死刑情報公開に慎重=谷垣禎一法相に聞く-新閣僚インタビュー
時事通信2013/01/16-21:19
-国際結婚が破綻した場合の子の扱いを定めたハーグ条約加盟に対する考えは。
(昨年11月の衆院解散で)廃案になった時の(加盟承認案と関連法)案がそのままでいいのかは少し検討する必要がある。ハーグ条約みたいなものは前向きに考えていかなければいけないのではないか。
-人権侵害の予防や救済に人権委員会のような組織は必要か。
本来、人権保障の最後のとりではたぶん訴訟だ。裁判制度の前さばきとしてどういうものがいるのかは、広く考えればきりがないし、少しそこは論点を整理しないと(いけない)。
-裁判員制度をどう評価しているか。
「裁判員を経験した。初めは嫌だったが、いい勉強になった」と(知人からの)年賀状に書いてあった。問題点もないわけではないが、プラスの評価を生かしていくということではないか。
-強制起訴は検察の起訴と比べて、無罪率が高いとの声がある。
検察の感覚だけでなく、もう少し市民の感覚も入れようというのなら、もう少し見る必要がありはしないか。他にも起訴されたものがいくつかあるので、推移も見てみたい。
-死刑執行への姿勢は。
死刑は裁判所の判決だけでは足りず、最後は法相が命令する。それだけ慎重を期せということだろう。いろんなことを考えながら、法の下でやるべきことはやっていかなければいけない。
-民主党政権では死刑執行方法などについて検討してきたが。
法務省として特別に検討する場所を設けるということは、差し当たっては考えていない。
-死刑に関する情報公開を進める考えは。
死刑をしたということを発表しているのは、この数年だ。どんどん進めていけとなるかは、かなり慎重に考えなければいけない。
安倍内閣がかたずを呑む「谷垣法相で麻原死刑執行」の決断
NEWSポストセブン2013.01.18 07:00
いよいよ「Xデー」がやってくるのか。法曹界では、法務大臣に自民党前総裁・谷垣禎一氏をあてた安倍人事によって、麻原彰晃(57、松本智津夫)の死刑執行が近いと囁かれている。
法務省関係者が語る。
「戦後最大の惨劇“オウム事件”の首謀者の死刑ともなれば、決定者にはそれなりの重みが求められる。弁護士出身で総裁経験者の谷垣さんなら、その決定者に相応しい」
谷垣法相は昨年末の12月27日の閣僚会見で「国民感情、被害者感情などから見ても死刑制度を設けていることは相応の根拠があるものと思っている。その法の下で執務をしていきたい」と語り、死刑容認の考えを持つ。
さらに「法相は谷垣さん自らが望んだポスト」と大手紙政治部記者は明かす。
「総裁への返り咲きを狙う谷垣さんは、安倍内閣でも要職を望んでいた。ただし、リベラル派の谷垣さんは安倍首相とは政治スタンスが違う。その点、今のところ安倍改革の中心からはそれている法相はうってつけのポジション。麻原死刑を断行すれば政治家として歴史的決断をしたひとりということにもなる」
先進国の多くが死刑を廃止していることを踏まえ、民主党政権は死刑制度について国民的議論を進めようとした。執行ペースは減退し、昨年末時点で確定死刑囚は史上最多の133人。積極的な死刑執行は法務官僚の要請でもある。
さらには安倍内閣のこんな事情もある。
「現在はご祝儀相場で経済も上向き傾向。7月の参院選を見据えて慎重な政権運営に終始しています。ただし、このまま安全運転を続けていても支持率が徐々に下がっていくのは明らか。そんな中で麻原死刑は“決断する内閣”との印象を国民に与えることにもなる」(前出の記者)
※週刊ポスト2013年1月25日号
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〈来栖の独白 2013/01/18 Fri. 〉
>麻原彰晃(57、松本智津夫)の死刑執行が近い
あり得ないと考えるのが常識だろう。共犯全員の確定をみていない。
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◆ 平田信容疑者「震災で、おれ何をやっているんだろうと逃亡生活が情けなくなった。でも踏ん切りがつかず」 2012-01-04
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◆ 全国300万台超 カメラで監視「市民警察」によって逮捕された高橋克也容疑者/リアル共同幻想論 森達也 2012-08-02
