《橋下現象を読む》御厨貴・東大名誉教授×鹿島茂・明治大教授/風だけで勝てるのか 悩む維新塾生

2012-09-21 | 政治

特集ワイド:橋下現象を読む/御厨貴・東大名誉教授/鹿島茂・明治大教授
毎日新聞 2012年09月18日~2012年09月20日 東京夕刊
 「日本全国で大戦(おおいくさ)が始まる」とぶち上げ、国政政党「日本維新の会」が結成された。代表に就く橋下徹・大阪市長は、なぜ支持を集めているのか。次回総選挙に与える影響は? 政治学者の御厨貴・東大名誉教授とフランス文学者の鹿島茂・明治大教授が対談した。【まとめ・小国綾子、写真・須賀川理】
−−日本維新の会の結党宣言をどう感じましたか。
鹿島 橋下さん一人が実にうれしそうでしたね。
御厨 「大きく見せようとつんのめる橋下さん、その勢いやよし。小さく見えてしまうのに突っ張りもしない離党してきた7議員、その心情や哀れなり」というところでしょうか。この党は、チグハグのまま強引に国民を引きずっていくのでしょう。
鹿島 そうですね。橋下さんは自分が熱狂し、人々を熱狂させることに最大の価値を置く政治家。総選挙に本当に候補者350人を立てられるかなど、二の次なんでしょう。
御厨 7議員について「あんなに情けない顔ぶれでは……」という声もあるが、情けない方が橋下さんには都合が良い。主役は自分です。
−−橋下さんの政治スタイルは独特に見えます。
御厨 彼は「テレビの申し子」です。テレビ番組で、どのタイミングでどう発言すれば視聴者にウケるのかを徹底的に学んだ。この点が普通の政治家とは違う。
 だから、どんな矛盾する発言をしても、女性スキャンダルが暴かれても、本人は軽く乗り越えていく。周囲も笑って済ませてしまう。新しい敵を次々想定し、相手に議論を仕掛け、敵と戦う過程を人々に見せて楽しませる。バラエティー番組の感覚なんです。
鹿島 政治家には何パターンかあって、人を意のままに動かすことに快楽を見いだすのが小沢一郎さんタイプ。菅直人前首相は「ドーダ」型。「ドーダ、俺はすごいだろ」と言うために権力行使する。自己愛型です。橋下さんはどちらにも当てはまらない。あえていうなら「熱狂情念型」かな。
御厨 分かる分かる。
鹿島 ある困難な状況を作り出し、それを創意と工夫で切り抜けることのみに快楽を求める。「状況」はどんなものでも構わない。哲学者パスカルは「人生はすべて気晴らしだ」と言いましたが、橋下さんにとって政治は「気晴らし」。作り出した「窮地」を乗り越え、敵を見つけてやっつける。ゲーム感覚です。
 御厨 彼は個別の政策に何の思い入れもなさそうだ。
鹿島 そう。「何をするか」ではなく「何かになること」が目的化している。府知事になってもすぐ飽きる。市長になれば今度は国政だ。たとえ首相になれても何をやるでもないでしょう。首相になれればそれで良い人だから。
−−有権者の支持を集めるのが実に上手です。
御厨 敵を作るのがうまいんだね。市長の職域を軽く乗り越え、国に対して地方分権を訴え、国政をからかうそぶりを見せる。有権者が喝采することを承知の上で、国を「敵」に仕立てている。
 初期の「維新八策」はどれもスローガン。憲法を改正しなければ実現しないことが多い。政策とは実現可能なもので、ああいうのは本来、政策とは呼びません。参議院をなくすとか首相公選制とか、何となく実現できたら良さそうなものを掲げているから、逆に批判を浴びにくい。
鹿島 有権者の生活に直接影響しないところに争点を作るのがうまい。ゴミの収集回数を減らすなんて話には皆が反対するが、文楽への補助金削減は多くの市民にはどうでもいい話。そういう分野で人気を集めるのが実にたくみだ。
御厨 橋下さんの公務員や組合たたきに対しても、自分より得してきた人たちがいじめられているのは愉快、という感情が庶民の中にはあるのでしょう。
鹿島 民衆の極めて“健全”な考えを上手にすくっているわけですね。無駄な物に金を使ってけしからん、と。これ、床屋政談のレベルです。「お客さん、あたしゃあいつら、許せねえ」と。
