2008年4月5日 中日新聞紙面から
チームが今季初勝利し、ピエとジャンプして喜ぶカブスの福留（右）＝リグリーフィールドで（榎戸直紀撮影）
【シカゴ西沢智宏、梅田香子】福留が早くも“出塁王”となった。カブスの福留孝介外野手（３０）は３日（日本時間４日）、当地でのブルワーズ戦に５番右翼で出場。二塁打と２四球に加えてメジャー初盗塁も決め、開幕３戦目での今季初白星（６－３）に貢献した。１回に犯したメジャー初失策の悔しさを晴らし、出塁率はナ・リーグトップタイの６割６分７厘に上昇。中日時代の特徴をそのまま発揮し、選球眼の良さも光った。
福留が、開幕３戦目できっちり対応してきた。前日の第２戦ではブルワーズの内角、ボール攻めにリズムを崩した。出した答えはいたってシンプル。打てない球は振らない－。これでチーム初勝利の道筋をつくった。
「打てる球なら手を出すけど、カウント０－０から難しい球を振る必要はない」。先頭で迎えた４回の第２打席だ。誘い球を辛抱強く見極め、四球を選ぶ。けん制をかいくぐり、二塁に足から滑り込んでメジャー初盗塁。なおも大きなリードで相手バッテリーを揺さぶり、先発のブッシュは四死球を連発。押し出しで福留が勝ち越しのホームを踏んだ。
伏線があった。１回の守り。無死二、三塁で、右飛を難しいタイミングながらバックホーム。捕手が三走と交錯したため送球が後ろにそれ、二走の生還まで許してしまった。無念の大リーグ初失策。「精いっぱいのプレーだった。申し訳ないと思う」と話したが、このプレーには別の思いもあった。
「悪い流れは何とか切らなくてはいけないし、いい流れに動かしていかないと。それができなくても、しようとすることで何かが変わると思ってやっている」
チームを覆う停滞ムードを打ち破るためのバックホームであり、打席でも出塁して流れを変えようと懸命だった。その結果が２打数１安打２四球。「打席で我慢強い。本当のプロの打者だ」とピネラ監督が絶賛すれば、先発したデンプスターも「すごい選球眼。素晴らしい仕事だった」と頼もしい味方に感謝した。
福留の出塁率は６割６分７厘となり、ナ・リーグのトップタイに。でもそれよりうれしいのが初勝利だ。「ほっとした。これでチームもやっとスタートが切れると思う」。カブスとともに、福留も乗っていけそうな雰囲気だった。
【出塁率】 ＜安打＋四球＋死球＞÷＜打数＋四球＋死球＋犠飛＞で算出。３試合で４安打４四球をマークしている福留の出塁率．６６７は、ブレーク・デウィット三塁手（２２）、ジェームズ・ロニー一塁手（２３）＝いずれもドジャース＝と並ぶナ１位。