ペットロス症候群に似た“あまちゃんロス(あまロス)症候群”が心配…“疑似家族”失い視聴者の心に穴

2013-09-28 | メディア/ジャーナリズム/インターネット

【産経抄】9月28日
 産経新聞2013.9.28 03:10
 「あまロス」なる言葉がはやっているという。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の放送終了による喪失感をいうそうだが、夜勤明けでも録画では満足いかず、毎朝見ていた抄子も来週から朝起きる自信がない。▼脚本を書いた宮藤官九郎さんは、なかなかの才人で、ほとんどはずれがない。ヤクザが落語家に入門する「タイガー&ドラゴン」、夏目漱石が現代の主婦に乗り移る「吾輩は主婦である」などは何度見ても面白い。▼「分かるやつだけ分かればいい」という小ネタ満載なのも「クドカン」ファンにはたまらないが、これほどの人気になるとは思いもよらなかった。東日本大震災を背景にしながらじめじめとせず、東京で生まれ育ったアキちゃんを主役に「家族と地元愛」をうたいあげたのが、視聴者の琴線に触れたのかもしれない。▼ドラマの舞台になった「北三陸市」は架空の市だが、ロケ地となった岩手県久慈市から南へ200キロ以上下ったところに実在の南三陸町(宮城県)がある。観光客が激増した久慈と対照的に、こちらは防災庁舎の取り壊しが論議を呼んでいる。▼津波が襲う直前まで避難を呼びかけた女性職員らが犠牲になり、今でも祈りの場になっているが、撤去が決まった。「震災の記憶を残すべきだ」「見るたびにつらくなる」といった町を二分する論争の末、町長が決断したという。▼早く震災を忘れたい、という被災者の気持ちはよくわかる。ただ、死者6400人超を数えた阪神大震災は、遺構と呼べるモノはほとんど残っておらず、発生から20年を経ずして風化がはなはだしい。「あまロス」はすぐ治るだろうが、「あれを残していれば…」という「震災遺構ロス」は、悔いを千載に残しかねない。
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深刻な「あまちゃんロス症候群」懸念…“疑似家族”失い視聴者の心に穴
 zakzak 2013.09.28
 NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」が28日、ついに最終回を迎えた。毎日楽しみにしてきた視聴者の喪失感は計り知れず、ペットロスならぬ「あまちゃんロス症候群」に陥る人が続出するとの懸念も広まる。「たかがドラマで」とあなどってはいけない。置かれた環境によっては情緒不安定、無気力、不眠などの症状が出る危険もあるだけに注意が必要だ。
 軽快なテーマ曲、主人公を取り巻く「北三陸」の温かいファミリー…。心がホンワカする幸せな日々とも今日でサヨナラだ。
 最終回の舞台は、架空の街・北三陸市の2012年7月1日。能年玲奈演じる主人公アキたち海女が素潜りする海にはウニが戻り、被災した北三陸鉄道リアス線の一部区間が復旧。アキと親友のユイ(橋本愛)の地元アイドル2人は、お座敷列車で「潮騒のメモリー」を歌った。
 「明日も明後日も来年もある。来年はこっから先にも行けるんだ」
 アキの最後のセリフは、そのまま被災地の人々を励ます言葉となり、おなじみのテーマ曲が流れて国民的ドラマはフィナーレを迎えた。
 4月の放送開始以降、「あまちゃん」を見るのが日課になっていた30代の独身男性が語る。
 「今まで夕食をとりながら録画したものを見る毎日でした。だから、これから夕食の時にふと現実に気付くのでしょうね、きっと…」
 ドラマの登場人物は主人公の世代だけでなく、親や祖父母の代と、各年齢層とも厚かった。そのため、ファン層も3世代にまたがっているという。「家庭内でどの世代も見ていたので、会話のよいきっかけになった」(50代の会社員)との声もある。
 それだけに、会話のきっかけを失ってしまう全国の家族がこれからどうなるのか、心配だ。
 インターネット上などでは、ペットロス症候群に似た「あまちゃんロス」の発症が放送終了後に続出するという説が流れている。ペットロスは飼っていた犬や猫との死別、あるいは行方不明になることで精神的ショックを受け、情緒不安定や無気力、不眠といった鬱病につながる状態に陥るものだ。
 果たして、テレビドラマの終了が体調を悪化させることはあり得るのか。精神科医の山野美容芸術短大・岡田奈緒子准教授(メンタルヘルス)は、「あまちゃん」が持つ特異性に着目。喪失感が体調不良を引き起こす危険性を指摘する。
 「映画では寅さんの『男はつらいよ』、テレビドラマでは『渡る世間は鬼ばかり』のように、ある家族のドキュメンタリーのように感じてしまう作品があります。登場人物が親しみやすいため、自分もその一員になったように錯覚するのです。“疑似家族”といえるでしょう。特に『あまちゃん』は毎日のように放送され、生活の一部に溶け込んでいましたから、その傾向は強いと思います。例えば独居の方が『大切な家族を失ってしまった』と感じ、ひどく落ち込むケースも考えられます」
 NHK連ドラではここ数年、2011年度下半期の「カーネーション」、12年度上半期の「梅ちゃん先生」などが好評だった。しかし、放送終了による喪失感は問題視されなかっただけに、「あまちゃん」の圧倒的な人気が際立つ。
 週明けにはいよいよ、「あまちゃん」のない日常に直面する。心の隙間はどのように埋めたらよいのか。無理に忘れようとするのは、かえってよくないという。
 「ペットロスには、死んでしまったペットの写真や映像をあえて見るようにして、悲しみを無理に抑えないようにする対処法があります。『曝露(ばくろ)療法』と呼ばれるものの一種です。同じように、『あまちゃん』でも録画したDVDがあれば、繰り返し見るのも1つの方法。ファン同士で思い出を語り合うのもよいでしょう」(岡田氏)
 それでも気持ちが上向かない場合は、どうすればよいのか。
 「ペットの死だけでなく、家族の死、失恋などは、その後1カ月の間に気分が落ち着くもの。1カ月過ぎても沈んだままなら、心療内科などの受診を考えてみていいかもしれません。11月になっても『おかしいな』と感じるようなら、お医者さんに相談してみてはいかがでしょうか」(同)
 ペットロスでは1カ月以上、不調が続くようなら受診を検討した方がよいとされる。医学の助けが必要なほど「あまちゃんロス症候群」が深刻化するか否か。その答えは11月に分かりそうだ。
*上記事の著作権は[zakzak]に帰属します
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