保険適用1年で4件だけ 性別適合手術、学会まとめ 制度に問題、改善求める
社会 2019/6/24 9:33
性同一性障害(GID)の性別適合手術に公的医療保険の適用が始まった昨年4月からの1年間で、生殖器の摘出や形成の適合手術に保険が適用されたケースが4件だったことが24日までに、GID学会(事務局・岡山市)のまとめで分かった。この間、保険適用が認められる認定病院で実施された手術は約40件で、適用は1割程度にとどまる。
大半の患者は手術前に保険外の自由診療であるホルモン療法を受ける必要があるが、保険診療と自由診療を併用すると混合診療と扱われ保険適用外となり、全額を自己負担しなければならない。同学会はこうした問題が制度が普及しない背景にあるとみて「ホルモン療法にも保険を認め、多くの人が手術を受けられるようにすべきだ」と改善を求めている。
GID治療の指針では、手術前にホルモン療法を実施するのが基本。ホルモン剤を投与して望む性に近い状態にし、心身に問題がないかどうかを診る。精巣や卵巣の摘出後は性ホルモンの分泌が止まって心身に大きな変化が生じるため、ホルモン剤を継続的に使うが、副作用の有無を事前に調べる必要もある。
4件について、同学会は年齢など詳細を明かしていないが、いずれも男性から女性への手術で「高齢でホルモン療法の必要がないなど例外的なケースだ」としている。保険適用が認められるのは岡山大病院や山梨大病院など学会認定の6病院で手術した場合で、うち2施設で実施された。
生殖器の摘出や形成の費用は70万~200万円ほどに上るが、保険適用されれば原則3割負担で済む。同学会によると、認定病院でない国内の医療機関や費用が安価な海外で手術を受ける例が多いという。
厚生労働省医療課は「混合診療が課題となっている現状は把握している。ホルモン療法の保険適用に向けては学会に助言するなど連携して対応中」としている。〔共同〕
◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
* GID =Gender Identity Disorder
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性同一性障害で初の保険適用手術 岡山大病院、費用自己負担3割に
岡山大病院で行われた性同一性障害の人に対する手術
心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人に対する性別適合手術が今月、新たに公的医療保険の対象となってから、全国で初の保険適用となる手術が6日、岡山大病院(岡山市)で実施された。乳房を切除して女性から男性の体にする手術が近畿地方在住の20代に行われ、費用の自己負担は3割となった。
性別適合手術を巡っては、当事者が自由診療のホルモン療法を受ける場合、保険診療と自由診療との併用を原則禁じた「混合診療」に該当するため今月以降も保険が効かず、全額自己負担となる。患者の大半がこれに当てはまるが、今回の当事者はホルモン療法を始めていなかった。保険適用によって従来60万円以上かかっていた自己負担が20万円超で済む見通し。
当事者は手術前の取材に「差別で就職がままならない当事者にとって高額の医療費がハードルとなってきただけに保険適用は大きな前進。今年の夏からは胸のことを気にせず海に行ける」と語った。
手術は午前9時すぎに始まり、昼前に無事終了。執刀した岡山大病院ジェンダーセンター長の難波祐三郎教授は「性別の違和感に苦しむ人が貧富の差に関係なく平等に治療を受けられるよう、今後はホルモン療法の保険適用に向け取り組んでいきたい」としている。
同病院は性別適合手術を安全に受けられる施設としてGID学会から3月に認定され、厚生労働省の保険適用基準も満たしている。 ※登場する人物・団体は掲載時の情報です。 (2018年04月06日 更新)
◎上記事は[山陽新聞]からの転載・引用です
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* 性同一性障害に寄り添う医師 福岡市の泌尿器科医 平山和秀さん 友人の苦悩がきっかけ 2019/4/8