マティス国防長官が辞任 トランプ氏のシリア撤収に抗議か 2018.12.21

2018-12-24 | 国際

マティス米国防長官、辞任表明 トランプ氏との見解の相違認める
2018.12.21 Fri posted at 10:11 JST
 ワシントン(CNN) 米国のジェームズ・マティス国防長官が20日、政策の不一致を理由に辞任を表明した。マティス氏は、トランプ大統領が発表したシリアからの米軍撤収に強く反対していた。
 マティス氏はトランプ大統領宛ての書簡に、「あなたには、自身に見解の近い国防長官を選ぶ権利がある。従って、私は退任することが正しいと信じる」と記した。
 シリアからの米軍撤収について具体的には言及していないものの、同氏はトランプ大統領に対して非公式の場で、撤収に強く反対する意見を伝えていた。
 マティス氏は以前から、大統領の性急な決断を思いとどまらせようとする役割を担っていたが、ここ数カ月で大統領との関係が急速に悪化。重要課題に関して大統領に対するマティス氏の影響力は低下していた。
 マティス氏の書簡では、同盟国との関係の重要性を強調し、「米国は今も自由世界に欠かせない国家だが、同盟関係を維持し、そうした同盟国に敬意を示さなければ、我々の利益を守ることも、その役割を効率的に果たすこともできない」と指摘した。
 米政府高官によると、マティス氏はホワイトハウスでトランプ大統領と1対1で会って辞意を伝えたという。
 この高官は、両氏の間で「幾つかの問題について相違があった」としながらも、シリア問題が原因だったとは言明しなかった。
 これに先立ちトランプ大統領は、ツイッターでマティス長官が2月末で辞任すると発表していた。トランプ大統領は、マティス長官の在任中は「多大な進展」があったと述べて謝意を表し、後任については間もなく指名するとした。
 マティス氏をはじめとする国防当局者は、トランプ大統領が決めたシリアからの撤収に反対していた。

 ◎上記事は[CNN]からの転載・引用です
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マティス国防長官が辞任 トランプ氏のシリア撤収に抗議か
2018.12.21 07:38|国際|米州
 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は20日、マティス国防長官が「2月末に退任する」とツイッターで明らかにした。トランプ氏は19日、シリアに駐留する米軍部隊を完全撤収させる意向を表明したほか、20日にはアフガニスタン駐留米軍の大規模撤収にも言及。マティス氏は一連の撤収方針に反対を唱えてきたことから、抗議の辞任であるのは確実だ。
 マティス氏は同日公表したトランプ氏あての辞表で、「大統領は自身の考えに沿った国防長官を任命する権利があり、私が辞任するのが適切だと判断した」と述べ、トランプ氏との国防政策をめぐる見解の相違を理由とした自発的な辞任だと強調した。
 マティス氏はまた、「米国は他国との共同防衛に全ての力を傾注しなくてはならない。(イスラム教スンニ派過激組織)『イスラム国』(IS)支配の象徴の撲滅に向けた74カ国の連合が証左だ」とし、シリアで米軍が果たした役割の重要性を指摘した。
 米政権高官がロイター通信などに明らかにしたところでは、マティス氏は20日、ホワイトハウスを訪れトランプ氏に辞任の意思を直接伝えた。マティス氏はシリアから米軍を撤収させないようトランプ氏を説得しようとしたが、同氏は聞き入れなかったという。
 トランプ氏は20日、ツイッターでシリア駐留米軍(約2600人規模)の撤収に関し「兵士の命を守り、何十億ドルも節約できる。なぜシリアやロシア、イラン、地元勢力のために『イスラム国』を殺害しなくてはならないのか」と主張。また、米メディアは同日、トランプ氏がアフガン駐留米軍(約1万4千人規模)のほぼ半数を撤収させることを本格的に検討していると報じていた。
 マティス氏はトランプ政権の発足当初から務めていた数少ない閣僚の一人。ティラーソン国務長官(3月に解任)、ケリー大統領首席補佐官(年末に退任予定)らと合わせ、独断専行が懸念されてきたトランプ氏の政権運営を軌道修正する「良識派」としての役割が期待されたが、同盟の役割や米軍の海外展開の意義などをめぐりトランプ氏としばしば意見が食い違い、数カ月前から辞任観測が広がっていた。
