沖縄を心配することなく「県外」と言わなかった政治家に、鳩山首相を批判する資格はない

2010-05-29 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

ムネオ日記
2010年5月29日(土) 鈴 木 宗 男
 普天間飛行場移設問題に関し、政府が移設先として「辺野古」を明記し、政府方針を決めたことに対し、鳩山首相を一方的に批判しているが、そもそも「辺野古」を決めたのは自民党政権である。この点で自民党から批判されることは御免(ごめん)被(ごこうむ)りたい。
 確かに鳩山首相は、選挙中も選挙後も「県外」と言っていた。あまりにも過度に沖縄に駐留米軍が偏重している現実を見る時、沖縄県民の心、思いを十分考え、「県外」と言うのは当然であり、そう発言したことは正しい。
 沖縄を心配することなく、「県外」と言わなかった政治家に、鳩山首相を批判する資格はない。
 努力に努力を重ねたが、今の段階では「県外」とならなかったのである。しかし、2014年までの普天間の移設は絶対にやらなくてはならない。
 今回の決定は、それに向けてのスタートなのであり、県外への訓練移設も含め、これからも沖縄の負担軽減に向け、努力していくのである。
 批判することは簡単だ。しかし、この問題に関し、更にはこれまで沖縄の問題について何もしてこなかった人が、一滴の汗もかかず、努力もしてこなかった人が、軽々に鳩山首相を「嘘つき」呼ばわりするのはやめて戴きたい。真剣に沖縄と向かい合っている鳩山首相の姿を、少しは理解してあげて良いのではないか。
 私は、私なりに沖縄と向かい合ってきた者として、これからも沖縄に対する思いは変わることはない。
 昨日の東京新聞27面「こちら特報部」欄にある「本音のコラム」欄に、佐藤優さんの「二つの顔」という記事が掲載されている。的確に今の状況を表していると思うので、全文をご紹介したい。

 鳩山由紀夫首相には2つの立場がある。第1は、総選挙で国民によって最大多数の支持を得た民主党代表としての立場だ。第2は、官僚のトップとしての立場だ。鳩山由紀夫という1人の人間にこの2つの立場が「区別されつつ分離されず」に混在している。国民と官僚の間に深刻な利害相反が起きると、首相の自己同一性の危機が生じる。
 23日、鳩山首相の沖縄再訪について、普天間飛行場の移設先として鳩山首相が辺野古周辺と地域を明示したことが約束違反であると全マスコミ非難する。確かに「最低でも(沖縄)県外」という約束を鳩山首相は反故にした。問題はその原因だ。外務官僚が中心となって自民党政権時代に官僚が作成した辺野古案に戻るのが唯一の選択肢だという鳩山包囲網を築いたからだ。辺野古という名を出した鳩山首相には官僚のトップとしての立場が反映されている。
 しかし、鳩山首相は別の顔も見せた。対馬丸記念館訪問のときの鳩山首相の映像、写真をよく見て欲しい。死者と対話し、「普通の人々」の側に立とうとする鳩山首相の姿がある。これを単なるパフォーマンスと見なす人は心が歪んでいる。普天間問題を最大限に活用し、官僚が日本国家を完全に支配しようとしている。鳩山政権の打倒ではなく、鳩山首相をいかに国民の側に引き寄せるかが焦眉の課題だ。(5月28日付東京新聞27面)

 歴史的な政権交代を果たしたが、官僚の頭づくりは政権交代していたのだろうか。自民党政権が決めたことを安易に踏襲し、そのまま引き継ぐことに、ただ安閑(あんかん)としていたのではないか。 本来ならば、外務、防衛省の官僚が、アメリカに「政権交代は大変な変化だ。日米関係、日米安保の基本的考え、枠組みは変わらないが、普天間移設については白紙になるかも知れないぞ」と、強く出るべきだったのだ。それを事務的に、ベルトコンベアー宜しく流れていくと官僚が甘く見ていたところに、今回の問題があると私は見る。
 いずれにせよ、政治主導と言い、官僚を統括するのは官房長官である。官房長官の機能、役割も普天間問題では大いに関係している。そこに鳩山首相の苦労があるのではないか。
 余計なお世話だと思われるかも知れないが、私が官邸にいた時は、野中広務官房長官のもとで、24時間、小渕総理に仕えているという心構えだけはしっかり持ってやっていた。総理周辺の司々の人は、「俺が総理を守るんだ」という裂帛(れっぱく)の気合いを持ってやっているのか。
 その気合いが外に見えてこないところに、鳩山首相が一人悪役にされている面があり、今のドタバタ劇があると思うのだが。
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ムネオ日記
2010年5月30日(日) 鈴 木 宗 男
 朝からの報道番組は、どこも普天間飛行場移設問題である。
 「県外」と言っていたがそれを実現できなかった鳩山首相に全ての責任があるかの様な、一方的議論にウンザリする。
 過度な負担に喘(あえ)ぐ沖縄の思い、心を察する時、「県外」と言ってきた鳩山首相の判断は正しい。しかし、時間的に5月末までに間に合わなかったということである。
 2014年までの普天間飛行場移設は、何が何でもやらなくてはいけない。そのために「県外」と言ってきたのであり、これからも「県外」を模索し、希求していくのだ。今回の政府案で終わりではない。
 あわせて、色々の手続き等を考える時、県の許可、了解も必要であり、簡単に進んでいく様な生やさしい話ではないのだ。もっと本質を良く知った上で議論してもらいたいものだ。「県外」という言葉のみをとらえて批判するのは無責任である。
 読者の皆さんも、冷静に普天間移設問題を考えてほしい。
 16時14分、社民党が連立政権離脱を決定したとのニュース速報が入る。
 社民党の決断であるが、政権を離れてこれからどの様な形で影響力を持っていくのか、民主党との各県選挙区における選挙協力はどうなるのか。小沢幹事長の判断が大きなウェートを占めることになるだろう。
 選挙協力まで否定すると、社民党は地方区での戦いはできなくなる。懐の深い対応をしないと、まさに党の存亡に関わってくることだろう。
 明日から政局になってくるだろう。
 民主党参議院改選組の声がどう出てくるか。政権に対する批判が大きくなると、流れを変えざるを得ないのか。小沢幹事長の一挙手一投足に注目が集まることになる。
 いずれにせよ、民主党政権に変わりはないが、どんな方向に向かっていくのか、しっかりアンテナを立てて、情報戦に負けない様にしていきたい。
 11時半から長男の結婚式、12時半からごく身近な人に来て戴いての披露宴。アットホームで気楽な会で、皆さん喜んで下さった。
 ご縁、巡り合わせ、人生まさに出会いと、つくづく感謝してやまない。

日本とアジアの安定にとって、在日米軍による抑止力が必要であることは言うまでもない
日米共同声明、辺野古移設を明記  「福島氏の行動は自らの選挙向け」(党幹部不信感)


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