(1/20)オバマ新大統領の就任演説内容

2009-01-21 | 国際

(1/20)オバマ新大統領の就任演説内容(全文) オバマ新大統領の20日の就任演説の全文は次の通り。
 私は今、我々が直面する使命を謙虚に受け止め、あなたがたにもらった信頼に感謝し、先祖が払った犠牲を忘れない。ブッシュ大統領の国への奉仕と、政権移行期に示してくれた寛大で協力的な姿勢に感謝する。
 今をもって、44人の米国人が大統領の宣誓をした。宣誓は繁栄の高まりのなかで行われることもあれば、穏やかな平和のなかで発せられることもある。しかし、宣誓はしばしば嵐が巻き起こるなかで行われた。このような時にも米国が前進し続けたのは、単に高い地位にある者の能力やビジョンのためだけでなく、国民皆が先祖の理想や独立宣言に忠実であったためだ。
 ずっとそうあり続けてきたし、現世代の米国人もそうあるべきだ。
 よく理解されているように、我々は危機のまっただなかにいる。米国は幅広い暴力と憎しみのネットワークと戦争中だ。経済はひどく脆弱(ぜいじゃく)になった。それは一部の人々の強欲と無責任の代償でもあるが、同時に、難しい選択をせず、国家を新しい時代に準備してこなかった集団的な失敗でもある。家は失われ、仕事は奪われ、企業は破綻した。健康保険はコストがかかりすぎ、多くの学校が荒廃している。我々のエネルギーの消費の仕方が敵を強め、地球を脅かしていることは、日を追うごとに鮮明になっている。
 これらはデータや数字で表れる危機の指標だ。もっと把握しにくいのは、国中で徐々に弱っている自信、米国の衰退は不可避という恐れ、次世代は目標を縮小しなければならないという不安だ。
 今日、我々が直面している危機は現実のものだ。それらは深刻、そして多岐にわたる。短期間で解決できるものではない。しかしアメリカよ、これらは必ず解決できる。
 今日この日、我々は恐れより希望を、争いや仲たがいより共通の目的を選んだ結果、こうして集まった。今日この日、我々の政治を長いこと混乱させてきたつまらない不平や間違った約束、非難合戦、使い古されたドグマ(定説)などの終わりを宣言するために集まった。
 我々は若い国家であり続けるが、子供じみたことはもうやめるべきだ。我々の不朽の精神を再確認し、歴史の良い部分を振り返り「すべての人が対等で、自由で、完全な幸福を追求するチャンスを持つ」という代々受け継がれてきた高貴な神の約束を前進させる時がきた。
 我々は国のすばらしさを再確認するとき、その偉大さが決して生まれ持って与えられたものではないことを理解している。偉大さは働いて得たものでなくてはならない。我々の旅路は近道や妥協であったことはない。臆病者や道楽者、富と名声だけを求める者の道だったこともない。むしろリスクをとり、行動し、物を作り出す人々、その働きであるものは称賛され、ほとんどの場合は無名のままの男女が、繁栄と自由への長い道のりを導いてきてくれたのだ。
 彼らは私たちのために数少ない所持品をかばんにしまい、海洋を渡り歩き、新しい人生を探してくれた。
 彼らは私たちのために搾取工場で骨折って働き、西部に定住し、むち打ちに耐え、硬い地面を耕してくれた。
 彼らは私たちのために(独立戦争の)コンコルド、(南北戦争の)ゲティズバーグ、(第二次大戦の)ノルマンディ、(ベトナム戦争の)ケサンで戦い、命を落とした。
 これらの男女は私たちがよりよい暮らしができるために、何度も何度も苦闘し、犠牲を払い、手が腫れるまで働いてくれた。彼らの目に映る米国は、1人ひとりの大望の集合体よりもさらに大きいものだった。生まれや富や派閥の違いを超越した国だった。
 我々はこの旅路を続ける。我々は依然として地球上で最も繁栄し、強い国家だ。今回の危機が始まってから我々の労働者の生産性が落ちたわけではない。発明能力が低下したわけではない。商品やサービスに対する需要が先週、先月、昨年より減ったわけでもない。我々の収容力は衰えていない。ただし、現状維持、狭い権益の保護、不快な決断を先送りする時代は間違いなく過ぎ去った。今日から我々は立ち上がり、ホコリをはらい落とし、米国を再生する作業を始めなくてはならない。
 なぜならどこを見ても課題がある。経済の現状は断固とした迅速な行動を求めている。新しい雇用を創造するだけでなく、成長の新しい基盤を敷くために我々は行動する。
 我々は道路を建設し、橋を架け、商業を育てて我々を結びつける送電網や通信網を構築する。科学のレベルを引き上げ、医療・福祉の質の向上とコストを抑えるために素晴らしいテクノロジーを行使する。太陽、風、大地を使い自動車を動かし、工場を稼働する。新しい世代の需要に合うように学校や大学を変革していく。これらはすべて実現できる。そして我々はこれらをすべてやる。
