加計学園は大騒ぎするほどの大問題なのか? ありとあらゆる情報が「フェイクニュース」の可能性を排除できない=情報民主主義社会の本質 佐伯啓思

2017-07-10 | 政治 メディア

産経ニュース 2017.7.10 09:39更新
【日の蔭りの中で】フェイクと民主政治 加計学園は大騒ぎするほどの大問題なのか? 京都大学名誉教授・佐伯啓思
 「フェイク(偽装)ニュース」という言葉はトランプ米大統領によって世界中に拡散したようだが、確かに今日の民主社会の様相を見事に言い現している。従来メディアは、「政府は本当のことを言わない」「政府は何かを隠している」などといってきた。これはメディアの政権批判の常套であった。しかし、トランプ大統領は「メディアは本当のことを述べない」といい出した。それも、宴席や小さな会合でいうならともかく、まさにそのメディアを通して白昼堂々と大声でいい放った。
 米国がそんな調子だから何事も米国追従型のわが国で似たようなことが起きるのも当然であろう。いや、実は、ありとあらゆる情報が「フェイクニュース」の可能性を排除できないということは今日の情報民主主義社会の本質ともいえよう
 加計学園の問題は現時点での情報だけからすれば、連日、メディアが大騒ぎするほどの大問題だとは私には思われない。内閣のなかで何があったのか、文科省のなかでどういう経緯があったのか、私には分からないが、おおよその推察はできる。
 安倍晋三首相は「特区の獣医学部新設、急いで進めてくれ」程度のことはいったかもしれないし、内閣官房は首相の「意をくんだ」か「威を借りた」つもりで、文科省に伝えたかもしれないし、文科省では内部で話を通すために「上からの要請だ」ということぐらいはあったかもしれない。むろん違うかもしれない。真相は分からないし、分かりようもないであろう。
 だから、「事実を明らかにせよ」と叫んでもあまり意味はない。この場合、「事実」とは何なのか、それさえはっきりしない。周囲の反対を押し切って誰かが強引に権限を乱用して無理を押し通したなどということではないのである。どこまでいっても客観的な事実など出てこないであろう。ところが、メディアは「事実を明らかにせよ」といい、事実が出てこなければ「政府は事実を隠蔽(いんぺい)している」という。政府はフェイクをしている、という。
 私は、この問題で、政府の側に言い分がある、といっているわけではまったくないし、トランプ大統領が正しいといっているわけでもないが、そもそも「事実」がどこにあるのか分からないような問題において、「事実が明らかにならないから、政府は何かを隠蔽しようとしている」といってもこれまたフェイクになってしまうといいたいのだ。とすれば、この問題を過度に重視するメディアは政府を批判するためにフェイクに肩入れしていることになろう。
 われわれは、いま、こういう厄介な時代に生きている。事実を突きあわせて白黒判定するという時代ではない。東京都の市場移転問題にしても何が「事実」かなど確定できない。フェイクであろうとなかろうと、もっともらしく見せて大衆の支持を得、世論に影響を与えることができればよいという時代なのである。しかし、それこそが実は、民主政治の本質であることを知らなければならないだろう。(さえき けいし)