御厨 橋下さんが敵に選ぶのは少数派。かつて革新政党が取った戦略の逆です。革新政党は支持基盤を固めるために少数派に補助金をばらまいた。多数派だと金がかかり過ぎるからです。橋下さんは逆で、少数派を敵に祭り上げ、多数派を喜ばせる。
 いじめ感覚ですよ。少数派に「既得権」とレッテルを貼り、それをたたくのが「正義」という。もっともいじめっ子にいじめている自覚がないのと同じで、橋下さんにも自覚はないでしょう。彼はいじめ対策にはむしろ熱心なわけだから。民衆の快感は、いじめを傍観して愉快だと感じるのに似ています。
鹿島 政治家で一番ダメなのが倫理観に訴え「正義」を名乗るタイプ。次がイメージに頼るタイプです。橋下さんは実は両方を兼ね備えている。
御厨 そもそも国政政党の党首が国会議員を目指さないという状況は、日本国憲法の想定外。自民党の総裁選候補者と話したが、誰もが「おかしいと思う。でも彼を敵に回したら……」。橋下さんは国会議員の弱腰を読んでいる。小泉純一郎元首相の「小泉劇場」より毒が強く、バージョンアップしたのが「橋下劇場」です。
−−「維新」がもたらすメリットはありそうですか。
 鹿島 歴史を振り返る限り、革命や維新でシステムが壊れて最も損をするのは貧しい民衆。これは万古不易の真理です。しかしそれに民衆が気付かない、というのもまた、普遍的真理です。よく「おきゅうを据える」といいますが、おきゅう1本ならともかく、システムが壊れたら全身ヤケドです。なぜか有権者は損する方に投票してしまう。小泉さんの時も村の郵便局がなくなるかもしれないのに投票した。
御厨 橋下さんが巧妙なのは、民主、自民、その他の政党を全部「既成政党」と切って捨てたこと。一まとめにされた方はぐうの音も出ない。
 ただ、今の状況は異常です。小泉さんは自民党を壊すと言って、結果的には党を延命させた。有権者の期待した政権交代の受け皿となった民主党には10年の歴史がありました。ところが今回の「日本維新の会」は結成前の影も形もない頃から、国民の6〜7割が「期待する」と答えた。
鹿島 この国の教育の欠如の表れでしょう。教育の根本は、自分にとって何が得かを長期的視野でしっかり考えられる能力を育てること。最も正しい投票姿勢は、正しく理解された自己利益の追求です。橋下さんがこの国で支持を集めていること自体、日本の教育の貧しさの証明じゃないでしょうか。
−−橋下市長の支持層についてどう考えますか。
鹿島 案外年配者ではないか、と思います。
御厨 僕もそう思います。
鹿島 日本には、保守を支えてきた層、つまり保守による利益享受層がいなくなってしまった。従来、既存のシステム下で仕事も暮らしも右肩上がりになる人々が保守政党を支えてきた。しかし今は全体が右肩下がり。結果、中高年の保守層全体に政治へのいらだちが広がっている。
 中高年層にとって一番良いのは年金を増やし、税金を減らしてくれる政治です。かつては民主党がそう主張したが、結局自民党と同じか、さらに後退した。中高年層はもはや自民、民主のどちらに投票してよいのかわからない。どっちもダメなら、というのが橋下支持層でしょう。
−−中京大の松谷満・准教授が昨年の大阪市長・府知事ダブル選後に行った調査では、橋下さんを「強く支持」しているのは60代が最も多い。自分の社会階層を「上」「中の上」と答えた人も、「中の下」「下」の人より支持が強く出ています。
御厨 逃げ切り世代ですね。世の中が悪くなっても、自分たちは今の制度に守られていこうと考えている。だから制度をいじられては困る。制度が変われば年金が減ると分かっているから。
 彼らは自民と民主の政策的な差異はあまりないと気付いており、「連中が大連立? 冗談じゃない。橋下さんでいいよ」と考えている。実は、橋下さんの政策が本当に中高年に優しいかどうかは疑問なわけですがね。
−−衆院比例代表でどの政党に投票するか、という新聞社などの世論調査で、自民が25%前後、民主が15%前後。日本維新の会が民主を上回っているところもあります。
鹿島 民主は意外と頑張るのではないか。政権に就いた3年間で、それなりに保守勢力として成長した。特に地方レベルでは自民党の保守基盤を食い荒らしています。
