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小沢プラン「国有資産証券化」の真意
田村耕太郎2010年09月07日00時43分
本日発売のアエラ9月13日号の14ページに私が「従来の経済対策では再生は難しい。通常採らないような対策を講じなければなりません」と政策を提言したいう記述があるが、小沢氏は日本の財政や経済がものすごい緊急事態にあることも、今こそ採るべき政策の中身や効果についても非常に高い見識を私に披露してくれた。
その中でちまたに出回っている「国有資産の証券化」との小沢プランについて補足してみたい。私は実際小沢氏に会った上で確認しているのでこれから述べることは正確である。
国有財産を活用してマニフェスト実行の財源を確保するというくだりで、もちろん証券化ということもあるが、それ加えて、国有資産を国家が保有したまま、活用して、その収益が国家に入るというものがある。たとえば、公務員住宅を高齢者住宅にしたり、省庁を高度利用して官民共同のビルとして建て替えたりして、賃料で稼ぐのだ。
小沢氏のポイントは、「ともかく、国有資産を官僚から国民の手に取り戻し、自分が責任を持って、有効活用して、国民の生活のためにも、財源にもなるものとします!」というものだ。
本題の証券化についても、小沢氏からは気迫を感じる。日曜の討論番組で、小沢さんが「600兆円ある国有財産のうち200兆円を証券化」と主張した。これこそ政治の意思だ。一方、その時に、菅さんが「実現性については・・・云々」、「国債の発行の方が低コストで効率的」との反論。この発言には正直かなりがっかりした。
財務省の「国債に頼ればなんとかなる」的なつまらないロジックにはまっているのではと思った。
証券化のほうが国債発行より低いコストで資金調達できるようになってから、あわてて証券化に取り組んでも手遅れだ。そうならないように、戦略的にバランスシートの縮小と債務の削減に努める、その手段として戦略的に証券化という手法を活用する、そのために事前に市場整備を行っていく、という政策対応が必要でそこには政治意志が欠かせない。
日本の財政は「寝ているお金を起こしていく、足りなければ外からでも引っ張ってくる!」ここまでしないと持たないレベルなのだ。
いつまでたっても小さく・流動性の低いままの市場を前提に話をされるのは、「道を切り開いていくべきリーダー」であるはずの総理としてどうか?と思う。環境の言い訳から始めるなんて、残念だ。総理なら国民負担を減らすために何でもするという気概を持つべきだと思う。
・プロフィール
田村耕太郎
前参議院議員。民主党政策審議会副会長
・田村耕太郎 (kotarotamura) - Twitter