「強い思い持った政治家」 橋下大阪市長が小沢代表を評価

2012-09-01 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

「強い思い持った政治家」 橋下大阪市長が小沢代表を評価
産経ニュース2012.8.31 11:31
 大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長は31日、「国民の生活が第一」の小沢一郎代表について「統治機構を変えるという、強い思いを持った政治家なのは間違いない」と述べ、政治姿勢を評価する考えを示した。
 同時に「自分の思いを突き進めようと思えば、反対する人も山ほど出てくる。反対する人がいない政治家の方が役に立たない」と述べ、「剛腕」と呼ばれた小沢氏の政治手法にも理解を示した。
 市役所で記者団の質問に答えた。
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〈来栖の独白2012/8/31 Fri.〉
 馬鹿馬鹿しい。自分が何者なのか分かっていない橋下氏に小沢氏を理解できるはずもない。橋下氏の溶解・液状化は、ここまできた。

2012-08-31 23:39:30

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 「衆院定数を半減」 維新の会
東京新聞2012年8月27日 朝刊
 橋下徹大阪市長は二十六日、松山市で開いた中村時広愛媛県知事との対談で、自ら率いる大阪維新の会が次期衆院選公約「維新八策」に、衆院定数半減を盛り込むことを表明した。「四百八十人の衆院議員を二百四十人に半減すると維新としてしっかり出していく」と述べた。
 国会議員の給与にあたる歳費や政党交付金もそれぞれ三割カットする方向。数値目標を掲げて「身を切る」改革を前面に押し出し、議員定数削減に手間取る既成政党との違いを強調する狙い。
 ただ、具体的手順や小選挙区と比例代表の配分など詳細な説明はなかった。「一票の格差」解消のため大規模な区割り見直しも必要になるとみられ、実現は容易でなさそうだ。
 橋下氏は同会が立ち上げる新党への合流を希望する現職国会議員との公開議論を九月上旬に実施すると表明。「『一緒にやろう』と言ってくる国会議員は多いが、半減すると言えば、ほとんどみんな消え去っていく。国会議員に聞く」と述べ、議員選別の“踏み絵”にする意向も示した。
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〈来栖の独白2012/8/27Mon.〉
 衆議員定数を半減して、政治に民意が十分に反映されるだろうか。
 民主党政権にも困ったものだが、選んだ(政権交代させた)のは国民だ。その国民が今度は橋下維新を選ぶのか。「パンとサーカス」が、いよいよ姿を現してきた。その姿を見ないことには、国民は悟れないか・・・。
・月刊『文芸春秋』2012年3月号(1975年論文「日本の自殺」再掲載)より
 『日本の自殺』p20~
 ローマ市民の一部は1世紀以上にわたるポエニ戦争その他の理由で土地を失い経済的に没落し、事実上無産者と化して、市民権の名において救済と保障を、つまりは「シビル・ミニマム」を要求するようになった。
 よく知られている「パンとサーカス」の要求である。かれらは大土地所有者や政治家の門前に群がって「パン」を求め、大土地所有者や政治家もまたこれら市民大衆の支持と人気を得るためにひとりひとりに「パン」を与えたのである。このように働かずして無料の「パン」を保障されたかれら市民大衆は、時間を持て余さざるを得ない。どうしても退屈しのぎのためのマス・レジャー対策が必要となる。かくしてここに「サーカス」が登場することとなるのである。(略)
 だがこうして無償で「パンとサーカス」の供給を受け、権利を主張するが責任や義務を負うことを忘れて遊民化したローマの市民大衆は、その途端に、恐るべき精神的道徳的退廃と衰弱を開始したのである。(~p23)


