“パナマ文書” 匿名人物が情報提供か
NHK NEWS WEB 2016/4月6日 16時41分
租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの企業を通じ、各国の首脳らが金融取り引きをしていたとされる問題について、ドイツの有力紙「南ドイツ新聞」は1年以上前に匿名の人物から情報提供を受けたことが問題が発覚するきっかけだったと明らかにしました。
租税回避地、いわゆるタックスヘイブンの国の1つ、パナマの法律事務所の文書が流出し、この中で、各国の首脳らが企業を通じて金融取り引きを行っていたとされる問題で、アイスランドのグンロイグソン首相が辞任を表明するなど、影響が広がっています。
これについて、ドイツの有力紙、南ドイツ新聞は、問題が発覚するきっかけは、1年以上前に匿名の人物がパナマの法律事務所の内部文書を持ち込んできたことだったと明らかにしました。
南ドイツ新聞は、身の危険を訴えていたこの人物と数か月間にわたってインターネットのチャットを通じてやり取りをし、1150万件に上る文書データを受け取った後、調査報道を行う国際的なジャーナリストの団体に連絡をし、共同でデータの分析を行ったということです。
一方、この法律事務所はロイター通信などに対し、「違法行為はしていない」と説明したうえで、「外部からハッキングされてデータが流出したもので、被害者はわれわれだ」と述べ、検察当局に告訴したことを明らかにしました。
■中東各国の首脳や親族の名前も
パナマの法律事務所から流出した内部文書には、中東各国の首脳や首脳経験者、そしてその親族も多く含まれていました。
内部文書を公表した調査報道を行う各国の記者で作る団体ICIJによりますと、このうち、シリアのアサド大統領のいとこで、石油や通信部門などシリア経済に強い影響力を持つラミ・マフルーフ氏について、タックスヘイブンであるイギリス領バージン諸島にあるラミ氏の企業が、オーストリアのウィーンやスイスのジュネーブの銀行に多額の資金を預けていたと指摘しています。
さらに、その弟でシリアの情報局の元幹部、ハーフェズ氏も兄のラミ氏に加担していた疑いがあるとしています。
また、内部文書では、サウジアラビアのサルマン国王の名前も上がっています。ICIJによりますと、イギリス領バージン諸島にある2つの企業が、2009年、ロンドン中心部に豪邸を購入するため、合わせて3400万ドル(日本円で37億円余り)の住宅ローンを設定していたということです。サルマン国王の具体的な役割は明らかになっていませんが、ICIJはサルマン国王がこの企業とローンに関わっていた疑いがあると指摘しています。
このほか、UAE=アラブ首長国連邦のハリファ大統領やイラクのアラウィ元首相、それにエジプトのムバラク元大統領の息子など、中東各国の首脳や首脳経験者、それにその親族の名前が多く含まれていました。
■スノーデン氏「史上最大のリーク」
世界中に影響が広がっているパナマの法律事務所から流出した内部文書について、アメリカの情報機関による大量の個人情報の収集を告発し、ロシアに亡命しているCIA=中央情報局のスノーデン元職員は3日、自身のツイッターで「データジャーナリズムの歴史で最大のリークだ」とコメントしました。
スノーデン元職員は、その後もアイスランドの首相の辞任の表明を巡る動きなどこの問題について、繰り返しツイッターでコメントしていて、高い関心を示していることがうかがえます。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です *強調(太字・着色)は来栖
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「パナマ文書」スキャンダル、早わかりQ&A
WSJ Japan Real Time 2016年4月6日 15:20 JST 原文(英語)
・「パナマ文書」とは何か
3日深夜に公表された膨大な量のリポートで、約140人の公人、企業幹部および著名人と、英領バージン諸島やパナマなどオフショア・タックスヘイブン(非居住者向け租税回避地)にある海外資産との関係が暴露された。名指しされた一人であるアイスランドのグンロイグソン首相が辞任した。一方、プーチン・ロシア大統領の報道官は批判を一蹴した。今後、多くの政治家らに対する圧力が強まる可能性がある。
・暴露までの経緯は
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によると、76カ国の370人以上のジャーナリストから構成されるICIJが、何百万点にも上るパナマの法律事務所の記録を入手した。この法律事務所はオフショアの持ち株会社を専門に扱っていた。ICIJはこの記録に基づき、一連の記事を出稿。これと平行して、一部の報道機関も記事を出した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、記録の内容を独自で検証してはいない。パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は不正行為を否定している。
・こうした行為は違法か
一般的に、オフショアの会社を持つことは違法でないが、各メディアによると、一部の仲介者は資産や疑わしい取引を租税回避地に隠すことで顧客を保護している。政治家に関して言えば、その資金の入手経路や使途が大きな問題となる。
・不正行為の疑いがある著名人は
