関係者が言う。
「永田氏は、選挙区が隣の野田さんを兄貴分と慕っていました。偽メール事件で、当初は野田さんも永田氏を手放しで褒めていた。ところが、ガセと分かって批判を受けると、野田さんは永田氏をかばうこともなく、議員辞職するよう説得したのです。野田さんはかつて『永田のことは墓場まで持ってくしかねえなー』と笑いながら話していたものです」
野田の説得に折れて議員辞職した永田は、その後、徐々に精神に支障をきたし、09年1月にマンションから飛び降りて命を絶ってしまった。
弟分の命も救えなかった野田に、国民生活が救えるわけがないのだ。
*永田 寿康(ながた ひさやす、1969年9月2日 - 2009年1月3日)
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コラム:野田氏の試金石は成長力強化と増税、所得増の希望示せ
ロイター2011年08月29日19:04
[東京 29日 ロイター] 野田佳彦財務相が29日の民主党代表選で当選し、新首相の座を勝ち取った。財政再建への強い意欲は「逃げない政治家」としての安心感を誘うが、低下している日本の成長力を持ち上げる構想力の弱さが気になる。
成長力の強化と税負担の増大が両輪となって初めて財政再建は軌道に乗る。それにも増して未来の所得が増えるという希望を国民に示さなければ、増税に対する理解を得るのは難しいだろう。経済成長への期待感と負担増のバランスを図る努力が、野田新代表に求められる。
<ゼロ成長なら債務返済できず>
野田氏は新代表選出後の会見で、東日本大震災による原発事故への対応や、震災被害の復旧、復興に全力で取り組む方針を強調。合わせて1ドル=76円台の円高が続き、輸出企業の業績を圧迫している足元の経済情勢を乗り越えるための対応を着実に果たしていく方向性を示した。
だが、代表選における経済政策の説明の中でも、低下してきている日本の潜在成長率を上向かせる具体的な方策について、目新しい言及はなかった。大震災後の日本の潜在成長率は0.5%程度に低下しているとの試算が一部のシンクタンクからで出されている。国際的に低いと言われる現在の10年最長期国債の表面利率でさえ1%前半であり、もし、1%未満の経済成長が続くようなら、公的債務の国内総生産(GDP)比率は下がらない。
増税による債務負担能力の引き上げは、国債発行残高の対GDP比率をコントロールする上で不可欠だが、大幅な増税さえ実現できれば、日本の債務問題が解決するというのは間違いだ。放置すればゼロ%になりかねない日本経済の成長力を復活させるために、何ができるのか早急に対応策をまとめ上げる必要がある。
<米欧も悩む成長力低下>
実は同じように債務問題で悩む米国や欧州でも、成長力の低下に直面し、苦もんしている。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は26日の講演で、米経済の成長ペースが当初の見通しよりもスローダウンしていることを認めた。米民間調査機関の中には、2012年の成長率が2%そこそこまで低下すると、見通しを下方修正するところが出てきた。
欧州でも、好調だったドイツ経済に急減速の兆しがみえ、周辺国ではマイナス成長に転落する可能性が大きくなっているところも出始めた。成長率が低下すれば、債務返済の力が減少するだけでなく、国債金利が成長率を大幅に上回り続ければ、債務の対GDP比率は増大を続け、いずれかの段階で市場は債務不履行を宣告することになる。
ところが、米欧ともに特効薬だった「財政刺激策」を投入できなくなっている。特に米国では、住宅バブル崩壊による個人セクターのぜい弱化で、潜在成長力の低下が鮮明になり、「経済の日本化」が叫ばれ出した。明快な処方せんが書けず、途方に暮れている米欧政策当局の弱みを見て、世界の株式市場は下落基調を転換できずにいると私はみる。
<成長戦略の具体化、株価上昇の契機に>
そこで、日本が率先して新しい成長戦略を提示するべきだ。24日に政府が発表した緊急基金の創設は、日本企業による海外企業の買収の支援や資源・エネルギーの確保などに役立てることを目標にしている。この政策対応は、今までの守勢一方だった円高対策から一歩踏み出し、円高のプラス面に着目した評価できる内容だと考える。さらにアジアなどの新興国に進出する企業を後押しする税制を含めた政策対応が望まれる。こうした政策は、新興国の高成長を取り込む戦術と言えるだろう。
一方、国内企業の海外シフトで空洞化が懸念される国内経済への対応として、海外からの直接投資を含めた投資マネー流入策を立案するべきだ。この数年の対内直接投資は細る一方で、2010年はネットで4年ぶりの流出超に転じた。日本が海外企業の関心の対象外であることを物語っている。直接投資に関連した規制を大幅に緩和し、外資の流入を積極化させれば、国内雇用対策にもつながる。経済的な規制の緩和は、財政措置を伴わない効果のある政策だ。だが、所管する規制の緩和に官庁は概ね消極的であり、野田新代表がリーダーシップを発揮して、取り組みべき問題であると考える。
大震災の復興計画に沿って、2011年度第3次補正予算の編成を急ぐ姿勢を野田新代表は示したが、単なる復旧では、生産性の決して高くなかった東北地方の産業をそのまま復元することになりかねない。もし、大震災前の設備を作り直すだけの公共投資が展開されるなら、東北地方が新たな成長センターになるという希望は、絵に描いた餅になる。政府が主導して、太陽光パネルや風力発電関連の生産設備を量産できる経済特区を創設してほしい。ここでも野田新代表の政治力が不可欠だ。
2012年度予算編成の作業が本格化する前の11月までに、震災復興と成長戦略を組み合わせた計画を打ち出すことができれば、「野田内閣」の支持率は上向くに違いない。だが、市場は日本の政治に期待していない。特に増税路線の野田氏への警戒感は根強く、29日午後に日経平均が高値からじりじりと下げたのは、典型的な市場反応と言えるだろう。
こうした市場の低い期待値を裏切るかたちで、野田氏が具体的な政策を次々に打ち出せば、日経平均の上昇というかたちで示される。しかし、予想通りの新味なき政権運営に徹するなら、低成長を強いられる日本経済を反映した株価形成になると予想する。世論調査で国民全体の支持率がわかるように、株価でマーケットの期待度が図れるに違いない。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。