中日新聞2月17日夕刊 ニュース前線(社会部・加藤美喜)
強盗2被告 5千万円恐喝元少年 「親友」つるみ現金山分け
7年前、何度も見つめた中学の卒業アルバム。22歳になった「元加害少年」二人は、その写真の面影をしっかり残していた。なぜ、また繰り返してしまったのか---.。被告人席の二人に多くの目が問いかけていた。
名古屋市南区のパチンコ店で昨年二月に売上金千二百万円が強奪された事件で、強盗致傷の罪に問われた元店長(45)ら四人の初公判が16日、名古屋地裁であった。うち二人は、1999年から2000年にかけて同市緑区の中学校を舞台に起きた「5千万円恐喝事件」の加害少年グループの中心メンバーだった。
当時、取材班の一人として一年近くこの事件を追いかけた。加害少年たちは被害少年から父親の死亡保険金までむさぼり、風俗店や高級腕時計、パチンコ、タクシー代などに浪費した。逮捕、送検された少年は二桁にのぼり、記事の中で彼らの仮名として使ったアルファベットは「O」までいった。主犯格の「A」、その親友の「D」が今回の強盗事件で愛知県警に逮捕されたのは、昨年11月下旬だった。
初公判の冒頭陳述などによると、二人は中等少年院を退院後、ともに緑区の自宅に戻り、父親のガラス工場を手伝ったりパチンコ店員をしたりしていた。再び二人が遊び仲間として行動するようになるのに時間はかからなかった。今回の強盗で二人はそれぞれ三百万~四百万円の分け前を得て、借金の返済や高級腕時計、プラズマテレビ、飲食代などに充てたという。
「まあ、直らんな」。
今回の逮捕に、被害少年の祖父はあきれたようにつぶやいた。「D」は昨年夏にはタイヤ盗でも逮捕されており、執行猶予付き判決を受けていた。監督するはずの親は息子が買ってきたテレビを「パチンコで勝ったのかと思った」と捜査員に話したという。
当時の加害少年たちの中には現在、大学に通う者も、交通事故で死亡した者もいる。被害少年は就職して元気に働いている。
そんな中でAとDの二人は互いを親友と呼び、特に深いつながりを持ち続けてきた。弁護人によれば、二人で人材派遣業を始めようとするなど、努力のあとも垣間見られた。しかし、矯正教育を受け、期待されたはずの「更生」はならなかったのか---。
「間違いありません」。初公判で認否を問われると、二人は早口に認めた。