政党政治が崩れる~問責国会が生む失望感===透けるポピュリズム
論壇時評 金子勝(かねこ・まさる=慶応大教授、財政学)2011/02/23Wed.中日新聞
 歴史の知識を持つ人にとって、今日の日本政治には政党政治が崩壊する臭いが漂っている。約80年前の大恐慌と同じく、今も百年に一度の世界金融危機が襲っており、時代的背景もそっくりだ。
 保坂正康「問責国会に蘇る昭和軍閥政治の悪夢」(『文藝春秋』3月号)は、昭和10年代の政治状況との類似性を指摘する。
 保坂によれば、「検察によるまったくのでっち上げ」であった「昨年の村木事件」は、財界人、政治家、官僚ら「16人が逮捕、起訴された」ものの「全員無罪」に終る昭和9年の「帝人事件」とそっくりである。それは「検察の正義が政治を主導していく」という「幻想」にとらわれ、「いよいよ頼れるのは軍部しかいないという状況」を生み出してしまった。
 ところが、「民主党現執行部」は「小沢潰しに検察を入れてしまうことの危険性」を自覚しておらず、もし小沢氏が無罪になった時に「政治に混乱だけが残る」ことに、保坂は不安を抱く。さらに「問責決議問題」は「国家の大事を政争の具にした」だけで、「事務所費問題」も、国会を「政策上の評価ではなく、不祥事ばかりが議論される場所」にしてしまった。
 保坂によれば、「最近の政党が劣化した原因」は「小泉政権による郵政選挙」であり、その原形は「東条内閣は非推薦候補を落とすため、その候補の選挙区に学者、言論人、官僚、軍人OBなどの著名人を『刺客』としてぶつけた」翼賛選挙(昭和17年4月)に求めることができるという。そしてヒトラーを「ワイマール共和国という当時最先端の民主的国家から生まれたモンスター」であるとしたうえで、「大阪の橋下徹知事」が「その気ならモンスターになれる能力と環境があることは否定できない」という。
 保坂とは政治的立場が異なると思われる山口二郎も、「国政を担う2大政党があまりにも無力で、国民の期待を裏切っているために、地方政治では既成の政治の破壊だけを売り物にする怪しげなリーダーが出没している。パンとサーカスで大衆を煽動するポピュリズムに、政党政治が自ら道を開く瀬戸際まで来ている。通常国会では、予算や予算関連法案をめぐって与野党の対決が深刻化し、統治がマヒ状態に陥る可能性もある」(「民主党の“失敗” 政党政治の危機をどう乗り越えるか」=『世界』3月号)という。
 山口も同じく、「小沢に対する検察の捜査は、政党政治に対する官僚権力の介入という別の問題をはらんでいる。検察の暴走が明らかになった今、起訴されただけで離党や議員辞職を要求するというのは、政党政治の自立性を自ら放棄することにつながる」とする一方で、「小沢が国会で釈明することを拒み続けるのは、民主党ももう一つの自民党に過ぎないという広めるだけである」という。
 そのうえで山口は「民主党内で結束を取り戻すということは、政策面で政権交代の大義を思い出すことにつながっている。小沢支持グループはマニフェスト遵守を主張して、菅首相のマニフェスト見直しと対決している」と述べ、民主党議員全員が「『生活第一』の理念に照らして、マニフェストの中のどの政策から先に実現するかという優先順位をつけ、そのための財源をどのように確保するかを考えるという作業にまじめに取り組まなければならない」と主張する。そして「菅首相が、財務省や経済界に対して筋を通すことができるかどうか」が「最後の一線」だとする。
 しかし残念ながら、菅政権は「最後の一線」を越えてしまったようだ。菅政権の政策はますます自民党寄りになっている。社会保障と税の一体改革では与謝野馨氏を入閣させ、また米国の「年次改革要望書」を「グローバルスタンダード」として受け入れていくTPP(環太平洋連携協定)を積極的に推進しようとしている。小泉「構造改革」を批判して政権についたはずの民主党政権が、小泉「構造改革」路線に非常に近づいている。
 まるで戦前の二大政党制の行き詰まりを再現しているようだ。戦前は、政友会と民政党の間で政策的相違が不明確になって、検察を巻き込みつつ、ひたすらスキャンダル暴露合戦に明け暮れて国民の失望をかい、軍部の独裁を招いた。現在の状況で総選挙が行われて自民党が勝っても、政権の構成次第では様相を変えた衆参ねじれ状態になり、また野党が再び問責決議を繰り返す状況になりかねない。
 このまま政党政治が期待を裏切っていくと、人々は既存の政党政治を忌避し、わかりやすい言葉でバッシングするようなポピュリズムの政治が広がりかねない。何も問題を解決しないが、少なくとも自分で何かを決定していると実感できるからである。それは、ますます政治を破壊していくだろう。
 いま必要なのは歴史の過ちに学ぶことである。それは、たとえ財界や官僚の強い抵抗にあっても、民主党政権はマニフェストの政策理念に立ち返って国民との約束を守り、それを誠実に実行する姿勢を示すことにほかならない。
