タリウム事件 元女子大学生側「責任能力ない」無罪主張
NHK NEWS WEB 1月16日 15時21分
３年前、名古屋市で知り合いの女性を殺害したほか、同級生２人に劇物のタリウムを飲ませて殺害しようとしたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われている元女子大学生の裁判員裁判が、名古屋地方裁判所で始まり、元女子大学生の弁護側は「事件当時、責任能力はなかった」として無罪を主張しました。
２１歳の元女子大学生は平成２６年、名古屋市の自宅アパートで、訪ねてきた知り合いの森外茂子さん（７７）をおので殴ったうえ、首を絞めて殺害したほか、高校生だった平成２４年には、仙台市で高校と中学時代の同級生の男女２人に、劇物のタリウムを飲ませて殺害しようとしたなどとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われています。
元女子大学生は逮捕されたあと、「子どものころから人を殺してみたかった」などと供述し、捜査段階と少年審判で精神鑑定が行われた結果、家庭裁判所で「責任能力はある」と判断され、検察庁に送り返されて起訴されました。
１６日の初公判で、元女子大学生は「タリウムを飲ませても人が死ぬという認識はなかった」などと述べました。
また、弁護側は「被告には発達障害に加えて、そううつ病のそう状態にあった。事件当時は『人が死んでいく過程を見たい』という自分の興味に対し善悪の判断ができず、責任能力はなかった」として無罪を主張しました。
裁判は、元女子大学生の責任能力の有無が最大の争点となり、判決はことし３月に言い渡される予定です。
■６つの事件で起訴 裁判までの経緯
元女子大学生は６つの事件で起訴されています。
３年前の平成２６年、当時１９歳だった元女子大学生は名古屋市の自宅アパートに訪ねてきた知り合いの森外茂子さん（７７）の頭をおので殴るなどして殺害した疑いで逮捕されました。
その後の捜査で、１６歳で高校生だった平成２４年、実家のある仙台市で、高校と中学時代の同級生の男女２人に劇物のタリウムを飲ませて殺害しようとしたとして再逮捕され、殺人未遂の罪に問われています。
さらに、元女子大学生は森さんを殺害したとされる６日後、帰省していた仙台市で、知り合いの家と勘違いして住宅に放火しようとしたとして、殺人未遂や放火未遂などの罪にも問われています。
元女子大学生は逮捕されたあと、「子どものころから人を殺してみたかった」などと供述し、捜査段階と少年審判で精神鑑定が行われた結果、家庭裁判所は「責任能力はある」と判断。元女子大学生は検察庁に送り返され、おととし、殺人や殺人未遂などの罪で起訴されました。
その後も弁護側と検察側の請求で、さらに２回の精神鑑定が行われ、初公判は逮捕から２年近くがたって開かれました。
■殺害された女性の夫は
殺害された森外茂子さんの８３歳の夫は、妻を亡くしたあと、名古屋市内のマンションで１人で暮らしています。
裁判の前、夫はＮＨＫの取材に対し、「５３年間、妻と一緒に暮らしてきた。妻がいることが普通の生活だと思っていた。１人になり、とにかくしんどく、妻にはもっと感謝しておくべきだった。悔しくて残念でならない」と涙を浮かべて話していました。
また、元女子大学生に責任能力があるかどうかが裁判の争点になることについて聞くと、「被告には厳罰を下してほしい」と述べました。今月になって、元女子大学生の母親から謝罪の手紙が届いたことについては、「何かしてほしいという気持ちは一切ない。ただ、妻が帰ってきてほしいだけです」と話していました。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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名大の元女子学生が初公判で「特に言うことはない」
日刊スポーツ[2017年1月16日13時44分]
２０１４年に名古屋市で女性が殺害され、１２年に仙台市で高校生２人が劇物の硫酸タリウムを飲まされた事件で、殺人や殺人未遂罪などに問われた名古屋大の元女子学生（２１）＝退学＝は１６日、名古屋地裁（山田耕司裁判長）の裁判員裁判初公判で、殺人の起訴内容について「特に言うことはない」と述べ、劇物投与の殺意は否認した。弁護側は「犯行時、発達障害で善悪の判断能力がなかった」と無罪主張した。