御厨 面白いのは官僚の反応です。政権交代当初は、早く自民に戻りたいと思っていた。ところが、民主党議員も勉強すれば普通にやれると評価が変わってきている。「俺の選挙区に」というイメージが強い自民党の政治家より民主党の政治家の方が御しやすいと思っている官僚は、今となっては多いでしょう。
−−民主がダメならやっぱり自民、とはなりませんか。
御厨 そこが自民党の大きな誤解です。「民主は経験不足でこの体たらく。次は経験豊富な自民に票が戻る」と信じている。しかし自民支持者で前回民主に投票した人は自民に飽き飽きしたから乗り換えた。民主もダメとなっても、自民には戻らないで他の党を探す。あるいは民主に再び投じるのかも。
鹿島 その点、野田佳彦首相が代表に再選されれば民主としては正解でしょう。保守・民主党の看板としては何となく安心できる。
 野田さんは女性にも結構人気があります。喜怒哀楽の出ないあの表情の変わらなさ。鳩山由紀夫さん、菅直人さんに懲りた女性にしてみれば「やっぱりうちのお父さんみたいな人のほうがいいわ」と。
 女性票はカギを握ると思います。そして女性はやっぱり、自民党のオヤジ政治が嫌いですね。
御厨 自民党総裁選で候補者が乱立しても、女性がいないのは象徴的。しかも候補者は自民党の特徴を体現した人物ばかり。町村信孝元官房長官は最大派閥の領袖(りょうしゅう)で派閥政治の象徴です。石原伸晃幹事長は森喜朗さんや古賀誠さんら長老の受けが良い。しかも最大の長老は父親の慎太郎さんです。
−−橋下さんに弱点はあるのでしょうか。
鹿島 最大のネックは、知事や市長、首相という立場にならないと、野党党首の立場では、彼のキャラクターもパフォーマンスも生きない点ではないでしょうか。彼は「キャスチングボートを握る第3党の党首」という立場にも我慢できないでしょう。しかし日本は議会制民主主義で大統領制ではない。350人もの候補者を全国に立てるのは大変でしょう。
御厨 そういうこと。つまり日本維新の会が第1党になることも、橋下さんが首相になることもありえない。唯一首相になるとすれば、政権内部の連中が「総理になってくれ」と橋下さんに政権を差し出すシナリオですが、これも現実にはありえない。
鹿島 フランスのドゴール元大統領のケースですね。第4共和制末期、フランスがアルジェリア問題で大混乱した時、議員でもなかった彼は、周囲に請われ首相となって、第5共和制をつくった。あれは国家的危機だから実現したこと。日本ではありえないでしょう。
御厨 連立政権に入るのも良いとは言えない。政権に入ればがんじがらめにされるでしょう。「首相公選は公約から下ろせ」「参院をなくすなんてとんでもない」などと妥協を迫られ、結局何もできず、批判されるしかない。
 そう考えると、橋下さんが党首にはなるが、国会議員にはならない、という選択をしたのは、かなりクレバーかもしれません。
鹿島 それは言えますね。
−−国政で、第3党となった場合、橋下さんに何ができるのでしょうか。
御厨 うーん。憲法改正は無理でしょうから、基本的に「変える」コールを言い続けるだけなのでは。公明党のように自民党の補完勢力には、そもそもなれないでしょう。橋下さんが政治家としてどんな人生設計を描いているのか、不思議なところです。もっとも彼自身もそこまで考えていないのではないですかね。
鹿島 そうそう。パスカルじゃないけれど、橋下さんにとって政治は「気晴らし」のはずですから。
−−橋下さんは「自分は民意で選ばれた」という言葉を武器のようにして、役人や学者からの批判をかわします。橋下さんは民意をつかんでいるのでしょうか。
御厨 確かに、橋下さんは民意を常に意識しています。民意にギリギリ反しない範囲で、自分なりの政策を繰り出してくる。だからこそ有権者は喝采するのです。「政治はつまんないけど、アイツだけは面白いじゃん」と。
鹿島 民意をつかむ、と言っても……。偉大な政治家とは、自分の支持基盤を裏切ってでも、国家の将来のために政治を行う人物です。1958年、フランスの植民地だったアルジェリアへの入植者と駐留仏軍が、本国に侵攻しようとした。その時ドゴールは、入植者からの高い支持を背景に首相になりましたが、最後は彼らを説得し、アルジェリアを放棄させ、独立させた。それこそが政治家の仕事でしょう?