◆ 高橋克也容疑者(地下鉄サリン事件)の画像公開 / 元法相ら、死刑執行停止の韓国視察 2012-06-06
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◆ 獄中の麻原彰晃に接見して/会ってすぐ詐病ではないと判りました/拘禁反応によって昏迷状態に陥っている 2011-11-30
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◆記者の目:死刑求刑事件=武本光政
毎日新聞 2013年01月17日 01時53分
山梨県都留市のキャンプ場で2003年10月に男性3人の遺体が見つかった事件で、このうち2人を殺害したとして殺人罪などに問われた元建設会社社長、阿佐吉広被告(63)の死刑が今月8日付で確定した。04年1月に甲府地裁で開かれた初公判から昨年12月11日の最高裁判決まで約9年。阿佐死刑囚が一貫して殺害への関与を否認する中、裁判所が一定程度慎重に審理を進めた姿勢はうかがえる。それでもなお、私は半世紀以上前に最高裁判事が死刑事件に臨む姿勢を説いた言葉を思い起こさずにはいられない。
◇執行されれば生命は戻せない
「再審の制度も賠償の制度も科学も権力も、一旦死刑に処した生命を生還させることはできないのである。そして人間のなす裁判には過誤なきを期し難い。それ故死刑を言い渡す事件においては、裁判官は可能な限度の慎重な審理を尽くすべきである」
1949年7月、旧国鉄三鷹駅構内で無人電車が脱線し、6人が死亡した三鷹事件。最高裁大法廷は55年6月、無罪を訴える元国鉄職員を死刑とした高裁判決を支持したが、小谷勝重裁判官はこれに反対し、審理不尽を理由に高裁に差し戻すよう訴えた。裁判官の全員一致が不文律とされる死刑判決で、反対意見が付くのは極めて異例だ。近年、足利事件や布川事件、東電女性社員殺害事件といった重大事件で再審無罪が相次ぐ中、「究極の刑罰」の当否を問う裁判の在り方を考えたい。
阿佐死刑囚は00年5月、反抗的な態度を取ったとして作業員2人の首を絞めて殺害したと認定された。被害者の体を押さえるなどしたとして、いずれも死刑囚の会社の部下だった元暴力団組長(02年に病死)と元受刑者の男性(56)=懲役9年確定、仮釈放中=が共犯に問われた。これに対し、死刑囚は「殺害現場のキャンプ場には行っていない」と主張。だが、元受刑者▽被害者を車で現場に連れて行った元部下の男性2人(逮捕監禁罪で執行猶予付き有罪確定)▽キャンプ場元管理人の男性(69)−−の4人が1審で「キャンプ場に来た」と証言し、地裁は極刑を言い渡す。
◇有罪根拠の証言2審以降に変更
ところが、2審段階で元管理人が「本当は現場で死刑囚と会っていない。検察側に『会ったことにしてくれ』と言われた」と弁護側に説明し、その調書が東京高裁に提出された。11年12月には、殺害の状況を最も詳細に語っていた元受刑者も「現場に来ていなかった」とする陳述書を最高裁に出した。
結論として裁判所は「新供述」の信用性を認めず、弁護側の控訴・上告を棄却した。書面より、うそをつけば偽証罪が適用される法廷での証言を重視したのだろう。確かに、元受刑者の新供述には不可解な点がある。検察側が昨年3月に刑務所で事情聴取した際、元受刑者は「警察官や検察官、裁判官に正直に話してきた」との供述調書に署名。一方で昨年7月、弁護側に「キャンプ場で見た事実はない。間違った証言で死刑が確定するのはあってはならないとの思いが大きくなった」との陳述書も送っている。
私は、刑務所での面会などを通じ、元受刑者には、性格的に相手の話に合わせてしまいやすい一面があるのではないかという印象を抱いた。だからこそ、供述・証言を誘導されたことがなかったか、「密室」ではなく、法廷で裁判官がもう一度確認する選択もあったのではないかと思う。
刑務所内での言動には当然制約もある。面会室のアクリル板越しに、刑務官を気にして言葉を選んでいた彼の姿を今も覚えている。弁護側との面会でも同様だったという。私への手紙に「(事件についての)話をしたら面会を短縮されるのではないかと思った」とつづったこともある。付け加えると、検察側は面会室とは別の部屋で刑務官の立ち会いなく事情聴取する。