 我々の志の大きさについて疑問を持つ人々がいる。彼らは我々のシステムがあまりに多くの計画に耐えられないと主張する。彼らはこの国がなし遂げたことを忘れている。自由な男女が共通の目的に向かって想像力を結集した時に何が可能かを忘れている。
 皮肉を言う者は、地殻変動が起きていることを理解していない。カビくさい政治論争はもはや通用しないのだ。我々が今日問うているのは、政府が大きすぎるか、小さすぎるかといったことではない。家族が収入が得られる仕事にありつけ、家族を養うことに寄与しているかなどといったことであり、政府が機能しているかどうかということなのだ。答えがイエスな部分については、我々は前進させる。答えがノーな部分については、その事業を中止する。国民の税金を管理するすべての者は説明責任を負う。使うべきところには賢く使い、悪い習性は直し、白昼堂々と仕事をしてこそ、初めて人民と政府の信頼を取り戻せるのだ。
 市場が善か悪かという問題でもない。市場ほど富を生み、自由を広げる力を持つものはない。しかし、今回の危機は、市場に対する監視の目がなければ、市場が制御不能に陥ることを思い出させた。国家は成功した者だけひいきしていては繁栄できない。我々の経済の成功は、単に国内総生産(GDP)の規模によるものではなく、繁栄、機会を広げてきたことに起因する。それは慈悲のためにしてきたことではなく、それが間違いなく共通の利益になるためだ。
 国防について言えば、安全と理想をてんびんにかける誤った選択を拒絶する。建国の父たちは法による支配や人権を確かなものにする憲章を書き上げた。憲章はその後の世代により拡大され、その理想は今でも世界を照らしている。前世代を思い起こせば、ファシズムや共産主義を倒したのはミサイルや戦車ではなく、強固な同盟と永続する信念だった。彼らは力のみでは自分たちを守れないことを理解していた。その代わり彼らは力を深慮をもって使うことでその力が増すことを知っていた。我々の安全は大義の公正さ、模範の持つ力、謙虚さや自制から生じるものだということも知っていた。
 我々はこの遺産の番人だ。この原則に導かれ、新たな脅威に立ち向かえる。我々は責任を持ってイラクを同国民に返し、苦労しながらアフガニスタンに平和をもたらす。旧友やかつての敵と手を携え、核の脅威を削減し、地球温暖化を逆戻りさせる。
 我々は自分たちの生き方について謝らないし、それを守ることに躊躇(ちゅうちょ)しない。自らの目的を達成するために、テロを使い、無実の人たちを殺害する者にいま告げる。我々の精神はあなた方より強く、決して砕けない。あなた方は我々より長続きすることは不可能であり、我々は必ずあなた方を打ち負かす。
 米国の多様性は弱みではなく、強みだ。我々はキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、無宗教の人がいて、すべての言語と文化が共存する国だ。米国は内戦や人種差別の苦々しさを経験し、その暗い歴史から、より強く、より団結し再浮上した。このため、我々は古い憎しみがいつの日か過ぎ去り、部族の線引きがやがて消えると信じている。世界が狭くなるに連れ、人類の共通意識が浮き彫りになる。米国は新しい平和の時代をもたらすために、役割を果たさなければならない。
 イスラム世界に言いたい。我々は相互利益と相互理解に基づいた新しい道を求める。対立を助長したり、社会の悪を西洋に責任転嫁したりする世界の指導者にはこう言いたい。あなたの国の国民は、あなたが何を壊すかによってではなく、何を築くかによってあなたを判断する。汚職とウソによって権力にすがりつく指導者に言いたい。あなたは歴史の間違った側にいる。しかし、その握りしめた拳を開けば、我々は手をさしのべる。
 貧しい途上国の人々に誓う。畑が豊かになり、きれいな水が流れるようになるようあなたがたとともに取り組んでいく。飢えた体を養い、向上心のある脳を満たす。米国のような豊かな国は、もはや諸外国の苦しみに無関心ではいられない。何の考慮もなしに資源を無駄遣いすることも、もうできない。世界が変わったため、我々もそれに合わせて変わらなければならない。
