秋葉原無差別殺傷事件〈加藤智大被告〉第6回公判2010.3.15〈目撃者〉証人尋問 -上-

2010-03-15 | 秋葉原無差別殺傷事件

秋葉原無差別殺傷事件〈加藤智大被告〉第6回公判2010.3.15〈目撃者〉証人尋問 -上-
<産経ニュース2010/3/15>
 裁判長「主任弁護人が遅れているようです。本日の公判は、遮蔽(しゃへい)装置を行うことで合意していますから、その準備だけはしておきたいと思います」
 《証人として出廷する目撃者を、被告や傍聴人から見えないようにするため、裁判所の職員が証言台の周りに衝立を立てている。》《「すいません」。傍聴席後方の入り口から、主任弁護人が慌てたように入ってきた。席に座るのを待って、村山裁判官が改めて口を開く》
 裁判長「本日の公判は遮蔽措置をとることで合意しています。最初の証人は、いろんな関係で付添人が付くことになっています。それも考えて尋問を行ってください」
 裁判長「証人の名前と生年月日などは、このカードにある通りでいいですか」
 証人「…」
 証人「宣誓。良心に従い…」
 裁判長「いま宣誓をしていただきましたが、ウソをついたり、隠し事をしたりすると、制裁を受けることがあります。いま、あがっているというか、緊張していると思いますが、要は自分が考えている通りに答えればいいのです」《村山裁判長が諭すように話しかける。また、付添人に対しても、「証言内容に口を挟むことはできません。証人の体調に異変があった場合は手を挙げてください」と注意する。それが終わると、検察官の1人が立ち上がり、質問を始めた》
 検察官「あなたは平成20年6月8日、秋葉原で事件を目撃しましたね」
 証人「はい」
 検察官「裁判官の方を見て、ゆっくりと大きな声で話してください」
 証人「はい」
 検察官「その日は、どうして秋葉原に行ったのですか」
 証人「友達とアニメの専門ショップに行きました」
 検察官「その後はどうしましたか」
 証人「昼近くになったので、『ソフマップ』の中のマクドナルドに行きました」
 検察官「どこで事件を見ましたか」
 証人「ソフマップの南側だと思います」
 検察官「位置を明確化するために、地図を示します」
 検察官「まず、この地図に、あなたのいた場所を丸(で囲んで)『あ』と書き込んでください」
 検察官「マクドナルドの前にいたということですが、そのいた場所を図面上に書き込んでください」
 証人「はい」
 検察官「それでは、事件当日にあなたが何を目撃されたのかを聞いていきます。まず、その日、何が起こりましたか」
 証人「西の方でドンという音がしたので、その方向を見ました」
 検察官「その方向に何が見えましたか」
 証人「男の人がトラックにひかれていました」
 検察官「何人の人がトラックにひかれていましたか」
 証人「2人です」
 検察官「どんな様子でひかれていましたか」
 証人「1人がトラックの前輪の下で、もう1人が前輪と後輪の間にいました…」
 検察官「ひかれた人の年齢はいくつぐらいでしたか」
 証人「20歳ぐらいでした」
 検察官「顔は見えましたか」
 証人「見えませんでした」
 検察官「なぜ、ひかれた人は20歳ぐらいだと思えましたか」
 証人「服装からです」
 検察官「ひかれた2人はその後、どうなりましたか」
 証人「分かりません」
 検察官「なぜ、分からないのですか」
 証人「トラックを見ていたからです」
 検察官「トラックはどのように走っていましたか」
 証人「左右に動いていました」
 検察官「真っすぐではなく、左右に動きながら、ということですね」
 証人「はい」
 検察官「ブレーキを踏むようなことはありましたか」
 証人「ありませんでした」
 検察官「トラックは結局、どうなりましたか」
 証人「自分から見て東側に止まりました」
 検察官「トラックがどこに止まったか、図面上に印を付けてください」
 証人「はい」
 検察官「トラックは停止した後、何か変化がありましたか」
 証人「ドアが開きました」
 検察官「どのドアですか」
 証人「運転手側のドアです」
 検察官「乗っている人は見えましたか」
 証人「手だけしか見えませんでした」
 検察官「それから、トラックから誰か降りましたか」
 証人「男の人が降りました」
 検察官「男の人の様子はどうでしたか。どんな服装でしたか」
 証人「上下とも同じクリーム色の服装でした」
 検察官「上着はどんなものでしたか」
 証人「ブレザーのようなものでした」
 検察官「その人の特徴はどうでしたか」
 証人「短髪でおでこが見えて…、髪の毛は逆立ち、メガネをかけていました」
 検察官「年齢はどうでしたか」
 証人「30代ぐらいに見えました」
 《ここで検察官は衣服の写真を証人に見せた。加藤被告が事件当日、着用していた衣服のようだ》
 検察官「これは当日に見た服装と同じですか」
