現代の姥捨山「長寿」医療制度

2008-04-09 | 社会

後期高齢者医療制度って何? 今月スタート 問い合わせ殺到
2008年4月9日 07時29分 
 
 75歳以上を対象に今月スタートした「後期高齢者医療制度」をめぐり、自治体などにお年寄りの問い合わせが殺到している。制度が複雑で分かりにくい上、カード型の新保険証が採用されたことによる勘違いから「保険証をなくした」「届かない」などの訴えも続出。事前の周知が不十分だったり、配慮不足が背景にありそうだ。

 「私の保険料はなぜ上がったの?」「仕組みがよく分からん」

 愛知県の全市町村でつくる後期高齢者医療広域連合(名古屋市東区)。約63万人が対象だが、3日からの5日間で計約2千件の問い合わせや苦情があった。コールセンターだけでさばききれず、事務局の電話も鳴りっぱなしだ。

 保険料は所得に応じて負担する部分や、個別の事情による軽減措置などがあり、算定が複雑。従来の国民健康保険などに比べた額の増減は、年金生活の高齢者には切実な問題だが、制度の説明は担当者ですら「難しい…」。

 新保険証に対する不満の声も多い。はがき大に近い従来型か名刺大のカード型を選ぶが、同県の場合、カード型を採用したため、従来型に慣れている人から「保険証と分からず捨ててしまった」「文字が小さく読みづらい」などの苦情が出ているという。

 名古屋市でも、高齢者が届いた郵便物を新しい保険証とは気付かず「うちは届いてない」との訴えが相次いだ。企業などからのダイレクトメールと勘違いし、未開封の人も。

 病院を訪れ、初めて新制度への移行を知るケースも。病院からは「来院者が新保険証を持参しなかった」と被保険者番号の問い合わせが相次いでいる。

 岐阜市福祉医療課も「『新保険証をなくした』などの事例が多く、再交付が多い日で数十件に上るのでは。『高齢者のことをもっと考えて』との声が多い」。三重県後期高齢者医療広域連合にも、計約1000件の問い合わせがあり、担当者は「事前に広報や老人クラブでの出前講座など、考えられるPRはすべてやったつもりだが…」と、苦慮している。(中日新聞)

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http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/3e42fe03a316656b5e0c4685f7c94b8c

長寿医療制度:「高齢者に大きな負担」県医師会、撤回求める 当事者に戸惑い /茨城
4月5日12時1分配信 毎日新聞

 1日始まった後期高齢者医療制度を巡り、茨城県医師会(原中勝征会長)が都道府県レベルの医師会で初めて、制度撤回を求める声明を発表した。運用開始当日に福田康夫首相の指示で急きょ「長寿医療制度」に呼び替えることが決まるなど、異例の船出となった。対象となった高齢者から戸惑いの声が聞こえる。【八田浩輔】
 制度は75歳以上の高齢者全員が対象で、国民健康保険などから新しい医療保険に移行した。窓口での自己負担1割は従来と変わらないが、保険料は所得により異なり、年金受領額が年18万円以上の場合は年金から天引きされる。背景には、膨らみ続ける高齢者医療費抑制の狙いがある。
 これに対し、県医師会は先月22日に開いた理事会で反対する方針を決定。同月末に「制度は高齢者に大きな負担をもたらし、医療を制限する萎縮(いしゅく)医療そのものだ」として、制度の撤回を求める声明を発表した。ポスターを作って全会員に配布し、来週から署名活動を展開する。原中会長は「制度について、高齢者も医師もよく分からない状態。世界一の健康長寿国を支える今の(国民皆保険)制度をなぜ壊そうとするのか。この国を立て直してきた高齢者に対して、早く死ねということか」と疑問を投げかける。
 「何で線引きされなければいけないの」。水戸市の伊部豊子さん(79)は不安を隠さない。13年前に夫を亡くし、収入は月約11万円の年金のみ。貯蓄はほとんどない。リウマチなどの持病があり、医療費は月2万円以上。食費や生活に必要な車の維持費などを取ると、手元に現金はほとんど残らないという。制度移行に伴い、知人に保険料の計算を頼んだところ、月々の負担は若干だが上がる見込みであることが分かった。「やっていけないよ。今更(長寿医療制度に)名前を変えても本質は一緒。言葉だけじゃなく、高齢者を本当に大事にする制度にすべきだ」と嘆く。
 県内の運営主体「県後期高齢者医療広域連合」(水戸市)は、約31万人の被保険者を抱える。1日から問い合わせ用の電話回線を5本から10本に増やし、相次ぐ問い合わせに対応している。4日までに大きな混乱はないという。黒川英治事務局長は「従来と同じように医療が受けられることを引き続き周知していきたい」と話している。

