20、30代の自殺率最悪 失業、貧困…若者にズシリ 2010年5月13日 夕刊 警察庁は13日、昨年1年間に全国で自殺した3万2845人の年代や動機別の統計を公表した。20代、30代の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)が過去最悪となり、動機別では、失業や就職失敗、生活苦など経済的要因での自殺者数が前年より増加した。 昨年の自殺者数は前年比で596人(1・8%)増加した。1998年に3万人を超えて以来、12年連続で3万人を超えた。 年代別の自殺者数は50代が6491人で最も多く、次いで60代の5958人、40代の5261人、30代の4794人の順だった。20代は3470人。前年比で、30代以外はいずれも増加し、40代の増加幅が最大だった。 自殺率では、50代が38・5人で最も高く、次いで60代が33・5人、40代が32・1人だった。 20代の24・1人と30代の26・2人は、ともに統計が残る1978年以降で最悪。自殺率が低かった90年代前半は、20代は13人前後、30代は15人前後だった。 原因・動機を特定できたのは2万4434人。警察庁は2007年以降、1人につき判明分を3項目まで記録しており、「うつ病」などの健康問題が1万5867人で最も多かった。 次いで経済・生活問題が8377人、家庭問題4117人、「仕事の失敗」や「職場の人間関係」などの仕事関係が2528人などだった。 経済・生活問題を詳細にみると、「失業」が1071人で前年比65・3%と大幅増。中でも、30代は前年比で88%も増えた。「生活苦」は1731人で34・3%増。「就職失敗」は4割増の354人で、うち20代が122人で年代別で最多だった。 ◆悩み話せる関係築こう 若者の自殺率が過去最悪となったことについて、中部地方で自殺の防止活動を続ける関係者らは、就職難のほか人間関係の希薄さを原因に挙げる。 飛び降り自殺が多い福井県の東尋坊で防止活動に取り組むNPO法人「心に響く文集・編集局」が今年保護した28人のうち、約半数は20代後半から30代前半の男性だった。 茂幸雄代表(66)は「結婚して子どもをもうける普通の将来像を描けない若者が増えている」と分析。女性が結婚に求める条件も高くなり、「正社員になれない男性は行き場のない寂しさを感じている。雇用状況の整備が急務だ」と訴える。 「20~30代からの悩みの電話が近年、明らかに増えている」と話すのは、名古屋いのちの電話(名古屋市東区)=電052(931)4343=を運営する加藤省吾さん(67)。昨年は2万3800件の相談があり、年代別では30代が3割を占め最多。20代も3番目に多かった。 「死にたい」と口にする内容が多いという。リーマンショック後の一昨年末から「会社を解雇された」という訴えが急増し、うつ病などの人では「医者の相談時間が短い。ゆっくり話を聞いてほしい」との声が目立つ。加藤さんは「インターネットや携帯電話の便利さで、かえって健全なコミュニケーションができなくなっている」と説明。予防策として、対面コミュニケーションの場を多くつくることを提案する。 電話で自殺などの悩み相談に応じている三重県名張市の地蔵院青蓮寺住職、耕野一仁さん(61)=電0595(63)2191=は「『友人にも悩みを話せない』という若者の相談が多い。一緒に遊ぶつながりはあっても、本当に困ったときに相談できる関係を結べていない」と話す。 ........................................ 失業、生活苦で昨年の自殺増加 警察庁まとめ 2010年5月13日 13時23分 警察庁は13日、昨年の自殺者が確定値で12年連続3万人を超える3万2845人(前年比596人増)で、特定できた原因・動機のうち「失業」が65・3%増の1071人、「生活苦」が34・3%増の1731人とする自殺統計を公表した。 不況による自殺者の増加をうかがわせる結果となった。10万人当たりの自殺者数(自殺率)を年代別にみると、20代が24・1人と2年連続、30代が26・2人と3年連続で1978年の統計開始以来最多だった。 統計によると、遺書などで原因・動機が推定できた自殺者は約74%の2万4434人。前年比7・1%増の6949人だった「うつ病」が最多で、2007年から3年連続トップだった。 原因・動機は複合している場合が多く、警察庁は07年以降、約50項目に分類、判明分を1人につき3項目まで記録している。自殺率は50代が38・5人と突出。60代(33・5人)、40代(32・1人)と続く。40代の自殺者数は前年より5・9%(291人)も増え、中年層の深刻な状況が続いている。(共同)
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〈来栖の独白〉 折にふれ繰り返し読んできた『羅生門』、再び読んでいる。『歎異抄』の作者唯円はこの『羅生門』を読んだのではないか、親鸞は『羅生門』を読んだのではないか、と思わされる(!)ほど、親鸞の思想と『羅生門』が二重写しになる。『羅生門』の時代と親鸞の時代、そして今の時代が実に酷似していて切ない。言葉もない。