「死刑の執行を当日まで告知しないのは違憲」…弁論 大阪地裁 2022/10/21

2022-10-22 | 死刑/重刑/生命犯

死刑執行2日前「姉さん、もう泣かんで」67年前の音声…原告「当日告知は違憲」と主張
 2022/10/22 10:15 読売新聞オンライ

 死刑の執行を当日まで告知しないのは憲法に違反するとして、死刑囚2人が国を相手取り、執行に従う義務がないことの確認などを求めた訴訟の弁論が21日、大阪地裁であった。原告側は1955年に2日前の告知から執行されるまでの死刑囚の肉声が録音された音声データを証拠提出した。

 刑事訴訟法は死刑の執行は確定から6か月以内と定めているが、告知時期の規定はない。
 訴状などによると、70年代頃までは前日までに告知されていたが、死刑囚が自殺を図ったケースもあり、「心情の安定を著しく害する」として運用を変更。現在は執行の1~2時間前に告知されている。
 原告側は当日の告知は弁護士への連絡や裁判所に対する不服申し立てができず、適正な手続きがなければ刑罰を科せないと定めた憲法31条に反すると主張。国側は死刑囚が事前告知を求める法的権利はないとして請求を退けるよう求めている。

 音声データは、49~55年に大阪拘置所長を務めた玉井策郎さん(81年に死去)が死刑囚(30歳代)の執行までの3日間を記録した。約1時間40分に編集され、死刑囚と姉との面会や所内での送別行事、執行の場面が収められている。玉井さんの孫が原告弁護団に提供した。弁護団は「事前告知で刑を受け入れる時間ができると示したい」とする。
 龍谷大の石塚伸一教授(刑事法)は「執行までどう過ごすかの自己決定権は保障されるべきだ。告知時期の意向を本人に確認する制度の検討が必要だ」とする。犯罪被害者支援に取り組む奥村昌裕弁護士(大阪弁護士会)は「被害者は大切な人と会えずに突然命を奪われる。一律の事前告知はすべきでない。ただし、死刑囚が被害者遺族に謝罪を伝える機会になるのであれば意味がある」と話す。

姉と面会 別れ告げる
 音声データは1955年2月9日、玉井さんが死刑囚に「執行命令がくる。できる限りのことはする」と伝える場面から始まる。
 死刑囚は9、10両日に姉と面会。死刑囚が自分の子どものことを案じたり、「立派に逝けると思います。姉さん、もう泣かんで、笑って別れましょう」と別れを告げたりしていた。
 執行当日の11日、死刑囚は職員に「あんな悪いことせんかったらよかった。今になって思うんです」と話し、刑場では僧侶の読経が響く中、絞首刑が執行される様子が収められている。
 玉井さんの孫は「死刑制度のあり方を考える資料にしてほしい」と話す。

 ◎上記事は[読売新聞オンライ]からの転載・引用です。  画像、略(=来栖)


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