動静不明の金正恩氏はテレワーク中? コロナを避けて別荘「特閣」に 2020.4.23

2020-04-23 | 国際/中国/アジア

動静不明の金正恩氏はテレワーク中? コロナを避けて別荘に
 2020年4月23日 朝刊
 米CNNテレビに「重体に陥った」と報じられた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が東部・元山の別荘に滞在していることが、複数の北朝鮮消息筋の話で分かった。日韓両政府が重体説に慎重な見方を示している中、元山滞在は新型コロナウイルスと関連した動きとの指摘も出ている。 (上野実輝彦、編集委員・城内康伸)

◆「感染ゼロ」の北朝鮮、ウイルス侵入に危機感
 「自主隔離だろう」。日本政府高官は正恩氏の元山滞在について、自ら進んで平壌を離れたとの見方を示した。今月十一日に平壌で開かれた労働党中央委員会政治局会議に出席後、「特閣」と呼ばれる最高指導者専用の別荘にこもり始めたとみられる。
 政治局会議では、感染拡大が懸念される新型ウイルスについて「感染の危険が短期間で解消されることは不可能」と危機感を表明した。
 北朝鮮政府は感染者が「わが国にはいない」と主張してきた。だが、中国と千三百キロ以上にわたり国境を接しており、ウイルスの侵入を完全に阻止するのは、不可能に近い。「平壌で感染した六人が特別隔離のため地方に送られ、行方知れずになっている」とは、中朝関係筋が十六日に伝えてきた情報だ。

◆正恩氏の警備要員が感染?
 北朝鮮事情に詳しい消息筋によると、正恩氏の警護要員の中に感染者が見つかり、警備態勢に不安を覚えたことが、元山退避の理由という情報も流れる。
 警護要員の感染が事実とすれば、正恩氏の身辺警護態勢にも影響が出るのは避けられないだろう。

◆お気に入り別荘でテレワーク
 正恩氏が生まれ育った元山の特閣は、全国に数十カ所ある別荘の中で特に「立派で何でもそろう」(日本政府高官)一番のお気に入り。幹部の粛清を繰り返してきた正恩氏としては、恨みを抱く関係者が多数潜んでいる平壌より「元山が安全」(同)だという面もある。
 十四日付の労働新聞は論説で「国家的な非常防疫期間が長期性を帯びる」と防疫措置の長期化を予告。正恩氏の別荘における「テレワーク」も長引く可能性がある。

◆12日以降姿見せず「何かあったはず」
 一方、正恩氏の健康状態に注目が集まるのは、最近の公式行事に本人が姿を見せていなかったためだ。正恩氏の動静を北朝鮮メディアが報じたのは、労働党政治局会議への出席を十二日に伝えたのが最後だ。
 祖父である故金日成主席の生誕記念日の十五日にすら、最高指導者就任以来続けてきた参拝を行わなかった。血統を最重視する北朝鮮では異例で「何かあったはず」(官邸幹部)との見方が広がった。
 ただ、脱北した元北朝鮮高官は「参拝は政権の正統性をアピールするためであり、すでに権力を完全に掌握した正恩氏が見送ってもなんら問題はない」という見解を述べる。
 日本政府は、正恩氏が元山に滞在しながら、何らかの治療を受けたと分析している。「重篤な状態ではない」(政府高官)とみる半面、情勢の急激な変化を警戒する。安倍晋三首相周辺は「状況の変化には常に備えている」と語った。

 ◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です


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