 トランプ氏は後任の国防長官を年末までに指名する見通し。
■ジェームズ・マティス氏
 1950年9月、米西部ワシントン州生まれ。海兵隊大将として統合戦力軍司令官、中東や南アジアを管轄する中央軍司令官などを歴任。中央軍司令官時代、当時のオバマ大統領が進めていたイラン核合意に反対して政権との関係が悪化し、2013年に退役した。17年1月、トランプ大統領の要請で国防長官に就任。歴戦の指揮官としての実績から「マッド・ドッグ(怒り狂った犬)」、独身を貫いて戦史や戦略の研究に没頭する様子から「戦う修道士」などの異名を持つ。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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トランプ氏、IS「敗北」宣言 米軍はシリア撤退開始
『BBC』
2018年12月20日 14:26 公開
 米政府は19日、シリアで過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を展開していた米軍が撤退を開始したと発表した。これに先立ちドナルド・トランプ米大統領は同日、ISを「撃破」したと述べていた。
 米国防総省は、「作戦の次の段階」へ移行していると明かした。しかし詳細は明らかにしなかった。
 IS掃討支援のためシリアには米兵約2000人が駐留し、同国北東部の大半を奪還した。ただし、IS戦闘員は現在も一部残っている。
 ISの復活を防ぐため、米国防当局は米軍駐留の継続を望んでいると考えられていた。
 米軍撤退でアメリカのシリアにおける影響力が弱まり、ロシアとイランがより広い地域で影響力を強める恐れも出ている。
 声明で国防総省とホワイトハウスは共に、アメリカが「作戦を次の段階に移したのを受け、米兵の帰国を」開始したと発表した。
 次の段階とは何かについて、「部隊保護と作戦運用の安全性上の理由から」それ以上の詳細は明かさないと、国防総省は述べた。
 ホワイトハウスは、アメリカと同盟国が「アメリカの国益を守るため、必要な時にいつでも、あらゆる水準の取り組みを再開する準備はできている。また、イスラム過激主義者による地域支配、資金調達、支援、そして我々の国境へのあらゆる侵入を退けるため、共に取り組み続ける」と発表した。
 トランプ大統領は19日、動画とともに、「ISIS(ISの別称)に対する歴史的勝利の後、偉大な若者たちを帰国させる時だ!」とツイートした。
 https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1075528854402256896
*反応は
 イスラエル政府は、アメリカが「地域に影響力を残す別の方法」を持っていると通知を受けていたと述べた。しかし、「(米軍撤退の)スケジュールや進め方、そしてもちろん、我々への影響については調査する」とした。
 ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は国営テレビ局チャンネル・ワンで、アメリカの決定はシリアにおける「政治的解決に向けた正真正銘で本物の見通し」につながる可能性があると述べた。
 シリアからの米軍撤退は、トランプ大統領の長年の公約だった。
 しかし、今回の撤退の発表は、一部の政権関係者にとっても驚きだったとの見方もある。
 対IS国際有志連合の調整役を務めるブレット・マガーク米大統領特使は先週、国務省で記者団に対し、「あの勢力(IS戦闘員)が消滅するとは誰も言っていない。そんな考えの甘い人は誰もいない。なので、我々は留まり、シリア一帯の安定性維持を確かなものにしたい」と述べていた。
 国務省は米軍撤退の発表後、19日の定例記者説明会を突然取りやめた。
 トランプ氏支持者の1人で、米上院軍事委員会の委員でもある共和党のリンジー・グレアム上院議員は、米軍撤退を「オバマ的な大失敗」と呼んだ。