これらのリポートによると、プーチン大統領の友人らは少なくとも20億ドル(約2200億円)に上る取引に関与していた。それだけではない。中国共産党中央政治局常務委員や習近平国家主席の親族もオフショア会社と関係を持っていることが明らかになった。アイスランドのグンロイグソン首相は、英領バージン諸島にある企業を一部所有していることを公表しなかったとして非難された。
・なぜパナマなのか
パナマは長年、オフショア会社の設立場所として知られている。法制度と銀行インフラがしっかりしていることが理由だ。70を超えるスイスの銀行が脱税をほう助していたと米政府に告白した際、多くはパナマ企業を使うスキームに関わっていたと述べていた。
・こういった行為は増えているのか、減っているのか
ICIJがまとめた数字によると、近年、こうしたオフショア会社の利用は急激に減っている。米政府は、制裁を回避したり、コンプライアンス(法令順守)に問題があったりする国際的な銀行に巨額の罰金を科している。また、米国ではオフショアの口座にある資金を内国歳入庁(IRS)から隠すのがますます難しくなっている。2009年以降、秘密オフショア口座に関連する訴訟の解決のため、5万4000人を超える米国の納税者が80億ドルを超える金額を支払っている。
・もうオフショア口座に資産を隠せないのか
米国でも外国でも、税当局から見えない場所に資産を隠すのは一層困難になっている。だが配偶者や債権者などから隠れて現金を保有することは今も可能だ。例えば、米国の納税者が租税回避地にある資産を元配偶者から見えない状態にしていた場合、この人は税申告書でこの口座について報告する必要がある。だが、その配偶者はこの資産にアクセスできないかもしれない。その発見と回収を困難にする租税回避地の法律があるからだ。
・検察は調査に乗り出しているのか
米司法省は、訴追の対象となり得る汚職の証拠が含まれているかを確認するため、文書を精査していると述べている。同じような調査は、英国やオランダなどでも始まっている。また、パナマの検事総長も、問題の法律事務所の調査に乗り出した。リポートで名前が挙がったプーチン大統領に近い人物の中には、既にロシアのウクライナ介入を受けて実施されている米財務省の制裁対象になっている人もいる。
・途上国では
政治的敵対勢力ないし野党が事実上存在せず、国がメディアを強力に支配している国では、今回のリークによる影響はほとんどないかもしれない。それ以外の国では、当局者によるオフショア会社の保有が不適切な行為とみなされる可能性がある。
・政策は変わるか
オバマ大統領は5日、多国籍企業による課税逃れに関する協議の中で、パナマ文書に言及した。この問題には、主要20カ国・地域(G20)が集まる国際的な会議で大きな注目が集まる公算が大きい。さらなるリポートと情報開示が続けば、法律や手続きの厳格化を求める市民の抗議が拡大する可能性があるほか、スキャンダルに関与した政治家や当局者の失脚につながるかもしれない。
◎上記事は[WSJ Japan Real Time]からの転載・引用です *リンクは来栖
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産経ニュース 2016.4.6 07:00更新
【パナマ文書の衝撃】プーチン露大統領報道官は「怪文書の標的に」と反論 アイスランド首相は辞任 指導者・有名人の資産隠し続々、各国当局捜査へ
【ベルリン=宮下日出男】パナマの法律事務所の内部文書が流出し、世界の指導者や著名人がタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠しを行っている可能性が明るみに出た問題で、パナマ検察当局は4日、違法行為の有無や関係者の洗い出しなどの捜査に乗り出した。英BBC放送によると、資産隠し疑惑が浮上していたアイスランドのグンロイグソン首相は5日、辞任を表明した。
欧米メディアによると、5日までにフランスも当局が捜査を始め、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンでも調査を開始。米当局も「パナマ文書」に関心を寄せている。
グンロイグソン首相と夫人の資産隠し疑惑が発覚したアイスランドの首都レイキャビクでは4日、首相に辞任を求める市民らが大規模な抗議デモを展開。野党がグンロイグソン氏への不信任決議案を提出して責任を厳しく追及し、同氏は辞任表明に追い込まれた。
今回文書が流出したパナマの法律事務所は、顧客の依頼に応じ、租税が優遇されるオフショアに多数のダミー会社を設立、租税回避などを支援したとされる。
ロイターなどによると、同事務所は、文書はハッカー攻撃で流出した本物だとしつつ、違法行為は否定。声明で、「われわれの仕事の性質がねじ曲げられて伝えられている」と主張した。
「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が発表した文書の検証結果は、ロシアのプーチン大統領の関係者による不透明な巨額の取引を指摘。これに対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、プーチン氏への個人攻撃だとの見方を示した。インタファクス通信が伝えた。
波紋はスポーツ界にもおよび、国際サッカー連盟(FIFA)倫理委員会は5日までに、文書で名前が取り沙汰された同委メンバーの調査を始めた。
