中日新聞 2023.05.18 Thu.
生成AIは歴史的転換点 最強の技術 最悪の結果も
野依さん「サミットで議論を」
2001年にノーベル化学賞を受賞した科学技術振興機構(JST)研究開発センターの野依良治センター長(84)=名古屋大特別教授=が本紙のインタビューに応じた。「チャットGPT」など文章や画像を自動で作る生成AIの出現について「歴史的な転換点」としつつ、原子力技術の発展が広島と長崎への原爆投下につながったことを引き合いに、「最強の技術は最悪の結果をもたらしうる、と肝に銘じるべきだ」と強調。G7広島サミットで十分議論することを求めた。
野依さんはチャットGPTを「人々の思考過程を変えるような博識なAI」と表現。サミットではAI活用の国際的なルール作りなどが議論されるが、野依さんはAIが扱うデータの信頼性の確保などを課題に挙げ、「納得できる制度が必要」と訴えた。
さらに教育では、AIで正解できるような試験問題は「設問として不適切だ」と持論を展開した。AI技術の発展を背景に「知識を詰め込む教育ではなく、いかに学んだかが大事になる」と述べた。
野依さんは名大助教授を経て、1972年に同大教授に就任。右手と左手のように鏡像関係にある化合物をつくり分ける「不斉合成」の成果でノーベル化学賞を受賞し、国の科学技術・学術審議会会長や教育再生会議座長などを歴任した。
◎上記事は[中日新聞]からの転載及び書き写し