「恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし」中川智正故死刑囚の歌  死刑廃止論者の“死刑廃止論”に見る「不明」〈来栖の独白〉

2019-11-05 | 死刑/重刑/生命犯

〈来栖の独白 2019.11.5 Tue〉
 公園散歩。猫の琵琶ちゃん、Bossちゃん、もうちゃん(白黒ー牛柄模様)、茶とらん、mixi(キジトラ)、みけちゃんたちに会える。元気でいてくれる。
 琵琶ちゃんの所からBossの所へ行く道で空を見上げると、(昼間なので)白い半月。それなりに情趣がある。
 今宵もこの月(夜は月の色)を眺める・・・と思いながら、ふと歌を思い出した。

 「恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし」

 地下鉄、松本両サリン事件や、坂本堤弁護士一家殺害事件などで殺人罪などに問われ、昨年7月死刑執行された故中川智正さんの歌である。清明な歌。
 「りんご樹を この世の底で 今植える あす朝罪で 身は滅ぶとも」という歌もある。これほどに悟りきった清明な心境に至った人をも死刑に処さねばならないか。・・・しかたないのだろう・・・死刑を突きつけられて悟りに至る境地もあるか。

恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし / 中川智正被告 2011.11.18上告審判決
オウム 中川智正死刑囚が俳句同人誌 独房の内省詠む
オウム元幹部 死刑執行直前の様子 「誰も恨まず、自分のしたことの結果」中川智正元死刑囚 
オウム裁判終結 2011/11/18 中川智正被告の母「わが子を(死刑で)失い、少しでもご遺族の気持ちに近づくことができれば」 

 公園の紅葉は、今年は遅い。ふうの木は色づき始めたばかり。それにしても公園の花や樹木、池の水面には、癒される。感謝しかない。秋は萩や野菊・・・花期が長い。今日も野菊が。

     


■ 日本 死刑廃止論者の“死刑廃止論”に見る「不明」 〈来栖の独白 2018.11.07〉

 〈来栖の独白 2018.11.07 Wed〉
 日本の死刑廃止論者が先ず言うことは、
>死刑をやめた国はオーストラリアだけではない。世界の3分の2強。残している国の多くはアジアとアラブ諸国。先進国はほぼ死刑を廃止している。
 ということである。この論でゆくなら、現在、死刑制度復活を考えている国が、死刑を復活し、死刑制度を有する国が多くなったときには、森達夫さんたち死刑廃止論者は我が国の死刑制度を容認するのだろうか。死刑制度の是非は保有国の多寡で論じるものではないだろう、と私は考えている。
 “多寡”について、死刑廃止論者は次のようにも云う。
>日本の多くの人は死刑に賛成している。
 この場合の“多寡”は、死刑制度存置の大きな理由となるのではないか。
 いま一つ、彼らの浅慮・不明と思われる視点の一例は
>1カ月以内に13人の死刑が執行された
 である。<1カ月以内に13人の死刑が執行>と云うが、これには、国の用意周到な準備があった。私にはこれこそが、近頃よく言われるようになった「平成の終わりの出来事」として、予想されたことであった。
 一昨年、天皇陛下が退位希望のメッセージを述べられた時、「新天皇即位の相当前に、死刑執行があるだろう」と考えた。
 この国(日本)は「禊ぎ」好きな国民性である。きれい好き。毎年夏には「安らかにお眠りください。過ちは犯しませぬから」と謝って(禊ぎをして)きれいにして、問題の核心には触れようとせず、次のために整える。
 新天皇践祚、東京オリンピック開催も予定されているなら、2019年と2020年の死刑執行はないだろう。2018年、可能な限り早い時期に死刑執行して済ませ、きれいに(禊ぎ)して、新しい時代を迎えようとするだろう。
 私にその予想を確信させたのは、オウム菊地直子・高橋克也両氏の異例に早い判決(確定)であった。同一事件の共犯者が未決では、死刑は執行できない。高橋克也被告の最高裁判決の折、私は「国が裁判所に急がせているな」と感じた・・・。
 続いて3月、国はオウム死刑囚を、東京拘置所から刑場を有する他の拘置所へ分散収容させた。13名もの死刑執行を同一拘置所では不可能だ。
 死刑廃止論者は<1カ月以内に13人の死刑が執行>と云うが、オウム死刑囚には、天皇さんの退位メッセージの時点で命を刻む針が動き出した、と私は思っている。「昭和」の時のように、先帝崩御、新帝践祚によって時代が変わるなら、今回のような用意周到な死刑執行はなかっただろう。

オウム菊地直子被告の無罪確定へ 都庁爆弾事件 上告棄却(池上政幸裁判長)2017/12/25付
オウム真理教元信者 高橋克也被告 異議申し立て棄却 無期懲役判決 確定 2018/1/25付け
オウム死刑囚13人 死刑執行に向け、分散収容検討していた 法務省(「日刊スポーツ」2012/10/6) 
オウム死刑囚移送(2018/3/14~15) 法務省 秘密保持図る

 私が死刑囚を友人(後には、養子縁組みにより姉弟)にもちながら、彼(勝田清孝)生存中から一度として死刑廃止論者と手を携えなかったのは、上記のような「独り善がり」な主観・浅薄が容認できなかった故であった。

尾形英紀氏の「将来のない死刑囚には反省など無意味」に疑義〈来栖の独白2012/2/8〉
* オウム死刑囚 刑執行 「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」 命よりも大切なものがある 〈来栖の独白〉
* 「遺言書」藤原清孝 ■ プロフィール 

 この国は、上に述べてきたように、禊ぎ・潔さといったことを美学と感じる国柄ではないかと思う。古来、人気を得ている演劇にも、往々にして「切腹」の場面がある。このような国で、人を4人以上殺した(強盗殺人)犯人を、更生を願ってにせよ、生かしておくことが容認できるだろうか。
 いまここで私は、死刑制度の是非を述べようとは思っていない。死刑制度は容易にその是非が結論づけられることでもない。
 ただ死刑について考えるとき、苦しくなる問題がある。
 死刑執行に直接携わる刑務官のことである。彼らは、命令により、直接死刑執行に手を下さねばならない。職務として。白昼、人を殺さねばならない。この苦役をどうすればよいのか、私には答えが出ない。
 家族の命を奪われ、加害者死刑囚の死刑を願う被害者遺族でも、実際のこととして死刑執行に手を下さねばならないとしたら、どうであろうか。・・・私には、この解答は得られていない。

* 米ワシントン州が死刑廃止 「人種的に偏りある」 2018/10/11
* フランスで死刑復活望む声 スリランカ死刑執行再開か…76年以来、麻薬犯罪対策 
【死刑執行】命令書にサインする法相と現場刑務官の苦衷…私も胸が痛む〈来栖の独白2018.7.7〉 
* 上川陽子法相、歴代最多の計16人死刑執行 2018/7/26 【63年法務省矯正局長通達】に見る行刑の苦難 
死刑の判断 裁判官も「悩みながら考えた」特に悩んだ少年事件 裁判員なら猶更、生涯の重荷
* 死刑執行「正義の実現だったのかもしれません。でも実感は、人が人を殺しているというものでした」立ち会った元刑務官

   松葉菊

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