2007年8月26日 中スポ 紙面から
8回まで無四球、毎回の15三振を奪った中日の先発・小笠原孝投手(30)の好投も実らなかった。25日の阪神戦(ナゴヤドーム)、小笠原は抜群の制球力で、初回から“奪三振ショー”。9回に先頭打者・浜中を安打で出塁させ、満塁の走者を残して交代。岩瀬が打たれて、0-2で敗れた。打線は小笠原を見殺しに。再び一夜で首位から陥落したものの、勝負はまだまだ先。小笠原の左腕は頼もしい限りだ。
マウンドを降り、ベンチへ向かって歩く小笠原は、ファンからたくさんの拍手と声援を受けた。ピンチに動じることなく奮闘したことへの称賛だった。9回1死満塁で代わった岩瀬が得点を許し、8イニング1/3、2失点で負けはついたが、セ・リーグ記録にあと1と迫る8回まで毎回の15奪三振。何も恥じることのない素晴らしい投球だった。
「15三振? 負けりゃ何もないんで」
試合に勝てなかった悔しさで、小笠原は15奪三振の感想は封印した。それでもグラウンドで繰り広げられる奪三振ショーはどれも見せ場たっぷり。特に8回は圧巻だった。先頭の桜井に右中間三塁打を許し、先制点を覚悟した場面でも左腕は落ち着いていた。
まず矢野を外角直球で空振り三振。関本を外角へ落ちるシンカーで空振り三振。代打・狩野を外角直球で3球三振(空振り)に。打ち取るたびに、スタンドの声は大きくなり、狩野を打ち取ったときは拍手が鳴りやまなかった。
「審判の外のゾーンが広かったので、そこをうまく利用された」(阪神・正田コーチ)「特に速いと思わなかったけど、何か合わんかった。そこが落とし穴かも」(矢野)。小笠原は阪神打線を幻惑させた。8回までは安打を許した後はすべて三振で、取った25個のアウトのうち外野フライは1本だけと、いかに危なげなかったかが分かる。
「前回、インコースの球が甘かったので、それを反省しました。まだ甘いところはありましたけど」
これだけ素晴らしい投球をしても、小笠原はまだ反省する。でも、良かったからこそ、9回1死満塁で降板したとき、2番手は守護神・岩瀬しかいなかった。
「いいピッチングしたよ。この前は立ち上がりから重そうだなって思ったけど、それくらいだろ」と落合監督。負けはしたが、誰も文句は言わない。頑張る小笠原が報われるときはきっとやってくる。 (山本諭)
<来栖のつぶやき>
酔いました。一球一球に、目が釘付けになりんした。それにしても、
>「15三振? 負けりゃ何もないんで」
とは、抑制した立派なお言葉。あの渋いお顔とともに感動! ありがとう。
今日は負けられない。負け越すわけにはゆかない。中田か。昨日のゲームを見れば、勝敗は投手に帰することは出来ないことが明白だ。打ってください、井端ヒロ君・荒木・ビョンギュ・ウッズ・森野・ノリ・・・。
ある意味、ピッチャー(スポーツ)もピアニスト(ミュージック)も同じだと思う。私のような趣味でピアノを弾いているものでさえ、例えば6、7分ほどの曲にしても、集中力如何で演奏の出来不出来が明瞭に、直に、表れる。最近、つくづく、「集中力」ということを感じている。集中する(させる)こと。ピアノを弾く(一曲弾きとおす)上でのたまらない魅力である。弱くしっかりと(力をもって)弾く。