夫と義父母3人殺害、一人で介護の妻に懲役18年判決…「対処能力超え追い込まれた」
2021/1/5(火) 15:33配信 読売新聞オンライン
福井県敦賀市の自宅で介護していた夫と義理の両親の3人を殺害したとして、殺人罪に問われた岸本政子被告(72)の裁判員裁判で、福井地裁は5日、懲役18年(求刑・懲役20年)の判決を言い渡した。河村宜信裁判長は「3人の尊い命を奪った結果は重大だが、介護疲れがきっかけで、多分に同情の余地がある」と述べた。
介護していた夫と義理の両親の3人を殺害したとして、殺人罪に問われた福井県敦賀市の岸本政子被告(72)の裁判員裁判で、福井地裁は5日、懲役18年(求刑・懲役20年)の判決を言い渡した。河村宜信裁判長は「3人の尊い命を奪った結果は重大だが、介護疲れがきっかけで、多分に同情の余地がある」と述べた。
判決によると、岸本被告は介護を苦に3人を殺害して自殺しようと考え、2019年11月17日、敦賀市の自宅で義母の志のぶさん(当時95歳)、義父の芳雄さん(同93歳)、脳梗塞(こうそく)の診断を受けた夫の太喜雄さん(同70歳)の首をタオルで絞め、窒息死させた。
岸本被告は16年頃から3人の介護を一人で担い、事件の約半年前に強いストレスで心身に不調を来す「適応障害」を発症した。
判決は、捜査段階の精神鑑定結果を踏まえ、将来への不安や被告のまじめな性格が犯行に作用しており、適応障害の影響は限定的だったと判断し、完全責任能力を認めた。
その上で「被告は献身的な介護を続けたが、対処能力を超えて追い込まれた。明朗な性格で人並み以上に重い負担を抱えていた」などと指摘。こうした経緯を被告に有利に考慮すべきだとして「過去の3人殺害の事件より明らかに軽い量刑が相当だ」とした。
読売新聞オンライン配信
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2021.1.6 Wed〉
誰も、被告を責めることはできないだろう。佐藤みのり弁護士は
“ 民法上、夫婦や、親子孫…などは「扶養義務」を負うとされていますが、それは実際に「介護をしなければならない」という意味ではなく、あくまで経済的な支援のこと。法律で介護を強いれば、今回のようなことが起こりかねないからです。”
と言われる。家族であれ、介護には限界がある。
それにしても、今後さらなる高齢社会となり、介護施設の受け入れ能力にも限界がある。どうなるのだろう。恐ろしいばかりだ。
私は当エントリのタイトルを単に「3人殺害 懲役18年判決」とした。3人殺害なら通常は死刑だろうが、「無期」でもなく、実刑としたところに、当事件の内容が窺い知れる。