カワウソだって、イメージ通りの知恵者ぶりを発揮して、きっとどこかで生き延びているはずだ

2012-08-31 | 社会

【産経抄】
8月30日
2012.8.30 03:26
 詩人の岸田衿子(えりこ)さんの絵本「どうぶつ はいくあそび」(のら書店)では、動物たちが俳句を作っている。選者として感想を述べるのが、カワウソの「ふるかわうそはち」先生だ。▼「むかし、にんげんに、はいくをおしえたのは、かえるであった。そのかえるに、はいくをおしえたのが、わたしのせんぞのかわうそである」。先生の自慢話の真偽はともかく、カワウソを詠んだ俳句は少なくない。▼たとえば江戸時代中期の俳人、蝶夢(ちょうむ)に〈獺(かわうそ)の祭りに恥ぢよ魚の店〉の句がある。中国の古典は、捕らえた魚を川岸に並べるカワウソの習性を、人間が祭りの際に物を供えるのに見立てた。蝶夢は、鮮魚店の店先に並ぶ魚があまりに乏しくて、「獺祭(だっさい)」にも劣るとからかっている。▼詩文を作るために、座右に数多くの書物を並べることを指す場合もある。正岡子規は、自らを「獺祭書屋(しょおく)主人」と号した。このため命日の9月19日は「獺祭忌」とも呼ばれる。山口県岩国市の純米大吟醸「獺祭」をやりながら、こんなうんちくを若い友人に何度、傾けてきたことか。▼環境省は、特別天然記念物でもあるそのニホンカワウソを、「絶滅種」に指定した。昭和54年を最後に国内で目撃例がない。毛皮目的の乱獲や河川の汚染が原因だという。もっとも、同情ばかりもしていられない。▼内閣府がきのう公表した、南海トラフの巨大地震による被害想定は、衝撃的な内容だった。発生頻度は極めて低いとはいえ、最悪の場合死者は32万人を超える。東日本大震災を教訓にして、被害を最小限に抑える努力を続けていくしかない。カワウソだって、イメージ通りの知恵者ぶりを発揮して、きっとどこかで生き延びているはずだ。
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〈来栖の独白〉
>きっとどこかで生き延びているはずだ。
 ああ、やっと微かな希望。
 「絶滅種」は人類であるべきだ。
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化粧品開発のための動物実験規制


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