〔原油流出事故〕石油開発は、深海の油田が大きな割合を占めつつある

2010-06-21 | 国際

原油流出事故が広げる波紋
日本経済新聞 社説2010/6/20
 メキシコ湾で起きた原油流出事故は、米国の政治や世界のエネルギー情勢にも波紋を広げている。
 米政府と議会は11月の中間選挙を意識し、事故を起こした英石油大手BPへの圧力を強化。巨額の出費を求められたBPは資産売却を検討しており、経営への影響は深刻だ。
 沖合油田の開発リスクが再認識され、長期の原油先物価格が90ドル台まで上がった。流出を止め汚染を取り除くには長期間かかる。今後の動きを注意深く見守る必要がある。
 オバマ大統領はテレビ演説で、原油流出を「最悪の環境災害」と呼び、BPに対し地域住民や企業への補償を求めた。BPはこれに応じ、200億ドル(約1兆8千億円)を4年の分割払いで第三者が管理する特別預託口座に拠出すると約束した。
 メキシコ湾沿岸では、操業できない多数の漁業者や客足が遠のいた観光業者らがBPに損害補償を求めている。事故発生から2カ月が過ぎても流出が止まらず、オバマ政権の無策をなじる声も高まっていた。
 大統領は指導力を示す必要に迫られていた。補償額が決まる前に資金を積み立てる預託口座には、地元のいらだちをなだめる狙いがあろう。
 BPのヘイワード最高経営責任者は米下院公聴会に呼ばれ「出し惜しみしない」と述べた。場所は4カ月前にトヨタの豊田章男社長が証言した同じ建物。金融危機以来、米国民にくすぶる大企業への不信感に政治家が便乗した形だ。
 BPが汚染除去や補償などに使った対策費は約16億ドルに達しているが、最終的な負担額は見えない。同社は配当を見送り、資産売却で必要資金をやりくりする見通しだ。
 事故を起こした油田開発には、三井石油開発グループも10%の権益を持っており、日本にとっても対岸の火事ではない。
 BPの管理態勢の甘さが事故の背景にあると指摘される。同社は過去にも大事故を起こし、安全意識を問われてきた。今回の事故現場は深さ1500メートルの海底で復旧が難しい。
 石油開発は世界的に沖合に広がり、中東産油国以外では深海の油田が大きな割合を占めつつある。事故は世界のエネルギー供給に不確実な要素を付け加えたといえる。

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