『自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正』 一体この国は誰が守るのか? 【書評】櫻井よしこ

2016-10-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

2016.10.23 08:42更新
【書評】櫻井よしこが読む『自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正』 一体この国は誰が守るのか?
■日本国の欠陥を直視せよ
 一体この国は誰が守るのか。拉致被害者を救出するのは誰か、尖閣諸島をはじめ、領土、領海を守るのは誰か。
 拉致被害者は何十年も北朝鮮にとらわれたままである。国民が他国にとらわれ、ほぼその一生をとらわれの地に拘束されるのを見逃し続ける国など、本来、国家とは呼べない。
 尖閣諸島に迫る中国は執拗(しつよう)、着実に力を増強して、要求し続ける。政府の強い意思と自衛隊の十分な軍事力なしに、日本人と日本国を守り切れない状況が生まれている。だが、わが国は、少なくとも安倍政権以前、守る意思も力も欠落させてきた。
 この、国とはいえない日本国の欠陥に、日本人は、政治家も国民も、気がついているのかと、本書は鋭く問うている。自衛隊員の立場から3人の当事者たちが生々しい体験に基づいて率直に語り合っている。
 拉致等の事案で外務省は情報収集および分析において、殆(ほと)んどいつも間違ってきた。憲法前文の精神に浸り、外交における軍事力の効用を全面的に排除し、国際社会の善意という幻に縋(すが)り、希望的観測で国際社会を推し量ってきた。国民救出を国家の責務と考えない愛のない外交を展開してきた戦後日本国の異形の姿が浮き彫りにされている。
 では国民と国家を守る実力部隊としての自衛隊はどうか。彼らとて、拉致問題解決は軍の責任だとはとらえていないという衝撃的な実態が指摘されている。また、たとえそうとらえていても自衛隊が北朝鮮で救出作戦を展開することができないのは、安保法制が整えられた今も同じだと、3人は冷静に指摘する。
 そんな国家であり続けてよいはずがない。3人は具体的に指摘し、熱く叱咤(しった)し続ける。拉致もテロも国土を奪われる危険も、すべて私たちの眼前にある危機なのだ。危機回避の最低必須条件はどう考えても憲法改正にある。憲法改正が欠かせないと考える日本人の心にある。日本を愛する全ての人に、本書を読んで、その指摘に応える民意形成を急いでほしいと、願わずにいられない。
 (荒木和博、荒谷卓、伊藤祐靖ほか著/産経新聞出版・1200円+税)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
------------------------------------------
[ めぐみさんを守れなかった平和憲法 ]阿比留瑠比の極言御免 2013.7.18
――――――――――――――――――――――――
『帝国の終焉 「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ』日高義樹著 2012/2/13第1刷発行
 〈抜粋〉
p173~
 ヨーロッパで言えば、領土の境界線は地上の一線によって仕切られている。領土を守ることはすなわち国土を守ることだ。そのため軍隊が境界線を守り、領土を防衛している。だが海に囲まれた日本の境界線は海である。当然のことながら日本は、国際的に領海と認められている海域を全て日本の海上兵力で厳しく監視し、守らなければならない。尖閣諸島に対する中国の無謀な行動に対して菅内閣は、自ら国際法の原則を破るような行動をとり、国家についての認識が全くないことを暴露してしまった。
 日本は海上艦艇を増強し、常に領海を監視し防衛する体制を24時間とる必要がある。(略)竹島のケースなどは明らかに日本政府の国際上の義務違反である。南西諸島に陸上自衛隊が常駐態勢を取り始めたが、当然のこととはいえ、限られた予算の中で国際的な慣例と法令を守ろうとする姿勢を明らかにしたと、世界の軍事専門家から称賛されている。
 冷戦が終わり21世紀に入ってから、世界的に海域や領土をめぐる紛争が増えている。北極ではスウェーデンや、ノルウェーといった国が軍事力を増強し、協力態勢を強化し、紛争の排除に全力を挙げている。
p174~
 日本の陸上自衛隊の南西諸島駐留も、国際的な動きの1つであると考えられているが、さらに必要なのは、そういった最前線との通信体制や補給体制を確立することである。
 北朝鮮による日本人拉致事件が明るみに出た時、世界の国々は北朝鮮を非難し、拉致された人々に同情したが、日本という国には同情はしなかった。領土と国民の安全を維持できない日本は、国家の義務を果たしていないとみなされた。北朝鮮の秘密工作員がやすやすと入り込み、国民を拉致していったのを見過ごした日本は、まともな国家ではないと思われても当然だった。
 *強調(太字)は来栖
...................


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。