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【少年と罪 第4部 ネットの魔力】④誇示 「ばかでした」。後悔して反省し「今後はホワイトハッカーになりたい」と更生を誓うが

2017-11-11 | 少年 社会

<少年と罪 ネットの魔力>第4部(4)誇示 
2017/11/7 朝刊
 「自分の力を示したかった。ただ、それだけなんです」
 千葉市の高校2年の男子生徒(17)は6月、不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕された。インターネットに偽サイトをつくり、閲覧者13人のIDとパスワードを盗み取った容疑。少年審判で保護観察処分を受けた。
 押収されたパソコンは、お年玉で買うなどした計5台。他人のパソコンを勝手に操る、自作の遠隔操作ウイルスも見つかった。「簡単なウイルスなら、中学2年で、もう作ってました」。技能は独学で習得し、ネットで入手したウイルス作成用ツールを利用した。
 彼はハッカーにあこがれていた。原点は、ベストセラーとなった「ハリー・ポッター」などのファンタジー小説。「魔法が格好いい」。海外映画で正義の味方がキーボードを早打ちしてネットワークに侵入し、難局を打開する場面にも心をひかれた。「魔法のような技」を実社会で駆使するハッカーは「現代の魔法使い」に見えた。
 小学6年で親から初めてパソコンを与えられ、ネットのセキュリティ分野で生かす「ホワイト(正義の)ハッカー」に教えを求めたことも。「楽しかった。生きている実感があった」
 だが身に付けた自信は過信に変わり、やがておごりになる。無料通信アプリのLINE(ライン)で、他人のアカウントを乗っ取る「荒らし」を始めた。成功は、快感。動画サイトで自作ウイルスを紹介するなどした結果、警察のサイバーパトロールに見つかった。
 その上、誇示したつもりの「力」が、ネットで一部利用者に酷評された。
 鑑別所を出た後に、自分の事件の報道や反応を調べたら「スクリプトキディ」と呼ばれていた。「他人のスクリプト(=プログラム)を使うしか能の無い、お子様」を意味する蔑称。「めちゃくちゃ、しんどかったです」
 一方でネットの世界には、彼のような未成年のサイバー犯が登場する度に、はやし立てる実態もある。「天才の出現だ」「国が雇ってホワイトハッカーに育てろ」。この風潮を、神戸大教授の森井昌克(情報セキュリティ)は「ばかげている」と切り捨てる。「ほとんどはネットで得た知識に基づく低レベルの犯罪。技術面でも称賛に値しない」
 男子生徒にとって、不正アクセスの目的は「特定のサイトなどに入る他人の権利を奪い取ること」。その悪用は考えもしなかったから、逮捕は予想外だった。
 「ばかでした」。後悔して反省し「今後はホワイトハッカーになりたい」と更生を誓うが、森井は現実の厳しさを指摘する。「たいした技術でもないのに、それを不正目的で使った者を国や企業が雇う気になるはずはない」
 ハッキングやウイルス作成のための「凶器」と言うべきツールや情報がネットに溢れ、気軽に入手できるいま、「魔法」の力に魅了されて道を誤る少年少女は増えている。その安直な誇示の先に、高い代償が待ち受けている。(敬称略)

 不正アクセス禁止法  
 2,000年施行。他人のIDやパスワードを勝手に入力するなどして、アクセスが制御されているコンピューターなどに不正侵入することを禁じる。違反者は3年以下の懲役か、100万円以下の罰金。偽サイトを本物と誤解させ、IDなどを入力させて不正取得する行為は「フィッシング」と呼ばれ、12年の法改正で処罰対象に。ラインやツイッターなどに不正ログインして他人になりすます行為や、オンラインゲームのサーバーに侵入してアイテムを盗み取る行為なども違法となる。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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【少年と罪 第4部 ネットの魔力】⑤劣勢 驚く研究力 捜査後手 ⑥私刑 唐沢貴洋弁護士 ⑦脱却 竹内和雄兵庫県立大准教授(中日新聞2017/11/8~) 
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