4月5日朝刊  最終更新:4月5日12時1分

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〈来栖の怒り

 国を築き子供たちを育ててくれた恩人に、高齢者になったからと、「老人は 死んでください 国のため」というのか。こんなこと、絶対にやってはいけないことだ。

 中日新聞「特報」から、青森市医師医師会斉藤勝会長の話の要旨。

問題点

*慢性疾患を総合的、継続的に主治医が診るための報酬。---一人の主治医が一元管理するのは無理。

*75歳以上の患者さんが保険で受けられる医療サービスを、診療報酬に上限を設けて制限する仕組みにもなっている。必要な医療や検査が十分に出来なくなり、医療の質が落ちる可能性がある。例えば心筋梗塞や脳梗塞で特別な抗凝固剤を使っている患者には、月1回の血液検査が必要だが、それができなくなる恐れがある。

*年金から天引きで保険料を徴収する。高齢者の国民年金は最高でも月額10万円いかない。最低は2万円で、平均は4万円ほど。介護保険料も取られているのに。

*医療の地域格差  制度の運営主体は自治体ごとの広域連合。広域連合が診療報酬を決める権限を持ち、診療報酬を下げる可能性もある。そうなれば医師は満足いく医療も提供できず、報酬も低い悪循環に陥り、意欲が失われてさらに医療の質が低下するだろう。

ほかに問題点

*国は、最終的には1つの医療機関に登録した患者さんしか診療できず、診療所には登録した患者の数に応じて診療報酬が支払われる制度を目指している。

 主治医制度になれば、患者さんが医療を自由に選択できなくなる。

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読売歌壇の1首。

〈後期高齢者といふ新語出づ長生きするは罪のごとくに〉 日野市・三浦正


2 コメント

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nul (narchan)
2008-04-09 19:01:08
末期高齢者医療制度といいます。現在男性の平均死亡年齢は、79歳だそうですので、この制度のお世話になるのは、わずかに5年です。せめてそれぐらい安らかに生きさせていただけないものでしょうか。グループとしてみた場合、我々の世代は、国民学校時代は満足に食べさせてもらえず、卒業すれば、少年兵としてお国のために死ぬことを半ば強制され、軍需工場で労働を強いられ、敗戦後は、死に物狂いで石炭を掘り、ずたずたになった国鉄を復旧させ、漸く一息ついたら、早く死ぬことがお国のためだと言う制度に入れられました。どうしてそんなに虐めるのですか。
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ほんとに、むごすぎます。 (ゆうこ)
2008-04-09 22:32:16
>末期高齢者医療制度
 
 なんて惨酷な言葉、制度でしょうか。私の母も、軍国乙女でした。「戦争は、いけない」が、口癖です。認知症で老人ホームにいます。新聞も読みますし、日記もつけています。が、近時記憶が弱いのです。母には、「末期高齢者」の保険証の管理なんて無理でしょう。制度についての理解なんて、無理です。「末期高齢者」の殆どの方が、そういう状態ではないでしょうか。
 どうか、お願いします。不安にさせず、幸せな、平穏な日々を与えてあげてください。一番大切なことです。お願いします。
 認知症の母なのに、自分のことよりも、わが子のこと、孫たちの事を案じ、神のご加護を祈念してくれるのです。お願いします。
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