 証人「だいたい同じです」
 検察官「トラックから降りた男の人は、どんな姿勢でしたか」
 証人「右手を真っすぐに伸ばしていました」
 検察官「手には何か持っていましたか」
 証人「分かりませんでした」
 検察官「その男の人は、その後、どうしましたか」
 証人「トラックの後ろにいた男の人に向かって進みました」
 検察官「どのように進みましたか」
 証人「小走りでした」
 検察官「トラックの後ろにいた人の特徴はありましたか」
 証人「白っぽい服で、下は黒っぽいズボンでした」
 検察官「年齢はどれくらいに見えましたか」
 証人「20代ぐらい…」
 検察官「トラックから降りた男の人は、トラックの後ろにいた人に対して、どうしましたか」
 証人「右手を押し当てるようにしていました」
 検察官「具体的には?」
 証人「背中に手を押し当てるようにしていました」
 検察官「男の人の右手が伸びているのが見えましたか」
 証人「男性の影で見えませんでした」
 検察官「では、なぜ、そう見えたのですか」
 証人「(トラックから降りてきた男の)右肩が動いたからです」
 検察官「その後、トラックの後ろにいた男の人はどうなりましたか」
 証人「少し動いた…」
 検察官「トラックから降りた男の人は、その後、どうしましたか」
 証人「西側に小走りで行きました」
 検察官「トラックから降りてきた男が向かった先には、どんな人がいましたか」
 証人「白いワンピースのの女の人がいました」
 検察官「女の人はどちらを向いていましたか」
 証人「東側を向いていました」
 検察官「男はこの後、何をしましたか」
 証人「女の人に近づいていって右手をおなかのあたりに押し当てるように見えました」
 検察官「右手は見えましたか」
 証人「見えませんでした。ただ、右肩が女の人にかぶるように動いたのが見えました」
 検察官「女の人はその後どうなりましたか」
 証人「『痛い、痛い』と言っていました」
 検察官「トラックから降りてきた男はどうしましたか」
 証人「西側に向かって、今までよりも少し速く小走りをしていました」
 検察官「トラックから降りた男が小走りで移動した先に、誰がいましたか」
 証人「男の人がいました」
 検察官「どんな服装でしたか」
 証人「上がチェックのシャツで、リュックを持っていました」
 検察官「リュックを持った男性はどんな行動をとりましたか」
 証人「初めは東を向いていましたが、男が目の前にきたときに、右回りに西側を向きました」《リュックを持った被害者男性は、逃げようとしてトラックから降りてきた男に背を向けたようだ》
 検察官「トラックから降りてきた男は何かしましたか」
 証人「手に持っていた黒いものを、リュックを持った男性の背中に押し当てました」
 検察官「背中のどのあたりでしたか」
 証人「左側だったと思います」
 検察官「リュックを持った男性はどうなりましたか」
 証人「北側に向かってゆっくりと歩いて、車道と歩道の段差を枕代わりにしてあおむけに倒れてしまいました」
 検察官「その後、トラックから降りてきた男はどうしましたか」
 証人「西に向かってかなり速いスピードで走っていきました」
 検察官「走っているときに声を出していましたか」
 証人「奇声のようなものです。何を言っているかは聞き取れなかったです」
 検察官「あなたはどうしましたか」
 証人「マクドナルドの中に入りました」《トラックから降りてきた男が徐々に迫ってきたため、店の中に逃げ込んだようだ》
 検察官「マクドナルドにはどれくらいいましたか」
 証人「5分から10分くらいです」
 検察官「マクドナルドから出たときに、(刺された)3人の人はその場にいましたか」
 証人「いました」
 検察官「最初の男性はどういう様子でしたか」
 証人「歩道に座り込んでいました。女の人がそばにいました」
 検察官「女の人は(最初の)男性に何をしていましたか」
 証人「背中にハンカチを当てていました」
 検察官「最初の男性はけがをしていましたか」
 証人「ハンカチのはじから、赤いものがにじみ出ていました」
 検察官「白いワンピースの女性はどうでしたか」
 証人「東の方に頭を向けてあおむけになっていました」
 検察官「女性はけがをしていましたか」
 証人「はい」
 検察官「リュックを持った男性はどうでしたか」
 証人「目が半開きで口が大きく開いていました。あおむけで寝転がっていました」
 検察官「リュックを持った男性のところに、ほかの人はいましたか」
 証人「男の人がいました。リュックを持った男性を軽く揺さぶって声をかけていました」
 検察官「リュックを持った男性は反応していましたか」
 証人「反応していませんでした」
 検察官「事件のことを誰かに話しましたか」