責任能力の有無が主な争点。検察側は冒頭陳述で「人体の変化に強い興味を持った被告が２年半の間に事件を繰り返した。発達障害はあったが影響は限定的で、完全責任能力があった」と述べた。劇物投与の殺意については「中毒症状を確認しようとして『死んでも仕方がない。実験結果として受け入れよう』などと思っていた」と述べた。
一方、弁護側は冒頭陳述で「発達障害の影響で善悪の判断ができなかったことに加え、双極性障害（そううつ病）のそう状態で行動をコントロールできなかった」と強調。刑事責任は問えないとした上で、再犯を防止するため、医療観察制度に基づいて専門的な医療を受けさせるよう訴えた。
元女子学生は捜査段階で「人を殺してみたかった」などと供述していた。逮捕当時は未成年で、弁護側は名古屋家裁が検察官送致（逆送）したのは、少年法に違反するとして公訴棄却も求めた。
名古屋地検は精神鑑定の結果、刑事責任を問えると判断して起訴した。
起訴状によると、１９歳だった１４年１２月、名古屋市の自宅アパートで、宗教に勧誘されて知り合った無職森外茂子さん＝当時（７７）＝を手おので殴りマフラーで首を絞めて殺害したほか、高校生だった１２年５～７月、仙台市で中学の同級生だった女性（２１）や高校で同じクラスだった男性（２０）に飲み物に混ぜた硫酸タリウムを飲ませ、殺害しようとしたとしている。（共同）
◎上記事は[日刊スポーツ]からの転載・引用です
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責任能力が争点 検察側「事前に準備」
毎日新聞2017年1月16日 23時37分(最終更新 1月17日 00時22分)
名古屋市で高齢女性を殺害し、高校の同級生に硫酸タリウムを飲ませるなどしたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大学生の女（２１）＝事件当時１６～１９歳＝の裁判員裁判が１６日、名古屋地裁（山田耕司裁判長）で始まった。弁護側は精神障害で善悪の判断ができず行動をコントロールする能力がなかったと無罪を主張し、責任能力の有無が最大の争点になった。
検察側は冒頭陳述で、元学生が中学生の頃に母親から神戸市の連続児童殺傷事件の話を聞いて猟奇的な事件を調べるようになり、２００５年に静岡県で高校生の少女が母親にタリウムを飲ませた殺人未遂事件を知ってタリウムにも関心を抱いたと主張。「人の死や人体変化に強い興味を持ち、各犯行に及んだ」とし、完全な責任能力があったと指摘した。 弁護側は元学生に発達障害があり、他者への共感性がなく、興味の対象が極めて狭く、頭に浮かんだことをすぐ行動に移してしまう上、遅くとも中学１年時に双極性障害（そううつ病）を発症して、そう状態の時は抑止力が全く働かなくなったと主張した。検察側実施を含め全ての精神鑑定結果が専門的な治療と教育の必要性を示したとして、医療観察制度の適用を求めた。
１６日午後からは知人の森外茂子（ともこ）さん（当時７７歳）殺害事件の審理が始まった。検察側は元学生が事件の約１週間前から殺害を準備していたと指摘。当初は大学の友人を殺害対象に考えていたが、自宅に招きやすく高齢で未来が少ないとして森さんの殺害を計画し、事前に手おのやナイフをバッグに用意したと主張した。
さらに、事件前に元学生が「できれば大学院に行きたいけど、少年のうちに殺人することを諦めなければならない。葛藤である」と投稿したツイッターの内容を読み上げた。
弁護側は「衝動に突き動かされた思いつきの行動」と反論した。人を実験や観察の対象としてみており「純粋に人が死んでいく過程を観察したいというのが動機」と主張した。殺害数日前から人を殺す考えが一晩中湧いて一睡もできない、そう状態だったと訴えた。 森さんの８０代の夫は初公判を傍聴し「（無罪主張は）残念無念で厳罰にしてほしい。もう（法廷には）来ない。眺めていてもどうにもならない」と話した。【金寿英、山本佳孝】
◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です ＊強調(太字)は来栖
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