出産時「手錠外す」法務省指針制定 「手錠をはめて分娩台に・・・悲しいけど」妊娠受刑者の思い、国を動かした(中日新聞 2014.12.30)

2014-12-30 | 社会

出産時「手錠外す」  妊娠受刑者の思い、国を動かした 
 中日新聞 2014.12.30.Tue. 朝刊
 女性受刑者が出産する際、手錠を外すとの指針を法務省がまとめたことが明らかになった。刑事収容施設法では、護送時や施設外では手錠や捕縄を付けられると定めている。病院で出産する際の特例はなく、これまでは施設長らの判断に任され、手錠をしての出産が行われていたとみられる。新たな指針は、笠松刑務所(岐阜県笠松町)の女性受刑者(32)が書いた手紙がきっかけとなった。
 この女性は今年10月、覚醒剤取締法違反(使用)の罪で実刑判決を受けて笠松刑務所に収容された。既に妊娠8か月で、同刑務所で出産時に手錠をはめるとの説明を受けたという。内縁の夫(59)に宛てた手紙では、「手錠をはめて分べん台にのる様です。悲しいけど…。仕方ないと思って、今は現実を受け入れています」と綴っていた。その後、内縁の夫は、関係機関に出産時に手錠をしないよう訴えていた。
 ただ、この女性は11月下旬、切迫早産の為入院した病院で手錠をしないまま男児を出産。面会した知人(52)に「母子ともに健康で、心配してくれた人たちに感謝している。手錠のない状態で出産できて安心した」と話したという。
 笠松刑務所の古城直巳総務部長は取材に対し、「個別の話はできない」とした上で、受刑者の出産は2012年にはなく、13年は3件、今年は11月末でのこの女性のみと説明。「出産時は片手に手錠をかけ、その手錠に付けた縄を刑務官が持っているケースが多い。医師の判断で外すこともある」としていた。
 法務省によると、女性受刑者を主に収容する施設は笠松刑務所など国内に9か所あるが、出産事例が少ないため個別の事案を把握していなかったという。同省矯正局成人矯正課は、新たな指針が笠松刑務所の事例をきっかけにしたと認め、「母子の心身への影響を配慮して決めた」としている。近く各収容施設に通達する。
■時代に合った変革 朝日大・大野正博教授(刑事法)の話
 受刑者の出産について、法務省は現状を正確に把握しようとする姿勢に欠けていたと批判されても仕方ない。密室性の高い分娩室からの逃走は考えにくく、国際基準に反しており、そもそも時代錯誤だった。出産時に手錠を外すとの指針制定は人権の視点からも時代に合った変革だ。
 
 ◎(2014.12.30. 朝刊より書き写し)
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〈来栖の独白2014.12.30〉
 日本の行政、とりわけ行刑施設のそれは、上記事の如き処遇が罷り通っている。名古屋拘置所は、病臥している奥西勝さん(「名張毒ぶどう酒事件」死刑囚)に手錠をかけた。重篤な病者、しかも高齢である。
 なぜこのような処遇が現出するかというと、何かあった場合(不祥事)に刑務官(公務員)が最も恐れるのは、己が落ち度に帰せられることだからである。粛々と法に従って務めを果たしておれば、無傷で、安泰である。処遇法なんてものは、被収容者のためにあるのではない。刑務官のためにある。
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* <受刑者>服役中に移送先病院で出産 手錠付け分娩台に(2018/3/11 毎日新聞)
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奥西勝死刑囚 入院先のベッドで手錠 弁護団が中止申し入れ 名張毒ぶどう酒事件 2012-05-30 
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