受刑者総数=減少 長期受刑者(刑期8年以上)=急増

2010-01-03 | 死刑/重刑/生命犯
「長期受刑者」10年で倍増、分散させ混雑緩和へ
(読売新聞 - 12月31日 14:23
 全国の刑務所に収容されている受刑者の総数が減少傾向にある一方で、刑期8年以上の「長期受刑者」の数が急増している。
 法務省によると、昨年までの10年間で2倍以上に増え、長期受刑者用の刑務所では、収容定員をオーバーする過剰収容状態が続く。このため、同省は来年から、長期受刑者の分類を見直して「刑期10年以上」とし、刑期8年以上10年未満の受刑者については通常の刑務所に分散することで、過剰収容の緩和を目指す方針だ。
 全刑務所の収容率(収容定員に対する受刑者数の割合)をみると、2004年には117%まで上昇したものの、その後は減少に転じ、昨年末は97%。受刑者数も06年を境に減り始め、昨年末では約6万8600人だった。
 しかし、長期受刑者の数は増え続け、98年末の3113人から昨年末には6529人と、2倍を超えた。特に03年ごろから毎年約400~500人ペースで増え、増加傾向が顕著になっているという。
 「刑務所の増設や犯罪件数の減少で、過剰収容は全体では改善されつつあるが、仮釈放が認められにくくなっていることや仮釈放までの期間が長くなっていることで、長期受刑者の数が増えているのではないか」と法務省幹部は説明する。
 長期受刑者を主に収容する北海道の旭川刑務所。先月時点の収容率は113%で、7人部屋を8~9人で使ったり、就寝時にベッドの下のすき間に布団を敷いたりしている。「極度の過剰収容は職員の目が行き届かなくなり、トラブルの原因になる」と同刑務所の幹部は心配する。
 全国に77ある刑務所・拘置所のうち、こうした長期受刑者用の刑務所は12か所。法務省は今年、通常の刑務所3か所を長期受刑者用の施設に切り替える措置をとったが、定員を大きく上回る所は依然として多く、千葉刑務所の先月時点の収容率は118%、岡山刑務所も114%に達している。
 事態を重く見た同省は、長期受刑者の過剰収容を改善するため、37年ぶりに受刑者の分類を見直すことを決定。来年から、長期受刑者は刑期10年以上の人に絞り、8年以上10年未満の人は、その他の刑務所に収容することにした。
 同省矯正局では「緊急時の対処や、問題のある受刑者は離すなどの措置がとれるよう、本来は80~85%の収容率が理想。今回の変更で何とか全体のバランスをとりたい」と話している。

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