2019年6月9日 朝刊
新幹線 まず「見せる防犯」 「のぞみ」殺傷1年
東海道新幹線の車内で、乗客の男女三人が無職小島一朗被告(23)=殺人罪などで起訴=に刃物で切りつけられ殺傷された事件は九日、発生から一年を迎える。事件を機にJR東海は、警備員を新幹線全列車に同乗させるなど「見せる防犯」を強化した。ただ、乗客の手荷物検査の導入について同社は「鉄道の利便性が下がる」として否定的な姿勢を保つ。安全な鉄道に向け、関係機関は模索を続けている。
「警備員はさらに増強し、密度の濃い警備を実現していきたい」
五月三十日、JR東海の定例会見で、金子慎社長は車内を巡回する警備員を「ある種の抑止力」と説明。その上で五月末までに全列車で同乗が実現したと強調した。今は途中区間だけの列車もあり、今後は東京-新大阪の全区間に同乗させる態勢をつくり「見せる防犯」を強めていくとした。
車両には、防護盾や刺股などを搭載。三角巾などの医療用品も充実させた。昨年の事件では乗務員らの情報共有がうまく図れなかった反省点を踏まえ、車掌や運転士、車外の運転指令らが同時に会話できるように、スマートフォンを使った「グループ通話システム」を導入した。金子社長は「訓練を繰り返し、対応力は向上している」と話す。
国も安全向上対策に乗り出している。昨年十二月、適切に梱包(こんぽう)されていない刃物類の車内持ち込み禁止を明確化するため、鉄道営業法に基づく省令を改正。三月には、東京メトロ霞ケ関駅で「ボディースキャナー」を使い、服の下に隠した危険物を検知する実証実験をした。
手荷物検査についてJR東海は現時点で導入に否定的だが、新たな動きも出ている。静岡大発のベンチャー企業「ANSeeN(アンシーン)」(浜松市)が、新装置の開発をJR東日本の子会社と協力して進める。特殊なセンサーで中身を短時間で画像化。ANSeeNの小池昭史社長(34)は「飛行機の手荷物検査は十秒程度かかるが、この技術を用いれば四秒に短縮できる。鉄道の改札を普通に通る時間は二秒ほど。四秒なら混雑は生まれないのでは」とみる。同社は二〇二五年の大阪万博で試験導入を目指し、新幹線での本格導入も視野に入れる。
中部地方最大の新幹線駅・名古屋駅を抱える愛知県警。鉄道警察隊が事件後、ホームでの不審者警戒を強化してきた。昨年十月に在来線の車両を使い、JR東海と名古屋市消防局と合同で、刃物を持った男を取り押さえる想定で訓練。松田哲幸副隊長は「関係機関との連携が大切。日頃から密に連絡を取り合い不測の事態に備えたい」と話す。(榊原智康、佐々木香理)
*手荷物検査の導入、準備すべきだ
<鉄道の安全対策に詳しい関西大の安部誠治教授(交通政策論)の話> 新幹線車両への警備員配置は、やらないよりはやった方がいいが、全車両に配置するのはコスト的に不可能。現状の対策は発生後の対応中心で、警備員が別の車両を巡回している隙などを突かれ、刃物などによる事件が再発する可能性はある。乗客の利便性が多少は損なわれるかもしれないが、手荷物検査導入に向けた準備を進めるべきだ。
<新幹線殺傷事件>
2018年6月9日夜、東京発新大阪行き「のぞみ265号」(16両編成)の12号車で、乗客の20代女性2人が小島一朗被告になたで切り付けられてけがを負い、止めに入った兵庫県尼崎市の会社員梅田耕太郎さん=当時(38)=がナイフで襲われ殺害された。小島被告は現行犯逮捕され「誰でもよかった」と供述。鑑定留置を経て、昨年11月、殺人罪や銃刀法違反罪などで起訴された。公判はまだ始まっていない。
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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2019/6/9 中日新聞朝刊 34面
「何を考えているのか」 被告の祖母ら 面会拒まれ話せず
小島被告の祖母(82)と母親(56)は、神奈川県内の勾留先に面会に行っても被告に会えないでいる。「親族に顔向けできないんだと思うが、何を考えているのか分からない」と、真実が聞けず、罪悪感を抱えている。
二人はともに5、6回訪ねているが、一度も直接言葉を交わせないまま。ただ「本が読みたい」との小島被告の希望に応え、本を届けている。最近では5月末、祖母の家に置いてあった小島被告の本を10冊と、服を持って行った。二人がしたためた手紙は、まだ受け取ってもらえない。愛知県一宮市に住んでいる。
小島被告が事件後、神奈川県警の調べに「出所したら再び犯行を起こす」との趣旨の供述を報道で知った。「反省していないのではないか」と、今も不安は募るばかりだ。
公判の日は決まっていないが「裁判で自分の口から話してくれたら」。二人は待ち続けている。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖) *強調(=太字)は来栖
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〈来栖の独白2019.6.9 Sun〉
>「親族に顔向けできないんだと思うが、
>「裁判で自分の口から話してくれたら」
この家族には、小島被告のことが、何も解っていない。
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◇ 新幹線殺傷事件 小島一朗容疑者を殺人と殺人未遂、銃刀法違反の罪で起訴 2018/11/19 「刑務所に入りたかった 無期懲役を狙った」
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◇ 新幹線殺人犯 小島一朗 実父語る「息子を棄てた理由」 『週刊文春』2018/6月21日号
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◇ 「新幹線殺人事件」小島一朗容疑者の父親「一朗君」と他人のように呼称 2018/6/11 「土浦事件」金川真大 故死刑囚…
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◇ 新幹線殺傷事件(2018/6/9) 両親・祖母・伯父への徹底取材で見えた「小島一朗」ができるまで
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◇ 【新幹線殺傷】小島一朗容疑者、「6月8日」の事件が引き金か…無差別殺人続発が危惧 片田珠美 2018.06.10
◇ 新幹線殺傷事件に見る誤診と誤解だらけの「発達障害と犯罪」 アスペルガー症候群を世に知らしめた少年殺人も誤診だった?
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でも自死しなかったのはやはり親への復讐の意味があったのでは。。。
こんな事になっても理解出来ないこの親達と面会すれば彼はまた病んでしまいますね。
これは自分達が子供にしてきた事の結果だと云う事を警察でもいいから教えてやらないと
亡くなった方も浮かばれない。