パナマ文書は独紙南ドイツ新聞が入手し、ともに分析したICIJが3日に結果を公表。世界各国の現旧首脳12人を含む政界関係者ら約140人が、租税回避地に法人を設立していたことが分かった。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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2016.4.4 19:29更新
習近平氏やプーチン氏の周辺者がタックスヘイブンで租税逃れ? メッシ選手やジャッキー・チェンさんも…報道機関連合が内部文書検証
【ベルリン=宮下日出男】中国の習近平国家主席に近い人物など、世界の多くの政治家らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用した金融取引などで、資産隠しを行っている可能性があることが明らかになった。世界の報道機関で構成する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が3日、内部文書の検証結果として公表した。
文書はパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から独紙南ドイツ新聞が入手し、ICIJがともに分析した。その結果、世界各国の現旧首脳12人を含む政界関係者ら約140人が租税回避地に法人を設立していたことが判明した。
ICIJや欧米メディアによると、中国共産党の最高指導部、政治局常務委員会の現旧メンバーの少なくとも8人の親族がこの事務所を通じて法人を設立。習氏の義兄1人が2009年に英領バージン諸島に設立した2法人も含まれる。
また、ロシアのプーチン大統領の古い友人であるチェロ奏者のロルドゥギン氏は、バージン諸島に設立した法人などを経由させ、キプロスのロシア商業銀行から受けた融資を関係企業に移動するなどしており、その取引総額は約20億ドル(2200億円)に上った。
サッカーのスペイン1部リーグ、バルセロナに所属するメッシ選手は同国で脱税罪に問われているが、これまでの捜査で発覚していない法人をパナマに所有していることが判明。香港の俳優ジャッキー・チェンさんも租税回避地に少なくとも6法人を所有していた。
文書には、ウクライナのポロシェンコ大統領やサウジアラビアのサルマン国王らの名前も登場する。米国の制裁対象の北朝鮮企業やレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに関係する法人のほか、シリア政府に軍用機燃料を供給する企業の名もあった。
英BBC放送によると、中国ではこの問題に関するインターネット上の書き込みが削除されている。アイスランドでは首相の関与が指摘されたのを受け、野党が内閣不信任案を提出する構えを示すなど、世界各国で波紋が広がっている。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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2016.4.6 18:48更新
【パナマ文書の衝撃】アイスランド首相は辞任表明、英首相は釈明に追われ 独検察は捜査に着手 欧州諸国揺るがす
中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部文書が流出し、世界の指導者や著名人がタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠しを行っている可能性が明るみに出た問題は、欧州諸国を大きく揺るがしている。
■首脳らに衝撃
今回の問題で資産隠し疑惑が浮上したアイスランドのグンロイグソン首相は5日、辞任を表明した。
アイスランドの首都レイキャビクでは5日、首相の辞任では不十分とする野党支持者や市民が、来年予定の総選挙の前倒しを求める大規模デモを行った。
租税回避地での巨額の金融取引に関する内部文書に亡父の名前が記載されていたキャメロン英首相は5日、「自分は株やオフショアのファンドは持っていない」と釈明した。
しかし、家族名義での所有の有無や父親のファンドから利益を得ていたかどうかについては明言を避けた。キャメロン首相は2013年、英国での主要国(G8)首脳会議で課税逃れ対策の議論を主導しており、苦しい立場に立たされつつある。
■調査急ぐ各国当局
欧州の司法当局は、租税回避地での法人設立を代行する「モサック・フォンセカ」を中心とする租税回避の実態と違法性の有無について調査を進めている。
南ドイツ新聞など複数の独メディアは5日、「モサック・フォンセカ」の幹部2人に対し、独西部ケルンの検察当局が脱税幇助(ほうじょ)の疑いで捜査を進めていると報じた。当局は内部文書の内容など新たな情報を精査して捜査を進める方針だ。
ただ、2人を実際に訴追する場合も、法制度の違いなどからパナマ側が身柄の引き渡しに応じるかは不透明だとしている。
■「違法行為」否定
一方、「モサック・フォンセカ」は5日、「違法行為」をしていないと弁明した上で、いかなる文書も廃棄していないと強調した。
ロイター通信などによれば、同事務所はハッキングによって情報を引き出された犠牲者だと主張。司法当局にも告訴済みという。(ベルリン 宮下日出男、ロンドン 岡部伸、ニューヨーク 黒沢潤)
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ [パナマ文書] ジャッキー・チェン メッシ 習近平 プーチン ポロシェンコ・・・お金持ちのヘブン 2016/4/6
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