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橋下維新 選挙資金「100億円」スポンサーの実名/橋下氏「衆院定数を半減」すり寄る国会議員に“踏み絵” 2012-08-27 | 政治 
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小沢「国民の生活が第一」候補者200人大量擁立へ 橋下維新との対決も辞さず「日刊ゲンダイ2012/8/27」 2012-08-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢一郎氏と森ゆうこ氏の対談『検察の罠』変わらずに残るために/民自み10人超国会議員 大阪維新と連携 2012-08-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 民自み10人超 道州制で「維新」接近
東京新聞2012年8月15日 朝刊
 民主、自民、みんなの党の国会議員十人超が、次期衆院選での大阪維新の会との連携に向け、調整を続けていることが明らかになった。一部の議員は所属政党を離党し、新党結成も視野に入れる。今後、離党議員の受け皿になる可能性もあり、「第三極」をめぐる動きが活発化している。(金杉貴雄)
 維新の会と連携を目指す議員の母体は、民主党の松野頼久元官房副長官と自民党の松浪健太衆院議員が中心に立ち上げた「道州制型統治機構研究会」。道州制実現などを目指す政策は、維新の会の衆院選公約「維新八策」に近い。
 同会は三月に発足し、これまで二十回以上、会合を開いてきた。二人のほかに、民主党の石関貴史、自民党の西村康稔、平井卓也の各衆院議員、みんなの党の小熊慎司、上野宏史の各参院議員ら当選四回以下の十人超が参加。与党の民主党や野党第一党の自民党内から、維新の会との連携に向けた動きが出てきた格好だ。
 背景には、秋にも衆院解散・総選挙の可能性が取りざたされてきたことがある。
 今月の共同通信の世論調査では、次期衆院選の比例投票先として維新の会(10・7%)は、自民党(23・5%)民主党(14・3%)に続いた。小選挙区や比例代表の候補者が明らかになっていない中では異例の数字で、選挙基盤が必ずしも盤石でない若手議員にとっては、維新の会への期待感は強い。
 現時点では、離党を視野に入れるのは一部の議員にすぎないが、メンバーの一人は「次期衆院選後は自民、民主、維新の会がどう動くかで政権の枠組みが変わる。今のうちにパイプをつくりたい」と強調する。
 維新の会にとっても、現職国会議員が合流するメリットは大きい。衆院選前に五人以上が参加すれば「政党」の要件を満たし、小選挙区と比例代表の重複立候補も可能になるほか、政見放送で有権者に訴えることができる。
 地域政党「減税日本」の代表を務める河村たかし名古屋市長も国会議員五人以上の入党に自信を示している。
 既成政党にとっては、その分、次々と離党者が出かねない不安材料を抱えているのが実情だ。衆院選で既成政党への批判票が第三極に集まれば、党勢に大きく影響するだけに、警戒感を強めている。
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〈来栖の独白2012/8/15Wed.〉
 地方の電力会社に脅されればすぐに原発再稼動を容認し、またどれほどの脅しがあったか分からぬが、野田総理の消費税増税について「決める政治をしている」と持ち上げた維新・橋下氏。このような人物(仲間)が永田町へ進出したとしても、霞が関(既得権益)と闘うなど、ありはしないだろう。忽ちに官僚にいいように飼いならされるのではないか。
 「連携」というが、各々が自身の生き残りを図っているにすぎぬ。国会議員のセンセイたちにとっては選挙に勝つことが大前提。政策も国民の幸福も思案の外。彼等を国政に送ればたちまちに(民主党の政権交代以上に早期に)裏切られたことが判り、国民が地団太を踏むのは目に見えている。
 小沢一郎氏も過去に幾度も離党し、新党をつくり、他党と連携した。そういった姿を国民に繰り返し見せ、メディアから「壊し屋」と揶揄された。ここで私が厳粛な気持ちになってしまうのは、氏のそういった姿が自身の生き残りのためではなかったことだ。断じて「自身の生き残り」のためではなかった。憲法13条にも謳われた「国民の幸福」を実現させたいがために、氏は与党の幹事長まで任された(総理総裁に最も近い)場所から、野党に転じた。「姿」は変容しても、氏の夢は変わらなかった。「姿」は壊しても、中身は変わらなかった。
 森ゆうこ著『検察の罠』から、小沢氏と森氏の対談を以下に引用してみたい。「この世界で本質を突き詰め変わらずにいるのは難しいこと」と森氏は言う。

