和歌山カレー事件のヒ素鑑定~再分析した京大教授が否定

2013-04-25 | 死刑/重刑/生命犯

和歌山カレー事件のヒ素鑑定――再分析した京大教授が否定
週刊金曜日 2013年4月18日(木)17時21分配信
 一九九八年七月に六〇人以上が死傷した和歌山カレー事件からもうすぐ一五年。殺人罪などに問われ、二〇〇九年に死刑が確定した林眞須美さん(五一歳)は現在も無実を訴え続けて再審請求中だが、その再審の行方を左右しそうな注目の論文が発表された。
 論文は、三月末に発売されたX線分析の専門誌『X線分析の進歩』第四四集(アグネ技術センター)に掲載される京都大学大学院工学研究科・河合潤教授の「和歌山カレーヒ素事件鑑定資料の軽元素組成の解析」。捜査段階で東京理科大学理学部・中井泉教授が大型放射光施設SPring-8で行ない、林さんの裁判で有罪の拠り所とされたヒ素の鑑定結果について、河合教授は生データを再分析。その結果、中井鑑定で「同一の物」とされた「林さん宅で見つかったとされるヒ素」と「犯行に使われたとみられる紙コップに付着したヒ素」とが「異なる物」と判明したという衝撃的な内容だ。
 この河合分析のポイントは、中井鑑定がヒ素の「重元素」の組成を比較したうえで鑑定資料のヒ素のすべてを「同一の物」と結論していたのに対し、「軽元素」の組成にも着目して分析した点にある。どちらの見解が正しいかは今後、科学論争に発展する可能性もあるが、中井鑑定はSPring-8が刑事事件の鑑定に使われた初めての事例であるにもかかわらず、これまで一度も他の専門家の事後的な検証にさらされていなかった。今回初めて他の専門家の事後的な検証にさらされ、いきなり鑑定結果を否定された事実が持つ意味は決して小さくないだろう。
 また、中井教授は林さんが起訴もされていない時期、「悪事は裁かれるという社会的正義を実現する」などという目的で鑑定結果を勝手にマスコミに公表するなどし、裁判では鑑定人としての中立性の有無が問題になった人物だ。その点からも、別の専門家の事後的な検証によって、中井鑑定が否定された意味は重い。
 林さんの再審弁護団はこの河合分析の結果に基づき、すでに和歌山地裁に対し、ヒ素の再鑑定を求める再審請求補充書を提出。再鑑定には、検察側が反対する公算が高いが、和歌山地裁が再鑑定を決定すれば、林さんの再審請求審は一気に動き出す可能性がある。
(片岡健・ルポライター、4月5日号)最終更新:4月18日(木)17時21分
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和歌山毒カレー事件 林真須美死刑囚弁護団 再審請求補充書などを和歌山地裁に提出 2013-03-10 
 和歌山カレー事件、死刑囚宅と現場「毒物組成違う」弁護団
 日本経済新聞2013/3/9 23:01
 和歌山市で1998年7月、4人が死亡した毒物カレー事件で、再審請求している林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、大阪市内で記者会見し、組成の特徴が同一とされた林死刑囚の自宅台所にあったポリ容器と現場の紙コップに付着した亜ヒ酸の鑑定結果を京都大教授が分析した結果、組成は異なると発表した。
 弁護団は分析結果を再審請求補充書などとともに2月28日付で和歌山地裁に提出し、再鑑定を求めている。安田好弘弁護士は「判決が採用した鑑定の信用性は乏しい。別物であることが証明されれば再審に近づく」としている。
 2009年の最高裁判決は、カレーに混入されたものと組成上の特徴が同じ亜ヒ酸が自宅や周辺から発見されたことを、有罪の根拠となる状況証拠の一つと判断した。
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「現場のヒ素は別物」 和歌山毒物カレー事件、弁護団が分析結果
産経新聞2013.3.9 21:17 [westナビ]
 平成10年に4人が死亡した和歌山の毒物カレー事件で、殺人罪などで死刑が確定し再審請求をしている林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、大阪市内で記者会見し、現場の紙コップに付着したヒ素と林死刑囚の自宅から押収されたヒ素は特徴が異なり、同一ではないとの分析結果が得られた、と明らかにした。
 弁護団によると、1審和歌山地裁で採用された鑑定では、2つのヒ素に特徴が共通する部分があり、同一製品とされた。確定判決は鑑定結果などに基づき林死刑囚が紙コップを使って、自宅にあったヒ素をカレー鍋に混入したと認定した。
 しかし、京都大大学院の河合潤教授(分析化学)が鑑定結果を分析したところ、ヒ素の特徴が異なる部分が見つかったとし、ヒ素は同一でないとの結果が出たという。
 これを受け、弁護団は先月28日、再鑑定を求める新たな再審請求補充書などを同地裁に提出。「確定審の鑑定ではヒ素の生産地が同一と立証されたに過ぎず、林死刑囚は犯人とはいえない」と主張している。
 確定判決によると、林死刑囚は10年7月25日、夏祭りのカレー鍋にヒ素を混入させて4人を殺害し、63人を急性ヒ素中毒にさせた。
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第1回和歌山カレー事件を考える人々の集い報告 2007.12.9(抜粋)
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和歌山県警科捜研 主任研究員による鑑定結果捏造 【毒カレー事件】再審請求の行方はどうなる 2012-08-20
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和歌山毒物カレー事件 弁護団が再審請求審で「鑑定の紙コップは別物」 2011-07-26
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「和歌山毒カレー事件」無辜の不処罰 2010-07-20
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林真須美被告の死刑確定へ 和歌山毒物カレー事件 2009-04-21
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