死刑に参加した刑務官が明かす…執行の瞬間を待つ「死刑囚房」のあまりに異常な日常
2022/5/12(木) 20:02配信 現代ビジネス
「刑務官が明かす死刑の話」(竹書房)
昨年12月に確定死刑囚3人の刑が執行されたことは記憶に新しい。死刑執行は2019年12月以来とおよそ2年ぶりで、岸田政権の発足後は初めて。今回の執行を受け、確定死刑囚は108人となった。
【マンガを読む】刑務官がスイッチを押すとき…「刑務官が明かす死刑の話」公開中
死刑とは犯した罪を自らの死によって償う刑罰で、刑法11条で死刑は刑事施設内において絞首にて執行すると定められている。日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか。本記事では、漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材したマンガ『刑務官が明かす死刑の話』を取り上げる。
執行までの長い年月
「刑務官が明かす死刑の話」より
一之瀬さんはなぜ死刑について取材するに至ったのか、こう語る。
「もともと警察ものや犯罪ものの作品に興味があり、その手のドラマを見たり小説を読んだりしていました。そのような中、刑務官の方と知り合いお話をしていく中で、刑務官の仕事は塀の中の業務ということもあり、それまで深く知る機会がありませんでしたが、刑務所の中の治安を守ることはもちろんのこと、罪を犯した受刑者の矯正、そして死刑の立ち会いと、重い責任を背負って日々業務をこなしているのだということを知り、刑務官という職業のリアルな姿を伝えられればと思ったことがきっかけです」
一之瀬さんが取材したのは、実際に死刑に立ち会った経験のあるM刑務官。大学卒業後、刑務官試験に合格。地方刑務所、拘置支所勤務を経て、現在は某拘置所に勤務している。
死刑は死刑判決を受けてからすぐに執行されるものではない。刑法に則れば本当は半年以内に執行しなければならないが、現在は判決から執行まで平均7~10年と言われている。なかには確定から20年以上経過している死刑囚もいる。死刑囚は執行のその日まで、どのような暮らしを送っているのだろうか。
■判決からの移送
数回の裁判を経て死刑が確定すると、呼び名が「被告」から「死刑囚」と変わる。確定後はその身柄はバスや飛行機などによて死刑施設のある拘置所へ移送される。そこで一般の受刑者と一緒に暮らすのかというと、そのようなことはない。
「死刑囚は隔離されたエリアで生活します。それは、死んで初めて『受刑した』ことになるため死刑囚は『未決囚』であることと、死刑のストレスを減らすためなのです」(M刑務官)
Mさんは隔離することが重要なのだと話す。
「基本的に死刑囚のいるエリアの場所は外部に一切公表されていません。大きい施設だと、刑務官すら場所を知らないこともあります。これは刑場同様、過去に死刑囚奪還未遂事件があったことを受けて未然に防ぐための措置となっています」
その「死刑囚しかいないエリア」で死刑囚はいつ来るか分からない執行の時を待ちながら生活していくのだ。
記事後編【死刑に立ち会った刑務官が明かす…死刑囚を絶対に「名前」で呼んではいけない理由】では、死刑囚が送る生活が実際はどのようなものなのかについて記します。
現代ビジネス編集部
- 【後編】死刑に立ち会った刑務官が明かす…死刑囚を絶対に「名前」で呼んではいけない理由
- 死刑に立ち会った刑務官が明かす「執行ボタンを押す瞬間」
- 死刑に立ち会った刑務官が明かす…執行の瞬間に「刑場」を襲った大パニックの真相
- 「死刑執行」を伝えるのはなぜ「当日の直前」なのか…? ほとんどの人は知らない「死刑執行が決まる瞬間」
- 死刑は「12月」がなぜ多い…? ほとんどの人は知らない「死刑執行が決まる瞬間」
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
――――――