 証人「学校の、よく秋葉原に来る友達にしました。『2、3週間くらい来ない(行かない)方がいいよ』といいました」
 検察官「なぜそう話しましたか」
 証人「もしかしたら、近いうちにまたあるかもしれないと思って、友達が刺されたり目撃者になるのはかわいそうと思いました」
 検察官「事件についてのニュースを見ましたか」
 証人「はい、事件直後に自分の部屋で見ました」
 検察官「どんな気持ちになりましたか」
 証人「関係ない人を巻き込んだので、悲しい気持ちになりました」
 検察官「悲しい気持ちになってあなたはどうなりましたか」
 証人「自然に涙が出てきました」
 検察官「事件を目撃した後、気持ちに変化はありましたか」
 証人「はい。外で遊んでいる子供たちの歓声が聞こえると、それだけで心配になってきます」
 検察官「子供たちの声がどう思えて心配なのですか」
 証人「大人が入って乱暴をしているのではないかと思ってしまいます」
 《次に検察官は、裁判官らの手元モニターに現場の写真を映し出した。3人の被害者が写っているかを確認するようだ。法廷内の大型モニターには映らない》
 検察官「この写真の男性は、あなたが目撃した人と比べどうですか」
 証人「同じです」
 検察官「この写真の中央下の白っぽい服を着た女性は、あなたの証言した白いワンピースを着た人と比べてどうですか」《ほかにも数枚の写真を示された目撃者の証人は、写真に写っているのが被害者の男性2人、女性1人であることを確認した。「私からの質問は以上です」。検察官は質問の終了を宣言。弁護側の質問に移る》
 弁護人「弁護人から質問します。あなたの証言されたトラックの揺れは蛇行するような感じでしたか、グラグラするという感じでしたか」
 証人「蛇行するような感じでした」
 弁護人「あなたの前を通り過ぎ、止まったトラックはどのように止まりましたか」
 証人「少し斜めに、少し減速しながら止まりました」
 弁護人「トラックが止まって車内から男が出てくるまではどのくらいの時間がかかりましたか」
 証人「3~5秒だったと思います」
 弁護人「止まってすぐという感じですか」
 証人「はい」
 弁護人「トラックから降りてきた男は、最初の(被害者の)男性に目標を定めて向かっていくという感じでしたか、それとも行った先に男性がいたという感じですか」
 証人「目標を定めていたかどうかは分かりません」
 弁護人「トラックから降りた男はどのような表情をしていましたか」
 証人「無表情に近かったです」
 弁護人「何か声を出していましたか」
 証人「出していませんでした」
 弁護人「男は小走りに走っていたということですが、被害者男性に右手を押し当てた時には止まっていましたか、走っていましたか」
 証人「走っていたままの状態でした」
 弁護人「その後、(次の被害者の)白いワンピースを着た女性のところに行く間に男は声を発していましたか」
 証人「出していませんでした」
 弁護人「女性と男は向かい合うような格好になったとのことですが、男は立ち止まりましたか」
 証人「立ち止まっていませんでした」
 弁護人「ずっと走った状態でしたか」
 証人「はい」
 弁護人「女性に狙いを定めるような感じでしたか」
 証人「ぶつかるような感じでした」
 弁護人「女性から(次の被害者の)男性の方へ向かう時の男の様子、表情は見えましたか」
 証人「近づくときはほとんど無表情でした」
 弁護人「何か声を出していましたか」
 証人「出していませんでした」
 弁護人「男はまっすぐ走っていましたか、ふらふらしていましたか」
 証人「まっすぐ走っていました」
 弁護人「男性の背中に男が何かを押し当てたように見えたとき、男は背中を狙っていましたか」
 証人「たぶん狙いを定めたのだと思います。狙いを定めて押し当てたように見えました」
 弁護人「男が奇声を発したのは押し当てた後ですか」
 証人「はい」
 弁護人「どのくらいの声の大きさでしたか」
 証人「どのくらいって…。けっこう大きな声で『ウオー』というような声でした」
 弁護人「トラックから降りてきた男性が被害者3人にぶつかったのを見たということですが、男性は途中で立ち止まることはありましたか」
 証人「ありません」
 弁護人「男性は後ろを振り返ったり、気にしたりするようなことはありましたか」
 証人「ありませんでした」
 《村山浩昭裁判長は休廷を告げた》

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です

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秋葉原無差別殺傷事件〈加藤智大被告〉第6回公判2010.3.15〈被害者婚約者 証人尋問 -中-


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