リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件 市橋達也被告 論告求刑公判②最終弁論 最終陳述 結審 2011/7/12  

2016-05-15 | 死刑/重刑/生命犯

英国女性殺害 論告求刑(2011年07月12日)

【英国女性殺害 市橋被告求刑(7)】リンゼイさんの傷跡「1つ1つがメッセージ」遺族代理人が懸命訴え
 《休廷中、検察官らには笑顔が見えた。論告求刑を終えたことから緊張がほぐれたようだ。リンゼイさんの両親も通訳の女性を交えて談笑している》
 《午後2時40分、公判が再開した。被害者遺族参加制度に基づく、遺族の代理人弁護士が意見陳述を始めた。法廷両側に設置された大型モニターには、陳述の要点が映し出された》
 代理人弁護士「遺族は推移を見守るため、英国から来ました。リンゼイさんは最後にどのような状態だったのか。真相を知るためです。悲しみが、いかほどだったのか知ってもらい、正義に基づいて判決を出してもらうためです」
  「被告は初公判で『事件の日に何があったか知っているのはリンゼイさんと私しかいません。これからの裁判で話していくことが私の義務だ』と言っていたが、公判での被告の態度は両親を失望させました。説明は信用できません」
 《リンゼイさんの父、ウィリアムさんも8日の証人尋問で、市橋被告の態度を「ショーを演じるために(言動を)練り上げている」「証言は計算されつくし、リハーサルされたものだ」などと非難している》
 代理人弁護士「(市橋被告の発言は)刑を軽くするための虚偽の証言であり、(検察側の)質問に『もう1度』などと言って、長々と独自の主張を繰り返した」
  「(市橋被告は)真相を語ろうとしなかった。時間の引き延ばしは(2年7カ月間にわたって)逃走を続けたことと何ら変わらない。これは被告人の戦略だ」
 《遺族の代理人弁護士は、身ぶり手ぶりを交え、裁判員に向かって話し続ける。紙を読み上げるため、口調が次第に早くなっていく》
 代理人弁護士「被告は罪と正面から向き合うべきです」
 《代理人弁護士は今回の事件を、逮捕直後から容疑者の自供が得られるケースと比較。市橋被告からの細かな自供はなく、起訴直前で大まかな説明をしたにすぎないと批判した》
 代理人弁護士「事件の真相がどこにあったのか。代理人として申し上げる。事件には、11個のポイントがあると考えます」
  「1つめは遺体の状況です。リンゼイさんの遺体には痛ましい傷跡があります。これは暴行のすさまじさを表しています。傷跡1つ1つがリンゼイさんのメッセージです」
 《代理人弁護士は裁判員らに、証拠提出されたリンゼイさんの傷跡が撮影された写真をもう1度見てほしいと呼びかけた。そして、弁護側の主張する「暴行の経緯」について、疑問を呈した》
 代理人弁護士「(弁護側の主張は)まったく不合理で、ひどく殴る理由はない。被告の供述はもともと信用していないが、仮に供述を前提としても、『関係を修復したい』としながら、顔を殴る行為はまったく合理的でない」
 《市橋被告は7日の被告人質問で「リンゼイさんを強姦した後、人間関係を作ったら、許してもらえるんじゃないかと思いました」と証言している》
 代理人弁護士「犯行現場の玄関にあった被告とリンゼイさんの靴には、リンゼイさんの血痕が残されています。コートにも残されています。(血痕が付着する)タイミングとして考えられるのはいつでしょうか」
 《代理人弁護士はこう訴え、リンゼイさんへの殴打が強姦時に行われたとする検察側の主張を支持した》
 《代理人弁護士は、リンゼイさんを拘束するために使用された結束バンドについても言及。リンゼイさんが身長176センチ、体重63キロで、女性としては大柄だったことを挙げ、「(バンドで拘束するために)どうやって自由を奪ったのか」と述べた》
 代理人弁護士「両親は日々の公判終了後、ホテルに帰りミーティングをして、分からなかった点について話し合っています」
  「足首を拘束したバンドについても、30センチの結束バンドが輪っかにされていたが、その理由について説明はない。小さな(30センチの)バンド1つで両手首を連結(拘束)することは簡単にできるのでしょうか。協力的であるか、動かない状態でなければできません」
