【未来】分党 宙に浮いた卒原発 嘉田氏は「選挙用」 / 森裕子参院議員は満面の笑み 民主党に“接近”

2012-12-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

クローズアップ2012:未来、党分裂 宙に浮いた卒原発 嘉田氏は「選挙用」
 毎日新聞 2012年12月29日 大阪朝刊
 16日の衆院選の際、小選挙区で約299万票、比例で約342万票を獲得した「日本未来の党」が、投開票日から10日あまりで分裂した。342万人が投票用紙に記入した「未来」の党名も「生活の党」に変更され、国政政党としては消滅。小沢一郎氏が嘉田由紀子滋賀県知事を選挙用の看板として担ぎ出したあげく、選挙が終わるやいなや追い出した。嘉田氏が掲げた「卒原発」に寄せられた民意は宙に浮き、国民の政党政治への不信感を一層深めそうだ。
 「嘉田代表には身軽になっていただいて、ただ大切な名前をどうしてもということだったので、それはどうぞ」。生活の森ゆうこ代表は28日の記者会見で、党の名称だけを嘉田氏に譲ったと強調した。「未来」は有権者に書いてもらった大事な名称だが、生活側にとっては嘉田氏とともに、もう用済みだった。
 衆院選での未来の公認候補121人の約6割が生活系で「未来は生活の隠れみの」との指摘は当初からつきまとった。世論の批判が強い小沢氏の代わりに女性で自治体首長という嘉田氏の「清新さ」を利用したのが実態だ。
 だが、未来は衆院選で惨敗。小沢氏は参院選に向け、民主党との連携を探り始めた。生活系議員は首相指名選挙で森氏に投票したが、参院の決選投票では民主党の海江田万里代表に投票した。未来の独自性にこだわる嘉田氏はこの戦略の障害になる。このため、代表の人事提案を拒否する「クーデター」で嘉田氏を追い込み、排除した。
 28日の共同声明は「総選挙を戦った未来がなくなることは決してない」と円満な「分党」だと主張。小沢氏も記者会見で「同じ方向を目指して今後も頑張っていくことに変わりはない」と語った。しかし、分裂の経緯を問われると「横の話はまたの機会にしてほしい」と不快感をあらわにした。分党の発案者についても嘉田氏は小沢氏側としていたが、森氏は28日の会見で嘉田氏側と主張。嘉田氏は「せんさくしないことにしたい」と述べ、亀裂は隠せなかった。
 「小沢さんを使いこなす」と豪語しながら失敗した嘉田氏の責任も重い。嘉田氏は27日に「少し休んで戦略を練り直す」と語ったが、分裂の結果「卒原発」を掲げた嘉田氏の主張を代弁する国政政党は消えた。選挙戦では全面的に小沢氏側に依存しており、事務局体制もカネ(政党交付金)もない。政策実現は容易ではない。
 「嘉田新党」なのに自身が出馬しなかったことも、無役の小沢氏に介入を許した遠因。未来から出馬し落選した初鹿明博前衆院議員は28日、ツイッターで「落選議員に連絡も報告もなく党が瓦解(がかい)。ひどすぎる」としつつ、「国政政党の代表が国会議員にならないのは無理があった」と指摘した。【田中成之、加藤明子】
■交付金「生活」独り占め
 日本未来の党の分裂で、未来が13年に受け取る予定だった政党交付金約8億6500万円のほぼ全額を、未来の名称を変更した「生活の党」が手にする。一方、嘉田由紀子滋賀県知事が設立する別の政治団体「日本未来の党」は政党要件を満たさず、交付金はゼロ。小沢氏は文字通り「名」より「実」を取った。
 政党交付金は年間約320億円で、直近の国政選挙得票数や1月1日現在の所属議員数に応じ配分が決まる。
 未来は得票分だけで約4億7000万円の交付が確定していた。嘉田氏と阿部知子副代表が未来に残り、小沢氏らが離党して新党を作れば、得票分の交付金を嘉田氏らが受け取り、議員分を小沢氏らが取る決着も可能だった。しかし結果は、離党した亀井静香、阿部両氏の議員分が減額されるだけで、小沢氏側がほぼ独り占めする。未来で落選した前衆院議員も「資金が欲しいんだろう」と冷ややかだ。
