雇用安全網 改正法あす施行 なお850万人枠外、次の拡大焦点

2009-03-30 | 社会
Business-i 2009/3/30
 非正規労働者への支援を強化する改正雇用保険法が31日施行し、政府の雇用対策が動き出す。雇用調整助成金を活用したワークシェアリング(仕事の分かち合い)導入企業への支援も30日から実施される予定だ。
 改正雇用保険法は失業手当の受給要件を緩和し、失業保険を受け取るために必要な期間が「6カ月以上」に短縮された。
 「1年契約だったが、半年で契約を中途解除された」といった形で解雇された派遣労働者にも失業保険の支給の道が開かれる。受給日数は最大60日延長され、支給日数が90日の場合、最大150日までの受給が可能となる。1月の有効求人倍率(求職者1人に対する求人数)は0.67倍と求人数の減少が顕著なだけに、職を見つけられないうちに失業給付が切れる事態を少しでも回避するための措置だ。
 もっとも、厚生労働省の試算によると、これでセーフティーネット(安全網)に入るのは148万人。雇用期間が6カ月未満、労働時間が週20時間未満の約850万人の労働者は依然として安全網の枠の外にいるわけだ。法案成立にあたっては加入条件の緩和拡大の検討が盛り込まれており、さらなる要件緩和に踏み切るかどうかが焦点となる。
 休業によって雇用維持を図る企業に休業手当の一部を助成する雇用調整助成金の支給要件も緩和される。また「残業削減雇用維持奨励金制度」を創設。残業削減や雇用維持を図った企業に、1人当たり最大45万円を支給するなど政府としては「日本型ワークシェアリング」の導入を促す構えだ。
 雇用調整助成金を活用する企業は1月だけで約1万2000事業所と急増しており、製造業を中心に今後も増える公算が大きい。こうした雇用の安全網について、日本総合研究所の山田久主席研究員は「まだ道半ば」と話す。過剰になった労働者の「受け皿」が不十分で、今後の懸念材料になりかねないからだ。
 政府・与党は来年度の補正予算を視野に「緊急人材育成・就職支援基金」(仮称)を創設、雇用保険の受給資格がなくなった人たちに対し、職業訓練期間中の生活支援を行う制度の導入を検討している。
 ただ、介護や農業など需要の高い分野における十分な職業訓練プログラムは用意できておらず「訓練のミスマッチ」も生じている。新たな「受け皿」をいかに作るか、政府の対応が問われている。(石垣良幸)

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