 《代理人弁護士は、裁判員らに対し、残された物証や市橋被告の供述をもう一度精査するよう、疑問形で言葉を投げ掛ける》
 代理人弁護士「(結束バンドがあった)収納棚は床から、高いところにあった。片手でリンゼイさんを押さえて、バンドを取ることは不可能です。リンゼイさんが無抵抗でなければ...。説明が不自然です。さらに前の年に買った結束バンドを急に使うことも不自然です」
  「(リンゼイさんの顔を巻いた)粘着テープも、コンドームなどの重要な物証とともに捨てられていました。時間が経過すれば、(ゴミとして出されて)捨てられていた可能性もある。これは(市橋被告が)重要だったと考えていたことにほかならない」
 《代理人弁護士は室内にあったリンゼイさんの尿斑(尿の跡)にも言及した》
 代理人弁護士「尿斑はパンティーやタイツ、スカートなど股間部分に集中してあった。これは服を着たままで失禁して...」
 《「異議あり」。ここで、市橋被告の弁護人が大声を上げた。弁護側は公判前整理手続きで、尿斑と強姦の関係性について検察側が立証しないと決定したことを挙げ、尿斑についての意見陳述をやめるよう主張した》
 《弁護側は「検察官、いかがですか」などと挑発。検察官が「証拠に入っているでしょ」などと応じたところで、堀田真哉裁判長が「直接議論しないで」と両者をいさめた》
   《堀田裁判長は陪席の裁判官らと協議し、「理由がない」として弁護側の主張を退けた。リンゼイさんの母、ジュリアさんが大きくうなずいた。代理人弁護士は こうしたやり取りの後、リンゼイさんがマットレスに寝かされた状態で用を足したと市橋被告が説明している点に触れた上で、次のように続けた》
 代理人弁護士「リンゼイさんは事件後、トイレに行きたいと言って(トイレに)行っている。(市橋被告の説明は)極めて不自然で、つじつま合わせだ」
 《代理人弁護士は「これから遺族が考える事件の真相を説明する」と宣言。意見陳述を続けていく》

【英国女性殺害 市橋被告求刑(8)】「日本の正義を示せ」「最高刑を」遺族の思いを代弁
 代理人弁護士「リンゼイさんを自宅マンションに誘い込んだ状況についてお話しします。市橋被告はレッスンのお金を忘れたことを口実にリンゼイさんをタクシーに連れ込み、自宅に向かいました」
  「しかし、この時持っていたカバンには、現金3万円が入っていた。つまり、現金は所持していたのに、誘い込んだと認められるのです」
  「また、タクシーの運転手に『4、5分ここにいてくれ』という趣旨の話をしています。弁護側はこれをもって計画性がなかったと言うかもしれないが、これはリンゼイさんを安心させるための発言でしかありません」
 代理人弁護士「市橋被告は自宅に入り、すぐにリンゼイさんを押し倒しました。そして、げんこつなどで顔面を殴打したのです。空手サークルなどに入っていた市橋被告は抵抗を奪うのに十分な力がありました」
   「あらかじめ結んでいた結束バンドを手錠のように使い、左右の手に順次、はめました。そうやって、リンゼイさんの自由を奪った上で、手やはさみで上半身の 服を破りました。その後、あらかじめ用意したコンドームを付け、1枚1枚服を破り、陵辱の限りを尽くしたのです」
  代理人弁護士「鑑定医の証言から少なくとも3分間、気道を絞めるのに十分な圧力をかけたのは明らかです。また、被告は『大声を出して近所の人に通報される ことを懸念した』と証言しています。遺族としては事件の真実を(市橋被告が)十分に話しているとは思えないが、現時点で出ている証言を元にしても、殺意を 認定できます」
 代理人弁護士「さて、ここで裁判官、裁判員の皆さんには、この裁判の主人公が誰か考えていただきたい。この裁判の主人公はリンゼイさんです」
  「ご遺体の写真をもう一度見てください。リンゼイさんがどんな気持ちだったか考えてください。拘束される苦しみ、辱められる悔しさ、逃げようとしても逃げられず、誰も助けに来ないと感じた絶望感...」
 代理人弁護士「リンゼイさんは将来のある美しい女性でした。きちんと仕事をして独立し、たくさんの友人を作るなど快活な女性だった。結婚して子供を持つという夢もありました。その夢を被告人は一瞬で打ち破ったのです」
  「生きていたら家族や子供たちと充実した暮らしを過ごしていたことでしょう。それを奪われたリンゼイさんの気持ちを一番に考えてほしいです」
