新内閣:「亀井金融相」に関係者戸惑い
亀井・国民新党代表の郵政・金融担当相の起用について、エコノミストや証券アナリストなど金融関係者の間では「行動力には期待する」(外資系証券)との評価の一方、戸惑いの声も漏れた。
銀行・証券などは世界金融危機で受けた痛手からの回復途上にあり、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「金持ち優遇批判から、証券優遇税制の廃止に踏み切れば、証券市場は冷え込む」と警戒する。「中小企業への貸し渋り対策と称して、銀行への風当たりが強まるのでは」(大手証券)との見方もある。
また、外国人投資家は郵政民営化による構造改革路線を評価して日本株を買い進めた実績があり、白川氏は「亀井氏の起用は郵政民営化路線の終わりに駄目を押した形。違う形で行財政改革が進まなければ、外国人投資家の評価は得られない」と指摘。菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストは「郵政事業が政治に振り回されるのは好ましくない。事業効率化の観点から一度、立ち止まって考えるべきだ」と話す。
同党は昨秋、株価乱高下の一因になっているとして国内最大の証券先物商品「日経225先物」の廃止を提言した。取引リスク回避のため利用する投資家も多く、同先物を扱う大阪証券取引所の広報担当は「コメントのしようがない」と話した。【田畑悦郎、工藤昭久】毎日新聞2009年9月15日21時30分
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亀井郵政・金融相に戸惑い=中小企業対策で警戒感も-金融界
国民新党の亀井静香代表が郵政・金融担当相に内定したことについて、金融界では、同氏の金融行政の手腕は未知数なことなどから、戸惑いの声が広がっている。
ある大手行関係者は「自民党の最も古いタイプの政治家で、政権交代した感じがしない」と感想を漏らす。昨年秋の金融危機対策では、国民新党は自己資本比率規制の撤廃など「実現はほぼ不可能」(同)とされる、規制強化の国際的潮流からかけ離れた施策を打ち出した。本当に実行に移すつもりなのか「まずは姿勢を見極めたい」(複数の大手行幹部)と話す。
また、亀井氏が15日の会見で、中小・零細企業の返済を3年程度猶予する考えを示したことに、金融界は困惑している。連立3党の政策合意には中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」の成立が盛り込まれており、亀井氏は会見で「(金融機関は)正常な融資活動をやっていない場合が多い」と強調した。
これに対し、大手行幹部は「無理に中小企業向け融資を伸ばそうとすれば、不良債権処理額が増えて業績や財務を圧迫する恐れがある」と警戒。金融行政の行方を見守る考えだ。
郵政民営化見直し問題を強く主張してきた亀井氏が郵政担当相に就くことを不安視する声も聞かれる。かんぽ生命保険やゆうちょ銀行と提携する日本生命保険やスルガ銀行は「提携内容がどう見直されるのか」と心配している。(時事通信2009/09/15-20:40)
亀井・国民新党代表の郵政・金融担当相の起用について、エコノミストや証券アナリストなど金融関係者の間では「行動力には期待する」(外資系証券)との評価の一方、戸惑いの声も漏れた。
銀行・証券などは世界金融危機で受けた痛手からの回復途上にあり、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「金持ち優遇批判から、証券優遇税制の廃止に踏み切れば、証券市場は冷え込む」と警戒する。「中小企業への貸し渋り対策と称して、銀行への風当たりが強まるのでは」(大手証券)との見方もある。
また、外国人投資家は郵政民営化による構造改革路線を評価して日本株を買い進めた実績があり、白川氏は「亀井氏の起用は郵政民営化路線の終わりに駄目を押した形。違う形で行財政改革が進まなければ、外国人投資家の評価は得られない」と指摘。菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミストは「郵政事業が政治に振り回されるのは好ましくない。事業効率化の観点から一度、立ち止まって考えるべきだ」と話す。
同党は昨秋、株価乱高下の一因になっているとして国内最大の証券先物商品「日経225先物」の廃止を提言した。取引リスク回避のため利用する投資家も多く、同先物を扱う大阪証券取引所の広報担当は「コメントのしようがない」と話した。【田畑悦郎、工藤昭久】毎日新聞2009年9月15日21時30分
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亀井郵政・金融相に戸惑い=中小企業対策で警戒感も-金融界
国民新党の亀井静香代表が郵政・金融担当相に内定したことについて、金融界では、同氏の金融行政の手腕は未知数なことなどから、戸惑いの声が広がっている。
ある大手行関係者は「自民党の最も古いタイプの政治家で、政権交代した感じがしない」と感想を漏らす。昨年秋の金融危機対策では、国民新党は自己資本比率規制の撤廃など「実現はほぼ不可能」(同)とされる、規制強化の国際的潮流からかけ離れた施策を打ち出した。本当に実行に移すつもりなのか「まずは姿勢を見極めたい」(複数の大手行幹部)と話す。
また、亀井氏が15日の会見で、中小・零細企業の返済を3年程度猶予する考えを示したことに、金融界は困惑している。連立3党の政策合意には中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」の成立が盛り込まれており、亀井氏は会見で「(金融機関は)正常な融資活動をやっていない場合が多い」と強調した。
これに対し、大手行幹部は「無理に中小企業向け融資を伸ばそうとすれば、不良債権処理額が増えて業績や財務を圧迫する恐れがある」と警戒。金融行政の行方を見守る考えだ。
郵政民営化見直し問題を強く主張してきた亀井氏が郵政担当相に就くことを不安視する声も聞かれる。かんぽ生命保険やゆうちょ銀行と提携する日本生命保険やスルガ銀行は「提携内容がどう見直されるのか」と心配している。(時事通信2009/09/15-20:40)