 これまでも政党が分裂する際は、交付金の配分が問題になってきた。小沢氏主導で結党された旧自由党の解党の際は、党に残った資金の大半が小沢氏系の政治団体に移された。また、00年4月に旧自由党の離党者が旧保守党を結成した際は、旧保守側が「分党」による交付金分割を要求したが、小沢氏が拒否。交付金を受け取れない「分派」の扱いとなり、同年6月の衆院選後まで交付金が支給されなかった。【笈田直樹】
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小沢氏、発言は最小限 日本未来「分党」で会見
 岩手日報(2012/12/29)【東京支社】

   

 新しい政治団体となる「日本未来の党」代表の嘉田由紀子滋賀県知事を、「生活の党」代表に就いた森裕子参院議員と挟む形で会見席に座った小沢一郎衆院議員は一歩引いた姿勢を貫き、発言は最小限だった。
 「私の力不足で小沢先生の力を十分に引き出せなかった。反省している」-。「使いこなす」「一兵卒でやってもらう」などと強気だった合流当初を問われ、嘉田氏は一段と沈んだトーンでつぶやいた。
 痛々しくさえある嘉田氏を横目にする小沢氏の心中を探る質問が飛ぶ。しかし、小沢氏は「きょうは両代表の会見だから」とかわした。別の小沢氏への質問も森氏が遮り、小沢氏は椅子を机から遠ざけて「脇役」であることを強調した。
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「未来」分党 東北の落選者沈痛 理念不在に批判の声
 河北新報 2012年12月29日土曜日
 日本未来の党が分党を正式表明した28日、同党公認で衆院選に挑んだ東北の落選者は「支持者にわびるしかない」「情けない」などと戸惑いの声を上げた。結党から1カ月、初の国政選挙から2週間足らず。理念不在の内紛劇に、識者からも「政治不信を助長する」と厳しい指摘が飛んだ。
<政治不信助長>
 16日投開票の衆院選で、日本未来は山形以外の東北5県に計15人を擁立した。岩手4区の小沢一郎元民主党代表を除き、小選挙区は全敗。岩手2区の畑浩治氏が比例東北で復活当選した。
 宮城2区に立った元衆院議員の斎藤恭紀氏は2009年に民主党で初当選後、「新党きづな」「国民の生活が第一」を経て合流した。「脱原発や消費税増税反対など、政策で大同団結したのに情けない」と肩を落とす。
 党本部から詳細な説明はなく、分党に至った経緯も分からないまま。今後の政治活動について、斎藤氏は「新党の動向を見て考える」と話した。
<全国で342万票>
 日本未来は東北で比例票39万を集め、全国でも342万票を獲得した。宮城5区に立候補した阿部信子氏は「政党名で投票してくれた人に申し訳ない」と言葉少な。今後の身の振り方は「しばらく様子を見たい」と述べるにとどめた。
 一方、宮城1区の横田匡人氏は「小沢氏に従って地方組織を整えたい」と生活の党への帰属を表明。「(日本未来は)選挙中から政党として機能していなかった」と語るなど、党運営への不満をにじませた。
 今回の内紛は、代表だった嘉田由紀子滋賀県知事側と小沢系議員の主導権争いが契機となった。岩手県立大の斎藤俊明教授(政治学)は「政策や理念に基づかない分党は有権者への説明がつかず、結党自体が選挙目的と言われても仕方ない。政治不信を増幅させかねない」と指摘している。
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脱原発政党 再編の風 未来分党発表 みどり政党化
東京新聞2012年12月29日 朝刊