 《続いて、事件後の家族の状況について説明が始まった。ウィリアムさんは鬱(うつ)病と診断され、ジュリアさんも事件のトラウマでバスタブに入れなくなっているという。周囲から好奇の目で見られることも、精神的に大きな負担になっていることが明らかにされた》
 代理人弁護士「英国で平凡な生活を繰り返していたリンゼイさんの家族の生活は大きく変わりました。ウィリアムさんはいまも鬱病の診断を受けています。親として...」
 《ここで一瞬、涙で言葉をつまらせる男性代理人弁護士。すぐに「すいません」と仕切り直し、意見陳述を続けた》
 代理人弁護士「親として日本に行かせたことを悔いています。家族は敬虔(けいけん)なクリスチャンだったが、神さえも信じることができなくなったのです」
 《続いて、市橋被告の犯行後の動きについて意見が述べられる》
 代理人弁護士「生ゴミ発酵推進剤や脱臭炭、園芸用の土をかぶせている。結束バンドなども処分しようとするなど証拠隠滅を図り、警察が自宅を訪れると逃走した。その後、2年7カ月もひたすら逃亡を続けており卑怯(ひきょう)で身勝手極まりなく、厳しく追及されるべきです」
  「この公判が始まったとき、被告人は土下座しました。私たちも見ました。しかし遺族は、これが裁判戦略の陳腐な演技と受けとめています」
  「謝罪の気持ちがあれば、まず逃げないでしょう。逃げ続けることをしないでしょう。逮捕されたら謝罪するはずでしょう。謝罪の機会があったのにしていない。黙秘も続け捜査に協力しなかった。この公判でも刑事責任を軽くすることしか考えていないのです」
  《市橋被告は逃亡生活などを記した本の印税を被害者弁償にあてる意向だが、両親は代理人弁護士を通じてあらためて受け取る意思がないことを表明。市橋被告 のこの意向は「リンゼイさんを殺した結果得た金で弁償するということであり、非人間性を示すもの」と厳しく指摘した。その上で、「市橋被告に有利な証拠として一切考慮しないでほしい」と訴えた》
 代理人弁護士「この裁判は、日本と英国で非常に注目されています。適正な刑罰を示し、日本に正義があることを示すべきです。遺族としては、最高刑を求めます」
 《遺族の代理人弁護士の意見陳述が終わり、再び休廷が宣告される。再開は15分後の午後3時45分の予定で弁護側の弁論に入る》

【英国女性殺害 市橋被告求刑(9)】結束バンド、粘着テープ...「争点に関係ない」裁判員に冷静対応呼びかける弁護人
 《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の論告求刑公判は約15分の休憩を挟み再開。弁護側の最終弁論が始まる》
 《男性弁護士はゆっくりと証言台に移動。検察席から論告を読み上げた検察側とは対照的に、裁判員に視線を向けゆっくりと話し始めた》
 弁護人「弁護側の最終的な意見を申し上げる前に、2つだけ気をつけてほしいことがあります」
  「7月4日から今日の午前まで審理が行われ、そこで出たほとんどの内容は証拠となります。気をつけてほしいのは、先ほど行われた被害者遺族代理人の意見です」
  「これは遺族の考える真相と説明がありました。証拠に基づくものではない、と私は感じました。何が争点なのか、見失わないでください。皆さんのミッション、任務は非常に重要です。証拠に基づき、被告がどのような犯罪で処罰を受けるのか、判断してください」
 《男性弁護人は、弁護側が(1)強姦(2)傷害致死(3)死体遺棄-の罪について認めており、検察側が(1)と(2)について強姦致死、殺人罪の適用を主張していることについてあらためて説明。その上で、再び裁判員に視線を向けた》
 弁護人「刑事裁判のルールで、検察側には主張を立証する義務があります。『どちらが正しいか』ではなく、検察側の主張する強姦致死、殺人が『公判の証拠で認められるか』。それを判断するのが、皆さんの任務になります」
 「被害者代理人弁護士の意見は、争点から外れています。結束バンドや粘着テープを利用し女性を乱暴する、それは卑劣な行為だと弁護人も考えます。 しかし、結束バンド、粘着テープで首を絞めたなら争点になりますが、直接は関係ありません。皆さんの頭脳を混乱させるようなことはあってはなりません」
