ALS患者を嘱託殺人疑い 京都府警、医師2人逮捕
中日新聞 2020年7月24日 朝刊
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼を受け、薬剤を投与して殺害したとして、京都府警は二十三日、嘱託殺人の疑いで、宮城県名取市でクリニックを営む仙台市泉区高森四、医師大久保愉一(よしかず)容疑者(42)と、東京都港区海岸一の医師山本直樹容疑者(43)を逮捕した。府警は二人の認否について明らかにしていない。
府警によると、女性は京都市中京区鍛冶町、無職林優里さん=当時(51)。捜査関係者によると会員制交流サイト(SNS)を通じて大久保容疑者に「安楽死させてほしい」という趣旨の依頼をした形跡があった。山本容疑者の口座には、林さんから百万円以上の現金が振り込まれていた。二人は主治医ではなく、府警は金銭目的で請け負った可能性があるとみて調べている。
逮捕容疑では昨年十一月三十日午後五時半ごろ、林さんの自宅マンションで、嘱託を受け、殺意を持って薬物を投与し、午後八時十分ごろ、搬送先の病院で、急性薬物中毒で死亡させたとされる。
林さんはヘルパーに「知り合いが来る」と伝え、二人を自宅に招き入れた。約五〜十分後には二人が部屋を後にし別室から戻ったヘルパーが意識不明となっているのを発見。体内から普段使っていない薬物が検出されたことから府警が捜査を開始し、防犯カメラの映像などから二人が浮上した。府警は関係地を家宅捜索した。
(中略)
林さんは一人暮らしだったが、病状が進行し24時間態勢の介護を受けるようになり、話すことはできるが体はほとんど動かせない状態だった。その後、声を出せなくなり視線入力で意思表示するようになった。ブログでは「こんな姿で生きたくないよ」とつづり、生死は自分で決めるとの意思を繰り返し示した。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖) *強調(=太字)は来栖