 滋賀県の嘉田由紀子知事と小沢一郎元民主党代表は二十八日、大津市内で記者会見し、日本未来の党を事実上、分党すると正式に発表した。分党の手続きは二十七日に既に終えている。脱原発を掲げた未来の党は結党から一カ月で分裂した。一方、参院議員四人でつくる会派「みどりの風」は二十八日、国会議員二人を新たに加え、政党の届け出をした。みどりの風は衆院選前に所属議員が未来の党に移ったことで政党要件を失っていたが、来年の参院選に向けて態勢を再整備した。
 みどりの風の谷岡郁子共同代表は同日「野党共闘が必要なのは間違いない。各党の接着剤にもなりうる」と記者団に語った。みどりの風は、参院議員の谷岡、行田邦子、舟山康江、亀井亜紀子の四氏が所属していたが、未来を離党した亀井静香衆院議員と、新党大地の平山誠参院議員が加入。政党要件の五人を満たした。
 脱原発に向けて野党勢力結集の軸となるのは「脱原発基本法案」。法案は「二〇二五年までのできる限り早い時期に、脱原発を実現させなければならない」と明記。市民団体「脱原発法制定全国ネットワーク」が呼び掛け、賛同した議員有志が九月に法案を提出したが、衆院解散で廃案になった。
 法案には民主、社民、みんな、旧国民の生活が第一など超党派の百人余の衆参議員が賛同人に名を連ねた。しかし衆院選を経て賛同者は激減。参院選で脱原発を争点化するため、参院主導で法案の再提出を働き掛ける。
 原発政策では、みんなの党の渡辺喜美代表も「原発ゼロを目指す勢力と、原発続行勢力との対立軸は明快で、大きな争点の一つ」と指摘する。
 未来の党は、所属国会議員が阿部知子衆院議員だけで政治団体となるが嘉田氏は「卒原発の実現を目的に、志を同じくする人々と連携したい」と強調。また未来の党と分党して生活の党を立ち上げた小沢氏も「原発問題などで同じ方向を目指して頑張ることに変わりはない」としている。今後、これら勢力が大同団結していけるかどうかが、参院選に向けての焦点となる。
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〈来栖の独白〉
 アベノミクスを横目に、私の裡で小沢株は急落だ。衆院選で岩手・千葉選挙区に苛酷な刺客を立てた時から、私の心は冷えた。私念を克服しようとせず、公(選挙)の場で晴らそうとした。
 嘉田氏とのことも、なぜ大局(卒原発)に立てないか。
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行き着く先は「カネ」 日本未来の党、“野合”1カ月で幕 2012-12-28 
 行き着く先は「カネ」 日本未来の党、“野合”1カ月で幕
 産経新聞2012.12.28 00:51
 「選挙互助会」と揶揄(やゆ)された日本未来の党が行き着いた先は政党交付金の“争奪戦”だった。勝ち取ったのは小沢一郎氏側。交付金の額は1月1日時点の所属国会議員数などに応じて決まるため、年内に政党の体裁を整えなければ、交付はお預けとなる。小沢氏側が主導権を握る形で“衣替え”を急いだのはこのためだ。結党から1カ月。「カネ目当て」の分裂劇への批判は免れない。(松本学)
 27日に国会内で行われた日本未来の両院議員総会は約20分間で終了した。
 「本物の『脱原発』に向けての第一歩を目指していきたい」
 代表の嘉田由紀子滋賀県知事に近い飯田哲也代表代行は会合後、記者団にこう語り、小沢氏側との対立の根深さをうかがわせた。
 所属国会議員は27日に離党届を提出した亀井静香氏を除くと16人。小沢氏と小沢氏系議員計15人は名称を変えて存続する「生活の党」に残り、嘉田氏と社民党出身の阿部知子衆院議員が党を追われる形だ。
 政党交付金を受け取るには、1月1日時点で(1)所属国会議員が5人以上(2)所属国会議員が1人以上で、国政選挙での得票率が2%以上-のいずれかの条件を満たさなければならない。
 存続する「生活の党」は、日本未来が受け取るはずだった平成25年分の政党交付金約8億6千万円(産経新聞試算)の大半を受け取ることができる。嘉田、阿部両氏らが新たな政治団体を結成しても交付金は受け取ることはできない。