 弁護人「医師は2期の後半ならば蘇生(そせい)しないと、法医学者として証言されました。個体差もあり曖昧だが、弁護側は2期の後半を2分程度と理解しました。2分程度を過ぎれば、今回のような(窒息死に至る)事態は起こりうるのです」
 《圧迫時間について、検察側は「少なくとも3分以上」と主張、市橋被告は「1分程度」と答えていたが、弁護側は間をとって殺意についての検察側の立証を弱める方針のようだ》
 《男性弁護人はさらに、医師の所見結果から、リンゼイさんの首の前面には圧迫の跡があったものの、左右の頸(けい)動脈は圧迫されなかった可能性があることを強調。圧迫の「偶発性」を主張した》
 《男性弁護人はリンゼイさんの死後に市橋被告が行ったとする心臓マッサージについても、検察側の「肋骨が折れるなど、マッサージを施した際に現れる変化がない」とする主張に反論する》
 弁護人「肋骨が折れるほどの強い心臓マッサージでないと、蘇生はしない。しかし、それができるのは専門家で、素人が慌てて胸を押しても、折れるほど強くは押せません。肋骨が折れていないから、マッサージをしていない、という主張には無理があります」
 《市橋被告が殴るなどしてリンゼイさんに抵抗できなくさせた後、乱暴に及んだとする検察側の主張についても、男性弁護人は医師の証言を"逆利用"し反論していく》
  弁護人「また、医師はどういう順序で傷ができたのか、『特定できない』と正直に話しています。衣服が切られたり、結束バンドで縛られたり、暴行を受けたりしたことが、(市橋被告がリンゼイさんを乱暴した平成19年3月25日)午前10時に同時に行われたのかどうか、医師の証言では立証できませんでした」
 弁護人「医師の証言で立証されたのは、頸部が3分程度圧迫され、窒息死したということ。検察のその他の主張は、ほとんど何も立証されていません」

【英国女性殺害 市橋被告求刑(10)】「事件当時から見れば、反省の態度は増している」弁護人、情に訴え
 弁護人「玄関の靴に付着していたリンゼイさんの血痕ですが、検察側は玄関でリンゼイさんが全身をぶつけたとしています。しかし、鑑定医の証言では外に血が出るような傷はなかったということです」
  「検察側が言うように、市橋被告が(玄関で強姦した19年3月25日)朝10時ごろに顔や全身を殴打したのではなく、26日午前2時から3時に遺体と浴槽を風呂場に運ぶときについた可能性があります。立証責任は検察にあるので、われわれは疑問を挟むことで十分です」
 弁護人「事件当日、(市橋被告の)部屋にいたのは2人だけです。そのことをほかの人が知らなければ、検察側が言うように、殺害によって(犯罪の)発覚を防ぐことができるかもしれません」
 弁護人「(○○さんがいる場で)市橋被告はリンゼイさんの似顔絵を描き、紙に電話番号、メールドレスを書いて渡しました。(事件当日の)3月25日に市橋被告がリンゼイさんと個人レッスンをやることも知られていました。だからリンゼイさんを殺害しても、(強姦の)犯行の発覚を防ぐことにはなりません」
 《○○さんらが26日、警察に捜索願を出した際、市橋被告の連絡先が書かれたメモを同時に渡したことから、市橋被告の特定が進んだ》
 弁護人「(犯行の発覚を防ぐためという)殺害動機は常識的にみて、あり得ないんじゃないですか、と言いたいです。市橋被告の供述では強姦の後、殺害の意志はなく、リンゼイさんに許してもらおうと、4畳半の和室に連れて行っています」
  弁護人「検察側は市橋被告が25日から26日夕にかけて頸部圧迫により、リンゼイさんを殺害したとしています。しかし、その間に何があったの か、どういうことで亡くなったのかについて検察側は一切明らかにしていません。それっていいんでしょうかね? あまりにも無責任です」
 弁護人「リンゼイさんは浴槽の中で裸になり、足を拘束されており、全身に傷がありました。警察は容疑者の暴行で死亡したという見方で捜査をしました」
  「この事件の特徴は市橋被告とリンゼイさんしか事実を知らず、リンゼイさんが亡くなっていることから、市橋被告しか話す人間がいないということです。しかし、警察は市橋被告を取り逃がしました」
  「市橋被告が強姦し、さらに頸部圧迫で殺害したというのは捜査側のストーリーで、その間(強姦から殺害まで)のことについては一切解明されていません。それが捜査の問題です」