        

p245~
森:ひどいですよね。何でマスコミはあそこまで小沢先生を叩くんでしょう?
p246~
小沢:結局、官僚支配なんだよ。その点は同じなんです、官僚と。たぶん官僚以上に既得権や利権を持っているんだよな。電波とか再販とか。
 だから官僚支配が一番いいんだよ、マスコミは。新聞は再販で保護されて、テレビは一度取った免許は4年から5年に1度必ず見直されるはずなんだけども、実際は一度取ればずっとやれるからね。僕が目の敵にされるのはそういうことを含め、不必要な規則はなくしたほうが良いという意味のことを言うからですよ。
 電波を競争入札している国もあるけど、そんなことをされたら大変だと思っている。小沢の野郎ならやりかねないって(笑)。
森:そういう意味では、やっぱり先生には試練が降りかかるわけですけれども。
小沢:今は上方の方で「維新」という言葉が流行っているけれど、維新というのは革命なんですね。革命というのはやっぱりそう簡単にはできないんだよ。世の中を変えることだから。明治維新だってどれだけ有為な人が死んでいったか。犠牲の上に初めてできることだからね。しょうがないんだな(笑)。
p247~
  この世界で本質を突き詰め変わらずにいるのは難しいこと---森
森:私は先生に初めてお会いしたのが2001年の参議院選挙、投票日が7月29日でしたけれども、その半年前の3月29日に新潟でやった総決起集会においでくださって、そのとき初めてお会いした。だから10年ちょっとたつわけですけれども。
小沢:早いなあ。
森:永田町の世界にはいろんなことがありますよね。誘惑もあるし。だから他の人たちはいろいろ言ったりやったりすることは変わるんですけど、先生は全然その頃と変わらない。
小沢:そうかな。
森:この世界の中で本質をずうっと突き詰め変わらずにいるということは、やっぱり難しいことで。
小沢:そうね。僕が自分の主張を通してこられたのはやっぱり国民、選挙民のおかげです。選挙民が支持してくれてるから筋道を、自分の思うことを通せるんであって。だからそれは非常に幸運だと思うし、感謝しているんですよ。政党だって自民党から何回名前が変わったか。しかも後援会に一度も相談しないで僕はやっているからね。
 それでもちゃんと支持してくれてるっていうことを、僕は非常に感謝しているし、そうである以上、これは貫き通さないかんと思っているだけどね。
森:その一方で2006年の代表選挙では、「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない」とおっしゃっています。
小沢:日本が、そして日本人が生き残るためには、旧体制を変えなくちゃいけないと。アンシャン・レジームを変える。変わらずに残るために。「古い上着よ、さようなら」というやつだよ。「青い山脈」だよ。
森:難しいですね。民主党はもはや政権交代したときの民主党ではないというか、正反対だと私は思うんですが。
小沢:いやあ、驚いたね。結局、選挙のときはほとんどの人がほぼマニフェストに沿ったことを言ったんだと思うんだよね。だけど結局何も中身はわかっていないというか、自分はそう思っていないのにしゃべってきたっていう話になっちゃうんだよな、今の現実は。その意味ではほんとにがっかりだね。