産経ニュース 2017.7.10 06:03更新
【加計学園問題】前川喜平前次官、参考人招致のポイントは? 「思い上がった文科省にメスを」と元官僚・八幡和郎氏
 「加計学園」問題をめぐる衆参の閉会中審査が10日、実施される。獣医学部新設にあたり「行政がゆがめられた」と主張する前川喜平前文科事務次官と、国家戦略特区を活用した獣医学部新設を評価する愛媛県前知事の加戸守行(かと・もりゆき)氏らの参考人招致が行われる。質疑のポイントは何か? 日本獣医師会の蔵内勇夫(いさお)会長らも招致すべきではないのか? 文科省を「霞が関の守旧派省庁」と喝破する、元通産官僚で評論家の八幡和郎氏が緊急寄稿した。(夕刊フジ)
 参考人招致で、前川氏は伝聞と密室でのやりとりを「真実だ」と印象操作するだろう。それをウソと証明することも不可能だ。偽証すれば刑事責任も問える証人喚問をしても、意味がない。
 それより、「週刊現代」(7月15日号)に掲載された、前川氏のインタビューに注目すべきだ。ジャーナリスト、田原総一朗氏の「戦いの真意は何ですか」との問いに、前川氏は次のように答えている。
 「文部科学省が官邸の世界からできるだけ離れられるようにすること。大学設置審議会における大学の設置審査は、政治的圧力から免れて、役所としてまっとうな審査をしてほしい」
 何と、思い上がった発言なのか。文科官僚の本性を示している。
 政治が無原則に行政を壟断(ろうだん)すべきではないが、どこに大学や学部をつくるかは、当然、政策的な意向も考慮すべきである。政治が枠組みだけつくって、後は役所にお任せではいけない。かつて日教組などが「教育は、三権(立法、行政、司法)と同じ、第四の権力だ」と言っていたが、前川氏の論理はそういうことなのだろう。
 文科省では、それぞれの分野のボスたちの意向・利益が優先されてきた。業界が「既得権が侵されない方がいい」となれば、52年も獣医学部をつくらせなかった。ボスらが「ポストを増やしたい」となれば、定員を満たせないほど新規の大学や学部が設置され、文科官僚は彼らを擁護する代償として天下り先を堂々と獲得してきた。
 まさに、文科省は「霞が関の守旧派省庁」であり、それが白日の下にさらされたのが、前川氏が引責辞任した昨年の組織的天下り問題なのだ。文科官僚は、この国の未来を構築することにこそ情熱を傾けてほしい。
 参考人招致では、この思い上がった「聖域の哲学」にメスを入れることが望まれる。
 民進党も政権時代には「政治主導」を唱えていたのだから、「岩盤規制の親玉」の味方をして政権を困らせ、一時の快感を味わうことだけで終わらないように願いたい。
 一部野党とメディアは「加計学園ありきだった」と批判しているが、今年4月開校予定で断念した、籠池泰典・森友学園前理事長の小学校は、最終決定を得られないまま「認可見込み」で工事中だった。教育分野では意思決定はなし崩しでされ、見切り発車にしないと間に合わないのだ。
 その意味で、「加計問題」の真実を明らかにするためには、前川氏と加戸氏らの参考人招致だけでは不十分だ。日本獣医師会の蔵内会長や、愛媛県今治市の菅良二市長、加計学園の加計孝太郎理事長らも一緒に招致すべきだと思う。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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[主権者が国民ならば国民が自らの手によって自身の生命財産を守らなければならない]佐伯啓思
「トランプ大統領登場を保守再興の福音に」 佐伯啓思 2016.07.23 
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『週刊新潮』が小室圭さん父親の自殺を報道:「平成皇室論」(1) --- 八幡 和郎 2017/5/26
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2 コメント

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腑に落ちなさすぎます。 (あやか)
2017-07-10 20:18:51
加計学園の問題、私にはさっぱりわかりません。
そもそも、何が根本的な問題なのか?総理大臣が獣医学部新設に関与したという根拠があるのか?かりにあったとしても、それのどこがいけないのか?----こういう問題に理路整然と説明できる人が、どれだけいるのでしょうか?
私には、全然わからないですね。はっきりいって、さわぎすぎだとおもいますね。
 それから、前文部科学次官の発言、たしかに傲慢だと思います。総理大臣や文部科学大臣は、御自分の上官でしょう。
そういう、常識的なことさえわかっていらっしゃらないですね。あなた、何様ですか?と、いいたくなります。
 それと、これは余談ですが、あの前川次官と、例の森友学園の籠池前理事長、何となく似ていませんか!?醸し出す雰囲気がそっくりだと思いますけど?。。。。。
 まあ、おふたりとも、今は、野党のみなさんの御注文どおりの発言をすることが、『ご飯のたね』になっていらっしゃるようですから当然ですね。
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あやかさま コメント、ありがとう。 (ゆうこ)
2017-07-10 21:42:30
 中身なんてないことは、前川も野党も、分かってるんですね。だけど、兎に角、安倍内閣を潰したいわけで。 ったく、気分が悪いっすよ。
 民主党政権誕生したとき、まるで日本中が「官僚主導はいけないから政治主導に」と小沢一郎氏みたいなことを言ったけど、文科省元トップを有り難がっちゃって、今じゃ、すっかり忘れたみたい。何の節義もないんだね。
>前川次官と、例の森友学園の籠池前理事長、何となく似ていませんか!?
 似てる、似てる。詐欺師。嘘つき。
 出会い系バー通いを暴露されて「女性の貧困の実地調査」と言った前川・・・。あ~あ、いやになっちゃう。
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