夕 歩 道
中日新聞 夕刊 2023年3月8日
法格言に「裁判官は弁明せず」と。書くべきことは判決や決定に全て書いてある。だから後からあれこれ言うことはない、という趣旨か。その不文律を破って物申したのは、よほどのことだろう。
大津地裁が二〇一八年、異例の死後再審の開始を認めた日野町事件。検察側の即時抗告に対し、それを十ページにわたって詳細に批判する異例の意見書を担当裁判官が大阪高裁に提出していたそうな。
今回、高裁も再審開始を認めたが、検察はなお「承服しがたい」として特別抗告した。誤判、つまり冤罪(えんざい)の救済に動こうとする裁判所に「公益の代表者」たる検察官がなぜ、かくも抵抗するのか。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
* 「日野町事件」検察側が特別抗告 2023/3/6 高裁の再審開始決定「承服しがたい」
* 38年前の強盗殺人、大阪高裁も「死後再審」開始認める 滋賀・日野町事件 2023/2/27