【死刑】 命を造り 生み出すことのできぬ人間に「償い」などできぬ せめて命で「詫びる」・・・ 2021.1.28

2021-01-28 | 死刑/重刑/生命犯

 発言 ~次世代の声~ 
 中日新聞 2021年1月27日 水曜日  
死刑反対 生きて償いを
 谷口綾香 中学生(名古屋市守山区)15歳
 公民の授業で死刑制度を学びました。
 授業では死刑の賛否についての意見文をそれぞれ読んだ後、どう思うか、死刑を今後も続けていくべきかを皆で話し合いました。私のクラスでは、事件で肉親を亡くした遺族の悔しさや無念を考えると死刑は存続すべきだとという声が相次ぎましたが、私は「ちょっと待てよ」と思いました。裁かれて確定した罰を実行するための死刑だったとしても、執行は紛れもなく人の命を奪うことに他ならないからです。
 人間として生を受けた以上、罪を犯したとしても尊厳と誇りをもって生きつつ償いをすべきです。よって死刑制度は速やかに撤廃してもらいたいです。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2021.1.28 Thu〉
 死刑制度について意見を投稿するのは、多くが死刑反対の考えの人のようだ。そして、その多くの意見の中に散見されるのが「償う」という言葉。
 私は、死刑によって罪は償えないと考えている。死刑は、それによって、犯した罪を「詫びる」だけだ。命を造り生み出すことのできぬ人間に、償いなどできぬ。せめて命で詫びる・・・。
 そして、いま一つ。下の「社説」で触れているが、執行に関わる刑務官の苦衷を忘れてはならないだろう。命をもって詫びるということのために「死刑」を是としてもよいと考える私だが、刑務官の苦衷は計り知れない。役務は、当日、直前に命じられるため、死刑執行が予想される日は、欠勤する刑務官もいるとか。


 社説・コラム  2020/12/22 11:00 西日本新聞 オピニオン面 一瀬 圭司

ある朝、突然死刑台に   
 クリスマスソングが街にあふれるこの時期、法務省の担当記者は毎朝身構える。近年、歳末の死刑執行が恒例となりつつあるからだ。昨年は仕事納めの前日、福岡一家4人殺害事件(2003年)の中国人死刑囚の刑を執行した。
 なぜこの時期なのか。中国人死刑囚の刑死を発表する森雅子法相の記者会見に出席したが、回答はにべもなかった。「個々の事項については答えを差し控える。慎重な検討を経て執行命令を発した」
 そもそも国は死刑制度自体の情報開示に消極的だ。「死刑囚の心情の安定」が理由とされる。10年に東京拘置所の刑場を報道機関に公開したものの、執行する死刑囚の選び方や処遇の実態はベールに包まれたままである。
 一端を知りたいと数年前、免田栄さん=5日死去、享年95=を福岡県大牟田市の自宅に訪ねた。獄中で34年を過ごし、死刑囚として戦後初めて「死刑再審」で無罪を勝ち取って30年が経過していた。
 当時87歳、かつては険しかったであろう眼光が柔和になる一方、拘置所での記憶は鮮明だった。執行は朝、突然告知されるのが通例。だから朝は「針一本落としても聞こえるくらい静か。今日も誰かが召されると思うと体がぎゅーっと緊張した」と目をつむった。
 「刑務官も人間。死刑囚を連れて行くときの表情は真っ青で、ろう人形みたいやった」。前日までに執行を告知していた時代があり、1975年に隣の舎房にいた死刑囚が執行前日に自殺したことで当日朝の告知に変更された、とも。「生き証人」の体験から、ともすれば無機質に遂行されているようにも感じられる執行の現実を垣間見た。
 現在、執行は法定の「6カ月以内」をはるかに超えることが常態化。人選は官僚の起案とされるが、特定の人物について検討するよう指示したと証言する法相経験者もいた。
 改めて言うが、国がどんな基準でその順番を決めているのか、さっぱり分からない。冤罪(えんざい)の可能性を慎重に判断しているつもりかもしれないが、人選が正しいかは検証不可能である。
 社会に戻り37年、免田さんは裁判には誤判がつきまとうことを講演会や著書で訴えた。その間、幾度も司法制度は改革され、裁判員として市民が死刑判断に加わる時代になった。死刑に対する立場は種々あるにしても、市民間で議論するには情報があまりに乏しい。「人権だ、民主主義だと言いながら、取り残された最大の問題が死刑制度ではないか」。遺(のこ)した言葉は、変わらぬ国の「秘密主義」を問い続ける。 (社会部)
 
 ◎上記事は[西日本新聞]からの転載・引用です
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*  死刑執行「正義の実現だったのかもしれません。でも実感は、人が人を殺しているというものでした」立ち会った元刑務官
「何十年も経ちましたが、全て鮮明に覚えています」元刑務官が語った死刑執行の瞬間 
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声上げ始めた死刑存置派 弁護士会、相次ぐ廃止決議の中 2020.12.22
「死刑とは何か~刑場の周縁から」 【「神的暴力」とは何か 死刑存置国で問うぎりぎり孤独な闘い】死刑の暴力の恐怖を、身体を接触し分かち合う感覚が中和している  

   

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《死刑とは何か~刑場の周縁から》 加賀乙彦著『宣告』『死刑囚の記録』 大塚公子著『死刑執行人の苦悩』
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