マイクロプラスチック 1平方メートルに6万個 伊勢湾の答志島 2019/11/10

2019-11-10 | いのち 環境

 2019年11月10日 中日新聞 朝刊
 マイクロプラ、1平方メートルに6万個 伊勢湾の答志島で四日市大が調査 

 三重県鳥羽市の離島・答志島の奈佐の浜に、波や紫外線で細かく砕かれたマイクロプラスチックが、一平方メートル当たり約六万個の密度で存在していることが、四日市大の千葉賢教授(沿岸海洋環境学)の調査で分かった。四ミリ四方に一つのマイクロプラスチックがある計算。浜は、伊勢湾の海洋ごみが集中して漂着する場所として知られるが、マイクロプラスチックの調査は実施されておらず、身近な海での深刻な汚染実態が明らかとなった。

 調査は今年二月から千葉教授とゼミ生で実施。三十センチ四方の地点を計十一カ所設定し、それぞれ深さ五センチまでの表層で、直径五ミリ以下の小さなプラスチックごみであるマイクロプラスチックを回収し、数や種類を調べた。

 十一地点(計〇・九九平方メートル)の総個数は六万三百八十六個で、最多が発泡スチロール片の68%。農業で使われる「徐放性肥料カプセル」が18%、硬質プラスチックが7%と続いた。プラスチック製品の中間原料で円柱や球状の「レジンペレット」や人工芝、フィルム状のものも見つかった。
 回収総個数を一平方メートル当たりに換算すると六万九百九十四個となる。二〇〇八年に鹿児島大の研究者が実施した伊勢湾海岸三十三カ所のマイクロプラスチック採取調査の平均密度は一平方メートル当たり四千三十八個。調査手法などが異なるため単純比較はできないが、今回の結果は十五倍に相当する。
 千葉教授は「ごみの発生源は陸域や、養殖、漁業が盛んな海域から出ていると思われ、マイクロプラスチックも大きい海洋ごみと同じように流され、同じように集まる。多いごみから抑制する対策を考える必要がある」と話した。
 伊勢湾には、三重、愛知、岐阜各県などから年間計約一万二千トンのごみが流入し、多くが海流などで奈佐の浜に流れ着くとされる。奈佐の浜では定期的な清掃活動が実施されているが、漂着するごみの回収は追いついていない。

◆海洋汚染 地球的課題に
 プラスチックごみによる海洋汚染は地球規模で問題になっており、六月に大阪で開かれた二十カ国・地域首脳会議(G20サミット)首脳宣言でも削減計画策定が盛り込まれた。日本でも、二〇一九年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」にプラスチックごみ問題の章が新設されるなど社会問題として注目が高まっている。
 白書は、毎年約八百万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、北極や南極でもマイクロプラスチックが観測された報告などを記述。三〇年までに国内の使い捨てプラスチックを累積25%排出抑制する政府方針やリサイクルの推進、別の素材でプラスチックの代替をする取り組みなども紹介している。
 三重大の朴恵淑教授(環境地理学)は「(マイクロプラスチック問題は)前から分かっていたことではあるが、環境白書に載ったことは、一人一人が『作る責任』『使う責任』の自覚を持って、身近なところから取り組みを始めて大きなムーブメントにしていくチャンスになる」と評価する。(梅田歳晴、写真も)

   ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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