河北春秋(5/11):1991年の韓国。デモを暴力的に鎮圧した…
1991年の韓国。デモを暴力的に鎮圧した政府に抗議する学生の焼身自殺が相次いだ。70年代前後の民主化運動を象徴する詩人、金芝河(キムジハ)さんは「端的に語ろう、今、すぐ、死の賛美を中止せよ」と訴えた。これが、学生運動や反体制運動の一部から激しく反発を受けた▼8日に81歳で亡くなった金さんは、70年に特権層の不正と腐敗を批判する風刺詩「五賊」を発表。反共法違反で逮捕、投獄された。「抵抗詩人」と呼ばれたが、80年代に入ってから政治活動と決別し、独自の「生命思想」を唱えるようになった▼新自由主義を批判的に捉えつつ、日本と韓国が東アジアの核としての役割を果たすことに期待を寄せてもいた。共同通信社が2008年に取材した際は、日韓が協力して築くべき経済システムを提言した▼「これからは資本主義の『交換』の機能だけでは駄目で、今まで宗教が担ってきた『慈善や互恵』、社会主義に期待した『再分配』を統合する新しいシステムが必要だ」▼世界を見渡せば富の一極集中はさらに進み、弱者に配慮する互恵や再分配の実践には程遠い。韓国ではきのう、冷え込んだ日韓関係の改善に意欲を示す尹錫悦(ユンソンニョル)氏が新大統領に就任した。文字通り近くて近い国として手を携え、東アジアで存在感を示せるだろうか。(2022・5・11)
◎上記事は[河北新報]からの転載・引用です
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特権階級批判の長編詩で投獄、のちに死刑判決…韓国民主化運動の象徴・金芝河さん死去
読売新聞 2022/05/09(Mon.) 11:30
韓国の聯合ニュースによると、韓国の民主化運動の象徴的な存在で、詩人の 金芝河キムジハ さんが8日、死去した。81歳だった。1年ほど闘病生活を送っていた。
韓国・ソウル大卒。朴正煕氏の軍事政権下だった1970年に、特権階級を批判した長編詩「五賊」を発表し、投獄された。74年に民青学連事件に関与したとして死刑判決を受けた後、減刑され約7年間服役した。日本でも当時、作家の大江健三郎さんら多くの文化人が支援運動に関わった。2013年にソウル中央地裁の再審で無罪判決が言い渡された。(ソウル支局)
◎上記事は[読売新聞]からの転載・引用です
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