初の女性副大統領へ「私が最後ではない」カマラ・ハリス氏の演説全文 2020/11/10

2020-11-10 | 国際

初の女性副大統領へ「私が最後ではない」カマラ・ハリス氏の演説全文 完訳<アメリカ大統領選> 
 2020年11月10日 東京新聞
 ジョー・バイデン前副大統領(77)が大統領に就任すれば、史上初の女性副大統領になるカマラ・ハリス上院議員(56)は7日、バイデン氏の演説に先立ち、自らが就任する意義を語った。演説の全文は次の通り。

◆アメリカの魂がかけられた
 こんばんは。ありがとうございます。ジョン・ルイス下院議員は亡くなる前に、こう書きました。「民主主義は状態ではなく行動である」と。その意味するところは、アメリカの民主主義は決して保証されていないということです。私たちがそのために闘い、守る意志があってこそ強いものになります。当然のものとして受け止めてはなりません。 
 民主主義を守るためには、苦しい闘いがあります。犠牲を払います。喜びもあります。進歩もあります。なぜならば、私たちには、より良い未来をつくりだす力があるからです。 
 今回の選挙には、私たちの民主主義そのものがかかっていました。アメリカの魂そのものがかかっていました。世界中が注目する中、皆さんが新たな日をアメリカにもたらしてくれました。 
 選挙陣営のスタッフの皆さん、ボランティアの皆さん、このすばらしいチームの皆さんに、感謝します。かつてないほど多くの人たちをこの民主的なプロセスに引き入れてくださいました。そしてこの勝利を可能にしてくださったのです。 
 投票所の係員や選挙管理に当たる皆さんが、国全体ですべての票の集計を根気強く進めています。皆さんが、私たちの民主主義を傷つけないように守り抜いてくれたのです。私たちの美しい国を成り立たせている皆さんに、感謝します。皆さんが自らの声をしっかり届かせようとして、記録的な投票率となったことに対してです。

◆ジョーは結束を進める人
 特にこの数カ月は大変な時期でした。嘆き、悲しみがありました。そして痛みがありました。不安も、困難な闘いもありました。しかし皆さんの勇気を、不屈の精神を目の当たりにしました。寛容な精神も見受けられたのです。 
 4年間にわたって皆さんは前へ進み、団結してくださいました。平等や正義、私たちの命のために、そして私たちの地球のためにです。皆さんは投票してくれたのです。はっきりとしたメッセージを届けてくださいました。希望を選んでくれました。結束、良識、科学を選んでくれました。そうです、真実をです。ジョー・バイデンを次期アメリカ合衆国大統領として選んでくれたのです。 
 ジョーは、傷をいやしてくれる人です。結束させる力の持ち主です。信頼できる、確かな手腕の人です。これまでの喪失の経験から、目的を意識しており、私たちが国として、自分たちの目標を取り戻すのを助けてくれるでしょう。 
 非常の大きな愛のある、心の大きな人です。妻のジルを愛しています。彼女は素晴らしいファーストレディーになるでしょう。彼は、次男のハンター、娘のアシュリー、そして孫たち、家族全員のことを愛しています。私は副大統領だったジョーを知りました。彼が父親として、私たちの記憶の中にある亡くなった親愛なる長男ボーのことを、どんなに愛しているかがわかるようになりました。 
 私も、私の夫ダグ、子どものコールとエラ、妹のマヤ、そして家族全員に対して、言葉では言い尽くせないほどの大きな愛を感じています。ジョーとジルには感謝します。この素晴らしい道のりにおいて、私たちの家族を彼らのもとへと招き入れてくれました。

◆今、母のことを考えている
 そして私が今日、ここに立っているのは私の母シャマラ・ハリスのおかげでもあります。母はいつも、私たちの心の中にいます。19歳でインドからやって来た母は、こんな瞬間が訪れるなんて夢にも思っていなかったでしょう。しかし、彼女はアメリカを深く信じていました。こんな瞬間が実現する可能性のある地としてのアメリカです。 
 今、母のことを考えています。何世代もの女性たちのことを、この国の歴史における多くの黒人の、アジア系の、白人、ラテン系、ネイティブアメリカンの女性たちのことを私は思うのです。彼女たちによって今夜のこの瞬間への道が切り開かれました。 
 女性たちは闘い、多くのことを犠牲にしました。すべての人々に平等、自由、正義をもたらそうとしたためにです。黒人女性たちはあまりにも見過ごされてきました。しかし、民主主義の根底にある大切な存在だと証明してきたのです。 
 すべての女性たちは投票する権利を守るために1世紀以上に及ぶ努力を傾けてきました。100年前、憲法修正第19条が、55年前には投票権法ができ、そして2020年の今、私たちの国の新たな世代の女性たちが投票しました。投票して自分の意思を示すという基本的な権利のために闘っているのです。今夜、私は彼女たちの苦しみの闘いを思い起こします。彼女たちの確たる意思や洞察力をです。何が成し遂げられるか見極め、後をついで取り組みたいと思います。

◆ジョーはバリアを打ち砕いた
 ジョーが大胆な性格の持ち主だという、なんという証しでしょうか。彼はこの国の歴史に残る最も堅固なバリアを打ち砕き、女性を副大統領候補に選んだのです。私が最初の女性の副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません。 
 すべての幼い女の子たち、今夜この場面を見て、わかったはずです。この国は可能性に満ちた国であると。私たちの国の子どもたちへ、私たちの国ははっきりとしたメッセージを送りました。ジェンダーは関係ありません。野心的な夢を抱き、信念を持って指導者となるのです。そして他の人とは違った見方で自分を見つめてください。他の人には、見つけられないかもしれないからです。私たちは皆さんの一歩一歩を温かく見届けます。 
 アメリカ国民の皆さん、どちらへ投票したかは関係ありません。私は副大統領としてしっかり取り組みます。ジョーがオバマ氏に対してそうしたようにです。忠実に、誠実に、準備を整えます。毎朝、目覚めれば、皆さんや皆さんの家族について考えます。 
 今こそ、本当の仕事が始まる時です。困難な仕事です。必要な仕事です。いい仕事に取り組みます。人々の命を救い、この病気に打ちかつために欠かせない仕事です。働く人々が恩恵を受けられるように経済を立て直します。私たちの司法制度や社会にはびこる構造的な人種差別を根絶することにも取り組みます。気候変動と闘い、国を結束させ、アメリカの魂の傷をいやします。こうしたことに不可欠な仕事です。 
 道のりは決してやさしいものではないでしょう。けれども、アメリカは準備ができています。ジョーと私もそうです。私たちは、私たちの最善の部分を代表する大統領を選びました。世界や子どもたちが尊敬できるような指導者です。私たちの軍隊に対し敬意を払い、国の安全を守る最高司令官です。そしてすべてのアメリカ国民のための大統領です。 
 光栄なことに、アメリカ合衆国次期大統領、ジョー・バイデン氏を紹介させていただきます。

 ◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です


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