 支持者を喜ばせ、言うなりに動くのはただの三流政治家です。ドゴールも、支持者だった入植者を裏切ることへの負い目や心の痛みを感じたはずです。それでも「君たちにはここで泣いてもらうけれど、フランスの将来のためだから」と説得した。だからこそ、今なお偉大な政治家と言われているんですよ。
御厨 まさにそうですね。
鹿島 僕の目には、橋下さんには支持者へのしがらみもなければ、「ふわっとした民意」を時に裏切るとか、説得するとか、そういう発想自体がないように見える。
 ところで今の日本の国難といえば、エネルギー政策、つまり原発問題だと思うんですけど……。
御厨 橋下さんは、原発問題に関してはかなり慎重です。普段の政治姿勢と比べると珍しく見えるほどです。大飯原発再稼働問題で、反対から容認に転じた時にも、彼はなぜか許された。推進派と反対派の両方とうまく関係を持ってきたからです。
−−橋下さんは「2030年までに原発ゼロ」と掲げています。
御厨 しかし、即時ゼロなのか再稼働やむなしなのかについては議論の余地を残している。様子見をしているのだと思う。民意の動きと、国の動きを。橋下さんは真面目な議論になればなるほど、議論を避ける印象があります。いつも好き放題言っているようで、要点は押さえている。彼のうまいところです。
−−政局の混迷はいつまで続くのでしょうか。
御厨 民主党にしろ、自民党にしろ、1年先に自分の政党がどうなっているか分からない状況です。「みんなの党」や「国民の生活が第一」などという幅や奥行きのない名前では、「10年続くと思ってません」と公言しているようなものです。
 政治の混迷は結局、国民に危機感がないから起こるのです。有権者は自分の1票で政治が変わるという実感を持てないから、投票所でつい、いたずら心で投票してしまう。
鹿島 何だかんだ言っても日本は裕福な国です。ドゴール元大統領は国家存続の危機に登場した。そういう状況と今の日本はやはり違いますから。
御厨 この国が本当に危うくなってきたら、有権者のほうも投票行動を変えるんだろうけれど。まだ「橋下現象」を楽しむ余裕がある、ということかもしれません。
−−危機感がないといっても、日本は危機的状況にあるのではないでしょうか。
鹿島 確かに人口の減少問題は待ったなし、この国の抱える最大の危機でしょう。日本経済がずっと右肩上がりで来られたのは、1900年以来、人口が増え続けてきたからです。減少に転じた人口はよほどの社会革命が起こらない限り戻りません。女性が将来、18歳で結婚し、3人の子供を産む時代が来るとは思えないでしょう?
 今の出生率のままであれば、子の世代の人口は親世代の約2分の1になってしまう。つまり、ひ孫の世代には約8分の1にまで減ってしまうわけです。
御厨 その点、橋下さんは立派ですよ。子供が7人もいるわけですから。人口縮小社会の到来は、すでに誰もが覚悟せざるをえない。ただ、政治家は社会の変化に合わせて言動を変えられない。例えば自分の選挙区で「この町は年寄りばかりで、若者はいなくなる」とは言えない。
 被災地復興もそうです。人口減少する前の、各世代がそろっていた時代をモデルに復興の青写真を描くのは大変です。しかし「今後はもう、人口は減るのだからインフラや公共施設は造りません。隣町に行ってください」とは言えないでしょう? 国も言えない。被災自治体も言えない。
鹿島 そうなんです。未来を明るい社会にします、と言うからこそ、政治家は選挙に通るわけです。だから選挙のたび、厳しい現実に目をつぶり、明るい、新しい未来の話をする政党や候補者が日替わりメニューのように現れる。
 日本の政治モデルや官僚モデルは人口増加社会を前提につくられている。これまでの政治家はいかに地元に金を落とすか、という箱物行政をやってきました。しかし、人口が減ってしまった町では箱物の意味もありません。
御厨 この国の民主主義は行き着くところまで行き着いてしまった。国のどこにいても、同じように利便性が確保され、どこにいても同じような快適なサービスが受けられる、という精神が行き渡ってしまい、そうでなければ不公平だ!という声が上がる。でも、このままではダメだと、誰かが言い出さなければいけない時期に来ているのは間違いないでしょう。
−−「ふわっとした民意」に反するようなことを橋下さんは言えるでしょうか。
鹿島 それこそが政治の基本なんだけど。僕はきっと彼はそれをしないと思います。橋下さんのような熱狂情念型政治家には過去も未来もないんですから。
御厨 僕も言わないと思います。ただ、「ふわっとした民意」を橋下流に読みかえる可能性はあります。それは単なる「誤解」かもしれません。でも意外と政治はそこから動き出したりするものです。