 《弁護側は、市橋被告が事件直前にタクシーでリンゼイさんを自宅近くまで連れて行き、タクシー運転手に「5、6分待ってほしい」と言っている点から、犯行に計画性がなかったことを主張。さらに最大の争点である殺意についてもあらためて否定した》
  弁護人「リンゼイさんが大声を上げ、はって出ようとするところを見て焦り、覆いかぶさるようにして押さえつけました。鑑定の証言でも、こうした行為で頸部が圧迫されることもあり得るとのことでした。殺意を持ってしたことではないとあらためて申し上げたいです。市橋被告は心臓マッサージもしています」
 弁護人「皆さんには重要な任務があります。やっていないことで人が処罰されることを防ぐことです。検察の主張が『間違いない』と確信できるまで立証されているかを判断して下さい。殺意について『間違いない』と立証できていません」
 《弁護人は強姦致死、殺人、死体遺棄罪の成立を前提とした無期懲役の求刑に反対し、強姦、傷害致死、死体遺棄罪が相当とする従来の意見を述べた》
 弁護人「市橋被告の反省の態度について、検察官や遺族から批判的な意見もありますが、法廷での市橋被告の言葉を聞いてもらえれば分かります。事件当時から見れば、反省の態度は増しています。市橋被告は元々は普通の学生で、最初から悪い人ではありませんでした」
 弁護人「逃走を非難されても仕方ないです。犯人は逃走、証拠を隠滅する可能性があります。良いことではないですが、法的には処罰されません。助けた人は処罰されますが...。逃げた犯人を非難することはできますが、非難する上で大きな要素と捉えるべきではありません」
 《弁護人は「ご両親は娘さんを亡くされ、大変な思いをされましたが、処罰感情だけで判断されるものではない。今回は犯情の悪い事件には該当しない」と述べ、意見陳述を締めくくった。続いて、市橋被告の最終陳述が行われる》

【英国女性殺害 市橋被告求刑(11)完】「苦しんで考えながら私の残りの人生を終わらせる」 裁判長に頭を20秒下げ続ける
  《堀田真哉裁判長が「それでは証言台の前に来てください」と市橋被告に起立を促した。証言台に立った市橋被告はこれまでの公判と同様、うつむいたままだ》
  被告「この裁判の裁判官の方々、裁判員の方々、そしてリンゼイさんのご家族の方に事件の日、何があったか、そして私がリンゼイさんを殺そうと思ったり、死んでもいいと思ったことがなかったことを、私がしたことは許されませんが、その2つはお話しすべきだと思ってお話ししました」
 被告「しかし、リンゼイさんに怖い思いをさせて、痛い思い、苦しい思いをさせて死なせてしまったのは私であり、リンゼイさんのご家族の人生、幸せを壊したのは私で、私が何をしようと許されることではありません」
 被告「裁判の中でリンゼイさんのご家族の話を聞きました。(千葉大時代の恩師の)本山(直樹)先生や(大学の卒業研究の指導教授だった)◇◇先生(法廷では実名)の話も聞きました」
 「私の中には問題があります。私の中は自分勝手であふれていて、自分勝手な行為をしておいて、責任に向かい合おうとしない。責任を取ろうとしない。その都度、その都度ごまかしていこうとすることがこの事件につながったと思います」
  被告「私の問題点とリンゼイさんのご家族が、この先どんな気持ちで苦しまれ、生活されるのか、リンゼイさんが怖い思いの中で苦しんで亡くなられたときの気 持ち、これらのことを苦しくても、これからずっと、考え続けていくことを、そのことをずっと苦しんで考え続けながら、私の残りの人生を終わらせること、そ れが私が犯した罪に対する償いと考えています」
 《市橋被告はたどたどしく言葉を続ける。証言台の前に立ち、こぶしを握りしめ、声を震わせた》
 被告「逃げている間、働きました。そのとき感じたことは人の命が一番ということです。本当に、本当に申し訳ありませんでした」
 《市橋被告が最終陳述を終えたことで、6日間に及んだ審理は結審した。裁判官と裁判員による評議を経て、判決は21日午後2時半から言い渡される》

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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