 気になるのは今後の小沢氏側の動向だ。
 日本未来の国会内の控室に27日、就任挨拶のため訪れた民主党の海江田万里代表に、「生活の党」代表に就任する森裕子参院議員は満面の笑みを浮かべて“接近”を図った。
 「海江田万里8票プラスさせていただきました!」
 日本未来は26日に参院で行われた首相指名選挙の決選投票で、8人全員が海江田氏に票を投じている。森氏のパフォーマンスは、小沢氏側と民主党が手を握る新たな“野合”を想像させるものだった。
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12月28日
2012.12.28 03:06 [産経抄]
 長屋の井戸端で、女房が亭主の愚痴をこぼしている。「お前さん、何だって、いっしょになったんだい?」。別の女房がたずねると、ぽつりと一言。「だって…寒いんだもん」。▼寒風に肩をすぼめる季節になると、昭和の名人、古今亭志ん生が落語の枕に織り込んだ名言を思い出す。男女の結びつきの不思議さを表現して余すところがない。衆院選前に、「日本未来の党」の嘉田由紀子代表と小沢一郎氏を結びつけたのは、何だったのだろう。▼色恋沙汰ではもちろんないし、どうやら政治理念の一致でもなかったようだ。嘉田氏にとって、選挙の裏と表を知り尽くした小沢氏は、頼もしい存在だった。小沢氏も、嘉田氏が掲げる「卒原発」のスローガンでかなりの票が稼げるとそろばんをはじいた。要するに、打算である。▼選挙で惨敗となれば、もともと水と油の2人が対立するのは必然だった。きのう、結党からわずか1カ月で分党が決まったといっても、驚きの声は上がらない。すでに亀井静香氏が26日に離党を表明しており、小沢氏ら衆参15人が党を継承、名前も変えた。▼「成田離婚だ」。党から追い出された格好の阿部知子衆院議員が語っている。茶番劇のハネムーンを見せられただけではない。「離婚」にも、打算の臭いがプンプンする。政党交付金が、1月1日の時点での国会議員の数などで額が決まることから、年内決着を急いだというのだ。▼「野党の活動については、政界における『一服の清涼剤』という位置をわりあてる」。政治学者の京極純一さんによれば、かつては「これが堅気の常識」(『日本の政治』)だった。清涼剤にもなれない野党に、どんな存在価値があるというのか。
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嘉田氏ら「名」を、小沢氏「実」取る…未来分裂
読売新聞 2012年12月28日05時29分
 日本未来の党は27日、党名を「生活の党」に変え、代表を嘉田由紀子滋賀県知事から森裕子参院議員へと変更することを総務相に届け出た。
 「生活の党」は小沢一郎衆院議員ら旧「国民の生活が第一」(現在は国会議員15人)のメンバーで構成される見通しで、嘉田氏と嘉田氏に近い阿部知子衆院議員らは離党することになり、分裂が決まった。嘉田氏らは政治団体として党名を引き継ぐ方向だが、結党1か月にして国会から未来の党の名は消えた。
 小沢氏と嘉田氏は28日に大津市内で共同記者会見を行い、党分裂の経緯などを正式に説明する。
 当初は小沢氏らが離党するとの観測もあったが、離党して新党を結成した場合に受け取れる政党交付金は、未来の党が受け取る予定だった約8億6500万円(現時点での勢力による試算)と比べ、大幅な減額となる。小沢氏に近い議員が「衆院選の選挙資金の多くは、旧『国民の生活が第一』が負担した」などと語る一方、嘉田氏側は、日本未来の党という党名の存続にこだわり、党の「割れ方」を巡る騒動を「カネ目当てと思われたくない」と周辺に語っていた。これが、嘉田氏らが「名」を取り、政党交付金という「実」を小沢氏らが取る格好の決着になったものとみられている。
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