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<次期衆院選>風だけで勝てるのか 悩む維新塾生
毎日新聞 9月20日(木)15時40分配信
 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会が主宰する「維新政治塾」の塾生から、次期衆院選への出馬を思い悩む声が出ている。約890人の塾生は、衆院選で350~400人規模の擁立を目指す新党「日本維新の会」の有力な候補者予備軍。しかし、1000万~2000万円と言われる選挙資金は自前で、選挙区も出身地と関係ない「落下傘」が原則だからだ。「国の統治機構改革に挑みたい」と志を持つ人は多いが、「維新の『風』だけで勝てるのか」と不安の声も漏れる。
 日本維新の会は今月13日から衆院選候補の1次公募を始めた。対象は塾生と首長・議員・公務員経験者で、締め切りは28日。選考委員会で審査し、10月中にも1次公認候補が決まる。30代の男性塾生は「全国どこからでも出る覚悟はしていた。資金は知人や身内を中心に集めたい」と応募の決意を固めている。
 面接時に選挙資金の有無などを問われたため、塾生の多くは当初から衆院選出馬を念頭に置いてきた。しかし、いざ公募の段階になるとためらう塾生も少なくない。
 化粧品メーカーで開発を担当する50代男性塾生は、新党の綱領となる「維新八策」に全面的に賛成で、応募を検討中だが、選挙資金を理由に態度を決めかねている。立候補時の供託金(小選挙区で300万円、比例代表との重複で更に300万円)は用意できそうだが、選挙事務所の賃料などで選挙資金は1000万~2000万円必要と聞き、踏ん切りがつかない。「当選確率がどれだけあるのか。家族もいるし……」と言葉を濁した。
 選挙区の問題もネックだ。維新は政策本位の選挙戦をアピールするため、出身地に関係なく新人候補を擁立する構えだが、「知り合いがいる地元から出たい」と希望する声が少なくない。九州在住の男性塾生は、都会との温度差を強調し、「大阪や東京なら票が入るかもしれないが、地方で落下傘はあり得ない」とこぼす。
 また、一部の塾生は、維新から情報が入らないことに不満をのぞかせる。30代の男性塾生は「候補者公募を知ったのもマスコミ報道。塾生同士のフェイスブックでの情報交換で、何とか対応している」と明かす。20代の女性塾生も「『内部ではもう候補者を決めているんじゃないか』と思っている塾生が多い」と、疑心暗鬼になっている維新塾の内部事情を明かした。
 維新の組織作りに懸念を示す声もある。地方議員を務める塾生は「国政に出ることだけが政治活動じゃない。並行して地方支部を作らないといけないのに、国会議員の受け入れに一生懸命になっていたのは腑(ふ)に落ちない」と首をひねった。【小林慎、川口裕之、重石岳史】
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関西発>ニュース
維新 企業献金禁止…新党規約に明記方針
 近く結成される新党「日本維新の会」代表に就く橋下徹大阪市長は19日夜、新党の規約に、企業・団体献金の禁止を明記する方針を明らかにした。
 市役所で記者団の質問に答えた。橋下氏は「政治はこれから個人献金を中心にやっていくべきだ。(政治資金規正法では)政党支部をつくれば献金を受けられるが、全部禁止していく」と語り、政党支部への企業・団体献金も含めて禁止する考えを示した。
 橋下氏はこれまで、次期衆院選の資金として企業・団体献金の受け入れを検討する意向を示していたが、新党幹事長に就く松井一郎大阪府知事ら幹部と協議し、既成政党との差別化を図るため、禁止を決めた。
 ただ、「現段階ではパーティーと献金は区別したい」と述べ、党や党所属の国会議員が政治資金パーティー券を企業・団体に売ることは当面認める方針だ。
 また、橋下氏は同日午前、国政での外国人参政権に反対を表明する一方、在日韓国・朝鮮人ら特別永住者については「コミュニティーのルールを決めることに参加してもらってもいいんじゃないか」と述べ、地方参政権の付与に理解を示した。
(2012年9月20日  読売新聞)
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橋下維新 選挙資金「100億円」スポンサーの実名/橋下氏「衆院定数を半減」すり寄る国会議員に“踏み絵” 2012-08-27 | 政治 


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