 グレアム議員は一連のツイートで、ISが「敗北していない」と述べ、米軍の撤退は「我々の同盟国や少数民族クルド人を危険にさらす」と警告した。
 トルコ政府は今週、シリア北部のクルド人武装勢力に対する軍事作戦開始の準備を進めていると発表した。クルド人はISとの戦闘でアメリカと連携している。
 こうした情勢変化について英政府の報道官は、ISに対する「国際的な有志連合やその軍事作戦の終了を示す」ものではないとし、ISの「恒久的撃破」をめざし、イギリスは「全力を傾け続ける」と述べた。
 英政府は声明で「することは多く残っている。ISがおよぼしている脅威から目を離してはならない」と述べた。
 「現地の状況が進展しているため、我々はアメリカを含む有志連合の参加国と、目標達成の方法について議論を続ける」
*米軍の駐留状況は
 米軍は主に、シリア北部のクルド人居住地域に駐留してきた。
 米軍は、シリアに居住するクルド人とアラブ人の武装組織「シリア民主軍(SDF)」と連携している。ISは4年前にシリアの大部分を制圧。シリアと隣国イラクに住む800万人近い市民を残虐に支配してきた。そのISをシリアから実質的に撃退する掃討作戦で、SDFは大きな役割を果たした功績がある。
 ただし、ISの戦闘員は完全に消滅したわけではない。最近発表された米政府報告書によると、現在もシリアにはIS戦闘員1万4000人が存在し、イラクにはさらに多くの戦闘員がいるという。これらのIS戦闘員は組織再建のため、ゲリラ戦術に移行する恐れもある。
 しかし、アメリカとクルド人の協力関係は、シリアと国境を接するトルコの反発を強めている。
 トルコ国内には自治権を目指して戦うクルド人組織があり、トルコ政府はこのクルド人組織を違法としている。一方、SDFにはクルド人武装勢力YPGが参加しており、YPGはSDFの主要戦闘部隊となっている。トルコ政府はYPGを、国内で禁止しているクルド人組織が拡張したものと見なしているのだ。
 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は17日、シリア国内のYPGに対する新たな軍事作戦を、トルコがまもなく開始するかもしれないと述べた。
 エルドアン氏はさらに、自分の計画についてトランプ氏と電話で話し、トランプ氏から「好意的な反応」を得たと付け加えた。
 米政府は18日、「敵対的攻撃を防ぎ、トルコ国境の内部で訓練および作戦行動を行っている可能性がある北大西洋条約機構(NATO)加盟国を守るのに必要なトルコ軍の防衛能力向上」のため、35億ドル(約3940億円)のミサイル販売契約をトルコと結んだと発表した。
 ロシア政府は19日、トルコへの高性能ミサイル防衛システム販売を継続すると述べた。
 米軍はシリア北部での配備に加え、まだ南東部に一部残っているIS支配地域での戦闘も支援している。
<解説>アメリカの方針に大混乱?――ジョナサン・マーカス BBC外交担当編集委員
 トランプ大統領の決定は、国防総省と国務省の双方が示していた公式方針を覆した。また、米政府と友好関係を結ぶクルド人勢力を、さらに大きな危険にさらしている。
 シリア北東部におけるアメリカの地上作戦には米兵約2000人、あるいはそれ以上が参加している。基地と滑走路の連絡網も整備された。しかし、戦略上の目的は何なのか。
 ISは敗北に向かっている。シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は地位に留まっている。もし現在の目標が、地域におけるイランあるいはロシアの影響力拡大を食い止めることなら、広大な支配地域全体に兵士2000人は、目標達成のための人数としては少なすぎるかもしれない。
 駐留米軍は、まさしくアメリカの「自己資金投資」だ。現地にいれば、アメリカにとって利益になり得る。それだけに今回の撤退決定は、この重要地域へのアメリカの方針が大混乱に陥り不確実になっている新たな兆候だと、大勢が受け止めるはずだ。

 ◎上記事は[IRONNA]からの転載・引用です
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