弁護士安田好弘さん

2006-05-12 | 死刑/重刑/生命犯

 いつもズボンに折り目などついていない。丸くなったズボンをはき、事務所で束の間の睡眠をとるだけ。被告のために奔走する。この人に私利私欲は、端から無い。いまどき珍しい純粋、真っ直ぐな人。愚直といったほうがいい。何度か直接お会いしたり、法廷での弁論を拝聴(名古屋アベック殺人事件)したりしたなかでの、私の印象だ。

 氏の打つ手が最近裏目に出ている。これは裁判所が世論の方へ軸足を移していること、加えて裁判員制度を睨んで審理の拙速化が進んでいることに起因しているように思われる。世論は、いま危ういところにきている。「怒り」と「拙速」が席捲する社会。これは危うい。

 藤原清孝が刑に処せられたとき、当日昼過ぎ私は安田さんからの電話でそのことを知った。電話の内容は多分に安田さんの主観に彩られた(藤原が死刑に反対して暴れたという)ものであった。これは著しく事実に反していた。たまたまフィリップ神父を仲介に中日新聞が取材を求めてきたので私は応じ、真実の姿を述べたのだった。その夜、再度電話があった。最期の様子をお聞きになった後、安田さんは「すみませんでした。(死刑から)守ってあげられなかった」と謝ってくださった。張り詰めていたものが緩み、私は涙ぐんだ。  

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上申書?所在不明に 「証拠隠滅」と安田被告側
 2006年 4月19日 (水) 20:05 

 顧問先の不動産会社に対する債権回収を妨げたとして、強制執行妨害の罪に問われた弁護士安田好弘被告(58)=1審無罪=の控訴審公判が19日、東京高裁で開かれ、不動産会社元常務の上申書とみられる書類が警視庁か東京地検で所在不明になっていることが明らかにされた。

弁護側は「安田被告に有利な証拠を隠滅したのではないか」と指摘。白木勇裁判長は検察側に対し、次回公判までに捜すよう求めた。

元常務は捜査段階や1審で、おおむね検察側の主張に沿った供述や証言をしてきた。検察側は控訴審で、元常務が1998年の捜査当時、警視庁に提出したとされる上申書などを新たに証拠請求した。

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資産隠しで社長有罪確定へ

 安田弁護士絡む事件 

 最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は16日までに、資産隠し事件で強制執行妨害罪に問われた中国系シンガポール人の不動産会社社長スン・チョンリ被告(70)の上告を棄却する決定をした。懲役1年6月、執行猶予3年の1、2審判決が確定する。決定は15日付。
 この事件では死刑廃止運動などで知られる安田好弘弁護士(58)も資産隠しを指示したとして起訴されたが、1審東京地裁判決で無罪が言い渡された。検察側が控訴している。
 2審東京高裁判決によると、スン被告らは住宅金融専門会社(住専)などからの借入金の返済が滞り、債権者に東京都港区の社有ビルの賃貸料収入が差し押さえられるのを不正に免れようと計画。ビルを関連会社に転貸したように装い、1993-96年にテナントに賃貸料計約2億円を関連会社の口座に振り込ませて隠した。
(共同通信) - 3月16日20時32分更新


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