昨年12月20日に開かれた国連総会で、死刑を存続する国に執行の停止を求める決議が採択された。07年以降4回目で、賛成は過去最多の111カ国。「誤審で執行されれば取り返しがつかない」と決議は指摘した。反対した41カ国の中で先進国は日米両国だけだ。ただ、米国では00年代以降、州政府が殺人事件における取り調べの全面可視化を法制化したり、無罪を訴える死刑囚らにDNAの再鑑定を受ける権利を保障する法律を制定したりして誤判防止に向けた取り組みを進めたという。
日本が国際的な流れから距離を置き、あくまで死刑制度を存続させるのであれば、まずは、「可能な限度の慎重な審理」を確保するための仕組み作りを急ぐべきだ。
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逆転判決なるか? 山梨キャンプ場殺害事件異例の結審後の弁論
週刊実話 2012年06月12日19時00分
山梨県都留市のキャンプ場で2人を殺害、1人を死亡させたとして、殺人や傷害致死などの罪に問われている元建設会社社長・阿佐吉広被告(63)。一、二審ともに死刑となり、最高裁での上告審も昨年12月に結審。死刑確定か…と思いきや、驚くべき番狂わせが起こった。一度行われた弁論を、最高裁が10月に再開する決定を下したのである。
「昨年12月の上告審弁論直前、被告の共犯とされる男性受刑者が仰天の新証言をしたのが、その理由です」(司法記者)
そもそも、山梨キャンプ場殺人事件とはどんなものだったのか。
「これまでの判決によれば、阿佐被告は都内や大阪などから浮浪者を集めて寮に住まわせ、工事現場等に派遣する仕事を行っていました。そして'00年、建設会社に派遣されていた男性3人が当て逃げ事件を起こしたことが阿佐被告の知るところとなり、元従業員らとともに事務所で暴力をふるい制裁を加え、キャンプ場に監禁して絞殺。また'97年には、寮でナイフを持ち暴れるなどの騒ぎを起こした労働者を、木刀で殴り死亡させたとされています」(社会部記者)
一審の甲府地裁で阿佐被告は、'00年のキャンプ場での殺人について「殺害したのは知人の元暴力団組長だった」と無罪を主張。阿佐被告の長女も「母の日の贈り物を買いに行くために一緒にいた」と事件当日のアリバイを証言したが、死刑判決が下された。
二審の東京高裁でも、阿佐被告は殺人について無罪を主張。また事件時、「殺害直前、阿佐被告をキャンプ場で見た」と述べていた当時のキャンプ場管理人が、これについて「ウソだった。検事から言わされた」と供述を一転。しかし一審同様、死刑となっていた。
「二審の判決時には阿佐被告が『ウソばっかりじゃないか!』などと怒鳴ったため退廷させられ、被告不在のまま判決が言い渡されていました。そして最高裁では、共犯の男性受刑者が『被告は現場にいなかった』と、新証言を出してきたのです」(前出・司法記者)
二審が死刑の場合、最高裁は弁論を一度開き、次は判決、という流れが一般的で、二度も弁論を開くのは異例のこと。果たして殺人罪が無罪へと転じる事になるか?
朝日新聞デジタル
3人殺害した死刑囚が病死 拘置所で容体急変 法務省
2020年2月11日 20時53分
山梨県都留市のキャンプ場で2003年に3人の遺体が見つかった事件で、殺人罪などで死刑が確定した元建設会社社長の阿佐吉広死刑囚(70)が病死した。法務省が11日発表した。
同省などによると、阿佐死刑囚は今年1月14日に「呼吸が苦しい」と申告。東京拘置所内の医療設備のある個室で間質性肺炎の治療を受けていたが、11日午前7時10分すぎに容体が急変し、同8時半に死亡が確認された。
確定判決によると、阿佐死刑囚は1997年、自分の会社の男性作業員を木刀で殴り死亡させた。00年には当時51歳と50歳の男性作業員計2人を山梨県のキャンプ場で絞殺するなどした。12年の最高裁判決で死刑が確定した。
◎上記事は[朝日新聞デジタル]からの転載・引用です
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◆ 【強制起訴】相次ぐ無罪に揺らぐ存在意義/裁判なければ首相になっていた小沢氏/本日 安倍晋三氏 首相に 2012-12-26
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