 民主党代表選に於ける小沢一郎氏演説
〈前段略〉
 さて、今回の立候補にあたっては、今日の危機的な政治経済事情の中で、果たして自分にその資質があるだろうか、政治の最高責任者として国民の生活を守るというその責任を果たすことができるだろうか、と本当に悩み、自問自答いたしました。それにもかかわらず立候補を決意をしたのは、今、政治を変えなければもう間に合わないという、私の切実な思いを正々堂々、世に問いかけたかったからであります。
 思い起こせば、私は27歳で衆議院議員に初めて立候補した際、選挙公報にこうつづりました。「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」と。意志なき政治の行き着く先には国の滅亡しかありません。日本は敗戦を経て本質は変わっていないのではないか。若かりしころの、感じたその思いは初当選以来、いまなお変わっておりません。
 今日、わが国はデフレによる経済の収縮、少子高齢化の既存の社会制度のギャップによる不安など、経済も社会も危機的な状況に陥っております。
 世界で最も層が厚かった中間所得層が解体され、ごく少数の富裕層と数多くの低所得層への分化が急速に進んでおります。日本が誇った社会保障制度も崩れつつある中、2年後には団塊の世代が年金受給者となる日を迎えます。
 今、日本は、最も大事にされなければならないお年寄りがいなくなっても誰も気づかず、また、就職できない多くの若者が絶望感にさいなまされ、若い親が育児を放棄しわが子を虐待する。もはや高度成長がいろいろな問題を覆い隠してくれた時期はとうに過ぎ去って、社会の仕組みそのものが壊れています。そしてまた、日本人の精神風土も興廃し始めていると思います。
 今、ここで政治を見直し、行政を見直し、国のあり方を見直さなければ、もう日本を立て直すことができないのではないかと思います。多くの国民の皆さんも同じように感じていたのだと思います。昨年、われわれ民主党に一縷の思いを託し、政権交代を実現させていただきました。しかしもう1年が過ぎ、残された任期はあと3年であります。
 私たちは今、直ちにこの3年間を国の集中治療期間と位置づけ、徹底した改革を断行し、実行していかなければなりません。しかしその改革は明治維新以来140年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えなければとても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのはその思いなのであります。
 しかし、私は官僚無用論を言っているわけではありません。日本の官僚機構は世界に冠たる人材の集まっているところであると考えております。問題は政治家がその官僚をスタッフとして使いこなし、政治家が自分の責任で政策の決定と執行の責任を負えるかどうかということであります。
 私は40代でたまたま国務大臣、自民党幹事長に就任するという機会があり、国家はどう運営されているのか、その実態を権力の中枢でつぶさに見続けて参りました。そこで見た官僚主導の、例えば予算作りでは、各省のシェアが十年一日のごとくほとんど変わることがありませんでした。官僚組織というのはそういうものであります。
 その中で私は、自民党の中にいながらこの改革は無理であることを骨身に染みて分かりました。だからこそ、政権与党である自民党を飛び出して、真にしがらみのない政党を作り、政権を変えるしかないという決意をもってこの17年間、政治活動を続けて参りました。
 改めて申しあげます。昨年、政権交代が実現したのは、こんな日本を何とか変えてくれ、という国民の悲痛なまでの叫びからだったはずであります。この声に応えようと、菅総理大臣始め閣僚の皆さんが一生懸命に取り組んでおられることを否定をするものではありません。
 しかし、政治と行政の無駄を徹底的に省き、そこから絞り出した財源を国民の生活に返すという、去年の衆院選挙マニフェストの理念はだんだん隅においやられつつあるのではないでしょうか。実際に来年度の予算編成は、概算要求で一律10%カット。これではこれまでの自民党中心の政権と変わりません。財政規律を重視するという、そういうことは大事なことではありますけれども、要は官僚の抵抗で無駄を削減できず、結局マニフェストを転換して国民に負担をお願いするだけではないでしょうか。これでは本当の意味で国民の生活は変わりません。
 私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、 (※)地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。
 日本人は千年以上前から共生の知恵として、和の文化を築きました。われわれには共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が十分にあります。誰にもチャンスとぬくもりがある、豊かな日本を作るために、自立した国民から選ばれた自立した政治家が自らの見識と自らの責任で政策を決定し実行に移さなければなりません。
 そして、霞ヶ関で集中している権限と財源を地方に解き放ち、国民の手に取り戻さなければなりません。そのため、国のひも付き補助金を順次すべて地方への一括交付金に改めます。これにより、地方では自主的な町作りやインフラ整備が可能になります。国、地方を通じた大きな節約効果と、そして地域経済の活性化が期待できます。また、地域での雇用が生み出され、若者がふるさとに帰り、仕事に就くこともできるようになります。
 国民の皆さんにご負担をお願いするのは、ここにいる皆さんがありとあらゆる知恵を絞って、できることすべてに取り組んでからでいいはずであります。そしてそれが、昨年の総選挙で民主党と国民との約束でなかったでしょうか。
 衆議院の解散総選挙はこうした改革に与えられた任期を費やして、その結果を出してからのことであります。官僚支配の140年のうち、40年間、私は衆院議員として戦い抜いてきました。そしてようやく官僚機構と対立できる政権の誕生にかかわることができました。われわれは国民の生活が第一の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。
 官僚依存の政治に逆戻りさせるわけにはいきません。それはとりもなおさず、政治の歴史を20世紀に後戻りさせることになるからであります。私は代表になってもできないことはできないと正直に言うつもりであります。しかし、約束したことは必ず守ります。
 こう断言できるのは官僚の壁を突破して、国民の生活が第一の政治を実行するのは、最後は政治家の志であり、改革のきずなで結ばれている皆さんとなら、長い時代の壁を突破できると信じるからであります。そして私自身は、民主党の代表すなわち国の最終責任者として、すべての責任を取る覚悟があります。
 今回の選挙の結果は私にはわかりません。皆さんにこうして訴えるのも、私にとっては最後の機会になるかもしれません。従って最後にもう一つだけ付け加えさせてください。
 明治維新の偉業を達成するまでに多くの志を持った人たちの命が失われました。また、わが民主党においても、昨年の政権交代をみることなく、志半ばで亡くなった同志もおります。このことに思いをはせるとき、私は自らの政治生命の総決算として最後のご奉公をする決意であります。そして同志の皆さんとともに、日本を官僚の国から国民の国へ立て直し、次の世代に松明を引き継ぎたいと思います。
 そのために私は政治生命はおろか、自らの一命をかけて全力で頑張る決意であります。皆さんのご指示、ご理解をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
 ※憲法第13条
 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」


「今なら党内も私の思うようになるが、時間が経てば経つほど私の指導力はなくなっていく」小沢一郎氏 2012-08-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 

     


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