 我々の前に開かれた道を考えるとき、私たちはこの瞬間にもはるか遠くの砂漠や山々を警備している勇敢な米国人たちを謙虚な感謝とともに思い出す。アーリントン(国立墓地)に横たわる亡くなった英雄たちが時代を超えてささやくように、彼らも我々に何かを語りかけている。彼らは私たちの自由を守っているだけでなく、貢献の精神や、自分自身より大事な何かに意味を見いだそうとする意志を体現しており、我々は彼らを誇りに思う。現在世代を定義するであろう今この瞬間、この精神こそが我々みんなが持たなくてはいけないものだ。
 政府ができること、やらなければならないことはあるが、この国が頼りとするのは米国民の信念と決意だ。堤防が崩れた時に見知らぬ人を受け入れる優しさ、友人が職を失うくらいなら自分の労働時間を短縮する無私の心、煙に満ちた階段を駆け上る消防士の勇気。子どもを育てる親たちの意欲。これらが最終的に我々の運命を決める。
 我々が立ち向かう挑戦は新しい。それに立ち向かう手段も新しい。しかし、我々の成功のカギを握る価値観は古い。それは労働、勇気、公正さ、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心などだ。これらは我々の歴史を通じて前進の静かな原動力となってきた。
 いま求められているのはこうした真実に立ち戻ることだ。求められているのは新しい責任の時代だ。米国民の1人ひとりが個人、国家、世界に対して義務を負うという認識だ。嫌々請け負う義務ではなく、喜んでつかむ義務だ。難しい課題に全力で向かうことほど、精神を満たし、我々らしさを示すことはないからだ。
 これが米市民権の代価であり、約束である。それは我々の自信の源泉でもある。
 これが我々の自由と信条の意味なのだ。これがあるからこそ、きょうこの偉大なモール(並木道)にあらゆる人種とあらゆる宗教の男性、女性、子供が集まり祝うことができるのだ。これがあるから60年前ならレストランで食事をすることもできなかったかもしれない男の息子が、いまあなた方の前で最も神聖な宣誓をできるのだ。
 だから、我々がどれだけ歩んできたかを振り返りながら、この日を覚えておこう。米国が生まれた年、最も寒い月に、小さな愛国者の集団が川沿いに集まった。首都は見捨てられた。雪には血がにじんだ。革命(独立)の行方が最も危ぶまれた時、我々の国の創始者は人々にこう読むよう命じた。
 「未来の世界に我々はこう宣言する。希望と善以外は何一つ生き残ることができない真冬の日に、共通の危機に接した都市と国家はともにそれに立ち向かった」
 アメリカよ。危機に直面した今、この困難の冬に、我々はこの永遠の言葉を思い出そうではないか。希望と善によって、氷のように冷たい流れにもう一度勇敢に立ち向かい、いかなる嵐が訪れようとも耐えようではないか。子々孫々が今を振り返った時に、我々が試練の時に旅を終えることを拒否し、引き返すこともたじろぐこともなかったということを語り継がせようではないか。地平線に視線を定め、神の慈悲を身に浴びて、我々は自由という偉大な贈り物を運び、将来の世代に安全に送り届けたということを。(ワシントン支局) NIKKI NET

So let us mark this day with remembrance, of who we are and how far we have traveled. In the year of America's birth, in the coldest of months, a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river. The capital was abandoned. The enemy was advancing. The snow was stained with blood. At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt, the father of our nation ordered these words be read to the people:
"Let it be told to the future world...that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive...that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet [it]."
America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.


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